アーユルヴェーダの本場、インドのケララでのパンチャカルマ体験レポート【後編】

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五味佐和子

五味佐和子

臨床心理士。カウンセリングルームHelix Centre 代表。https://helix-centre.com 心療内科、精神科での長年の臨床経験を経て、企業でのEAP(従業員支援プログラム)と教育研修(ストレスマネジメント、コミュニケーション等)の企画と実施、NPOでの就労支援など様々な場面で臨床経験を積んできました。

こんにちは。わたしは、東京三鷹でカウンセリングやヨガなどを提供するホリスティックヘルスカウンセリングルーム「Helix Centre(ヘリックスセンター)」を主催しています。

この度、南インドのケララでアーユルヴェーダの治療を体験する機会がありましたので、その中身と体験を皆様にご紹介したいと思います。

後編の今回は、実際に私が受けた2週間の治療の流れと、体験をご報告していきます。

治療プロセス:到着当日

ケララのコーチン国際空港には、夜中の0時半くらいに到着しました。インドに渡航するにはビザが必要ですが、e-VISAでしたらネットで簡単に申請することができます。出発前に取得してあったe-VISA ですが、空港内でもうひと手続きしないとなりません。
e-VISAの手続きを10分ほどで済ませて、荷物を受け取り、出口を出ると、目の前に私の名前が書かれたボードを持って、ニコニコしているタクシードライバーの方が立っていました。

これは、あらかじめ到着便を伝えた後で、施設の方が信頼し日頃から依頼しているタクシードライバーを手配しておいてくださったためです。

施設は、コーチン空港から車で2時間半くらいのThekkady(テカディ)という場所にあり、テカディにはインドでも有数の国立公園であるペリヤール野生動物保護区があります。

ケララ州は、雨期以外のシーズンでもインドの他の場所のように高温にはならない温暖な気候で有名ですが、雨期ということもあり、湿度は高いものの気温はそれほど高くなく過ごしやすいと感じました。

タクシーに乗り込むと、藤のカゴの中にバナナと、水分補給のためのペットボトルの水が入っていて、「ご自由にどうぞ」と提供されました。到着時に喉がカラカラだったのですが、水を買う場所が見つからないまま空港を出てきてしまったので、これには本当に感激しました。

この時点で、施設のホスピタリティの高さと、気遣い、優しさを感じ、期待が高まります。

そして感動したのは、タクシードライバーの方に英語が通じたことです。以前、北インドでタクシーに乗ったときには、思うように意思疎通が出来ずにかなり不安に感じました。

ケララ州は、かなり早い段階でキリスト教が普及したこともあり、教育水準がインドの中でも群を抜いていて、そのため、衛生面でもインドの他の州よりも進んでいると言われています。

このタクシードライバーの方ご自身は、イスラム教徒だと言っていましたが、他の様々な宗教間の対立の話しなどもしてくれ、眠い目をこすりながらも、2時間半ほどの道のりを楽しく過ごすことができました。

そんなわけで、施設に到着したのは、夜中の3時過ぎでした。それにも関わらず、到着すると出迎えてくれたのは、ロビン先生ご本人でした。

ロビン先生

半分寝ぼけながらタクシーを降りると、先生が落ち着いた優しい声で、私の体調を気遣い、そして長旅を労ってくださいました。さらに歓迎のお花を手渡して下さり、入り口でお祈りのための灯火を先生と一緒にしました。

アットホームなアーユルヴェーダ治療施設「Madukkakuzhy Ayurveda」です

こんな風に、到着する患者を一人一人、とても丁寧に出迎えてくれる姿勢が、こちらの施設のポリシーを表しています。ドクター達は、安心感と信頼関係こそが何よりも重要な治療の要素だということを知っているのです。

この心のこもった歓待が、長旅で疲れている心身を一気に癒してくれました。

この後は、先生ご自身が部屋まで案内してくださり、倒れ込むように朝まで寝てしまいます。

アットホームなアーユルヴェーダ治療施設「Madukkakuzhy Ayurveda」の部屋

この日の朝は、のんびり8時くらいに起きて、朝食を頂いてから、最初の問診を受けます。

ここの施設の先生方は、先祖代々みなクリスチャンなので、診察室の入り口には、キリストへの祈りの言葉が掲げられていました。

“Heal in me whatever you see needs healing”「私のなかの(神様から見て)癒される必要があるものは何でも癒してください」という言葉で始まり、Heal my memory, heal my heart, heal my emotions, heal my spirit, heal my body, heal my soul.”「わたしの記憶、こころ、感情、スピリット、カラダ、たましいを癒してください」という祈りの言葉が続きます。
カラダさえ治療すれば良いという西洋医学的な考えとは違い、とてもホリスティックな人間観ではないでしょうか。

印象的なのは、最後に書いてある”GOD CURES WE ONLY HELP”「治してくれるのは神であって、私たちはただ(それを)助けるだけ」という言葉でした。先生たちは、自分たちが治しているわけではないということをとても謙虚に受け止めていることが伝わってきます。

最初の問診は、とても美しいサジーナ先生によるものでした。

問診

施設に来る前に、事前に病歴や体質、性格、食生活やライフスタイル、ストレスなどについての様々な質問が書かれた質問表に答えて送信してあるのですが、この日も、今までにかかった病気や、体質的なこと、気になっていること、今ある症状などを質問されて、答えていきます。

また同時に脈診や、目や舌の状態、顔色などによっても診断をしていきます。

この問診によって、どのような治療とハーブ薬、食事についての仮の方針が決定されますが、問診は何と毎日続き、日々の変化によって変えていくそうです。

先生は、本当の症状も体質も、こうして時間をかけて丁寧に見て行かないとできないものなのだとおっしゃっていましたが、現代医療ではいかに一部しか診てくれていないのかを実感しました。

