
インドでのヨーガ修行体験記【前編】アシュラムにたどり着くまで

五味佐和子

最新記事 by 五味佐和子 (全て見る)
- アーユルヴェーダの本場、インドのケララでのパンチャカルマ体験レポート【後編】 - 2020年3月9日
- アーユルヴェーダの本場、インドのケララでのパンチャカルマ体験レポート【前編】 - 2020年3月9日
- スイス「ユング研究所」訪問記・心理学レクチャー体験記 - 2019年11月14日
インドのヨーガの聖地でヨーガ修行を行ってきた。ヒマラヤ山脈とガンジス川のエネルギーを感じながらの4週間。ここでは、インドの印象や雰囲気、風景、そしてヨーガ修行をするアシュラムまでの道のりを語る。
ヨーガと私の出会い
私のヨーガ(ヨガと呼ばれることが多けれど、本来はヨーガ)との最初の出会いは、トランスパーソナル心理学の学びにおいてであった。トランスパーソナル心理学とは、世界中の古来の伝統的な精神についての叡智(えいち)と体系を、従来の心理学と統合させようというもの。そこで伝統的な精神修行の一つとしてのヨーガを知った。
強靱(きょうじん)な精神力で壮絶な孤独と寒さや飢えに耐え、ひたむきに精神の高みを目指す…。そんなヒマラヤの山奥に住む出家したヨギーたちの日々の修行の一つがヨーガなのだと思っていたから、修行としてのヨーガは私にとって遠いものだった。
一方で、この10年近く自分なりにヨーガを続けてきた。続けてはきたけれど、エクササイズ、あるいは健康法の枠を出ることは無かった。エクササイズとしてのヨーガは、もちろん素晴らしいのだけれど、この先に、もっと別の何かがあるはず、という思いを捨てられずにいた。
熟した果実が落ちるべきときにポッと落ちるように、そんな長年の思いが実を結び、ヒマラヤでヨーガをすることとなった。ヨーガの聖地と呼ばれているインド「リシケーシュ」にある、一つの「アシュラム(修行をする場所という意味)」で4週間修行に向かう。
日本からニューデリーに。インドの第一印象

インドと言えば、エキゾチックな民族衣裳を着て頭にターバンを巻いた人でごった返し、しきりにこちらに向かって手を伸ばしてくる子どもたちの群れ、そんなイメージを持っている人も多いのではないだろうか。正直に言って、私もそんな光景を頭の片隅に持ちながらインドにやって来た。
けれど、実際に私を待ち受けていたのは、近代化された空港に、ロンドンでもよく見かけるコーヒーショップのCosta Coffeeだった。
ニューデリーのインディラ・ガンディー国際空港
出典:https://www.instagram.com/p/BRZ1MCDAX0o/
jo_langhorneさんのInstagramより引用。
飛行機で到着したニューデリーは、インド全体の中心から少し北に位置するインドの首都で、人口2000万人以上もいる国際都市だ。
そこから、1日目に宿泊予定の空港近くのホテルまでは2002年に開通したばかりの清潔な地下鉄が通っていて、5分ほどで簡単に移動できる。地下鉄には、社会人らしい人たちがスマホをいじりながら座っている。
ホテルでは感じの良いホテルスタッフに案内されて、入った部屋は日本のビジネスホテルと何ら変わりない。当然、スタッフは皆、流暢な英語を話す。

到着1日目に見たインドの顔は、近代化、そして都市化されたインドの貌だった。そして、地下鉄の入り口でも男女に別れ、荷物チェックを受けたけれど、ホテルの入り口でも、セキュリティチェックがある。あちらこちらにミリタリーの制服を着た人がいて、何だか物騒な印象を受ける。
ひょっとすると、サムライを見に日本に来た外国人が、東京の高層ビル街をみて現実を知るように、私の脳内インドは存在しないのだろうか。