最初のコンサルテーションが終わり、部屋で少し休んでいると、11時にクレンジングのための薬草ジュースが運ばれてきました。この11時のジュースタイムは、ジュースの内容は変わりますが、最後の日まで続くことになります。

クレンジングのための薬草ジュース

色は茶色ですが濁ってはいないジュースで、ほんのり苦みはありますが、後味にはリコリスのような甘みもありました。持ってきてくれたスタッフの方に、何が入っているのかと聴いてみましたが、笑いながら「あなたの身体に良いもの」としか教えてくれませんでした(笑)

このクレンジングジュースを飲み終わると、11:45からいよいよ施術が始まります。

部屋で待機していると、若い初々しいセラピストが迎えに来てくれました。

こちらが、施術を受ける部屋がいくつかある建物です。

施術を受ける部屋がいくつかある建物

この日は、アビヤンガ・シーロとアビヤンガ・シャリーラを受けます。アビヤンガ・シーロとはオイルを使ったヘッドマッサージで、アビヤンガ・シャリーラは全身のオイルマッサージです。

前述したように、最初の数日は、パンチャカルマの第1ステップである準備段階なのですが、マッサージを通して、薬草オイルを全身の細胞に満たしていくのが最初のステップなのだそうです。

セラピストは毎回担当が変わるのですが、初回はこちらの二人でした。笑顔がとても素敵なセラピストです。

セラピスト

こうした施術は、基本的に女性なら女性のセラピスト、男性は男性のセラピストから受けることになっています。理由は、特にオイルマッサージは、全身裸で受けなければならないからです。

最初は戸惑いもありましたが、トロピカルな雰囲気の場所で陽気な女性セラピスト達に施術してもらっているうちに、だんだんと気にならなくなるというか、慣れていくことが出来ました。

また、ヘッドマッサージの時は座って施術してもらうのですが、全身マッサージの際には、固い材質で出来たベッドの上に横たわった状態で施術を受けますが、これが私には結構苦痛でした。

固い材質で出来たベッド

(痛みを訴えると、ひざの下など痛みを感じる場所にクッションのようなものを入れてくれましたので、施術を受ける際には随時、希望と状態を伝えた方が良さそうです)

まずはうつ伏せで二人のセラピストから背面の全身マッサージを受けますが、右側と左側に一人ずつ立ち、二人が動きをシンクロさせながら、上へ下へと動きながら全身に薬草オイルを塗りこみつつマッサージしてくれます。それが終わると上向きになって、カラダ前面のマッサージです。

またこれは後で知ったことですが、マッサージのスピードや、使用するオイルの温度なども、患者各自のドーシャに合わせて変えているようです。

こうしてオイルマッサージをすることで、全身のツボのようなものを刺激することにもなりますし、血行促進をして筋肉を整えることになり、リラクゼーションの効果もあるとのことです。

頭と全身のオイルマッサージが終わると、頭も身体も薬草オイルでベトベトです。施術用のマッサージベッドがあるお部屋のすぐ隣には、シャワールームが付いていて、そこに誘導されます。

そして、何と自分では手が届かない(と思われている)背中と、何故か頭もセラピストが丁寧に洗ってくれるのです。まるで赤ちゃんのようにお世話をされるのですが、こうした施術のなかで信頼関係が作られていったように感じます。

オイルマッサージが終わると、12:30からはランチタイムです。

食堂

アーユルヴェーダには、医食同源の考えがあります。食堂の中に掲げられているパネルには、それを表す以下の二つの言葉が書かれていました。

「あなたがいつも何かを食べ、飲むときには、病気を養っているか、あるいはそれと戦うかの、どちらかをしているのだ」

「食事が間違っているときには、薬は役に立たない。食事が正しいときには、薬は必要ない」

食堂の文言

ですから、施設に滞在中に提供される食事は、そうしたアーユルヴェーダの考えに沿ったものとなります。上述のように、何をどう食べるのが一番良いのか、というのは体質によって変わってくるのですが、ドクターに教えて頂いた、アーユルヴェーダにおける一般的な食事についてのルールのようなものをご紹介します。

まず、食事と一緒に飲むのは「冷たいお水」ではなく「ぬるめのお湯」が推奨されています。

次に、「冷たい食べ物」と「温かい食べ物」を1回の食事で同時に食べない、というものです。例えば、生野菜たっぷりのサラダは冷たい食べ物ですが、それと熱々のラーメンなどと一緒に食べるのは、アーユルヴェーダではお勧めしていません。

また、いくつかの種類のお肉やお魚を、一回の食事の際に同時に食べないことも言われています。例えば、一回の食事で鶏肉と豚肉を一緒に食べる、というようなことは、良くないとされています。

これらはみな、消化機能を妨げるそうです。

南インド料理は、北インドと比べて、とてもマイルドだと言われています。また、ココナッツをふんだんに使っていることも特徴かもしれませんが、本当に美味しいのです。

スパイスも、味付けのためだけでなく、その薬効のためにもふんだんに使われます。ターメリック、カルダモン、ショウガ、ガーリック、コショウ、シナモンなど数えきれないスパイスが使われているようです。

スパイスの効いたランチ

ランチの後、少し散歩をしたりのんびりした後は、部屋でのフットマッサージが待っていました!足の裏を中心にツボを刺激しながら、血行促進していく、リフレクソロジーに近い感じのマッサージでした。

初日は、18:30から夕食を頂いたあとは、各自、部屋でのんびりと過ごして就寝となりました。

夕食

また施設には、図書室などもあり、そこで本を読むなどして静かに過ごすこともできます。

図書室

治療プロセス:2日目
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