インドでのヨーガ修行体験記【後編】ココロにできた静寂な場所

インドでのヨーガ修行体験記【後編】ココロにできた静寂な場所

インドのヨーガの聖地でヨーガ修行を行ってきた。ヒマラヤ山脈とガンジス川のエネルギーを感じながらの4週間。ここでは、アシュラムでのヨーガ修行の様子と、修行を通じて得たものについて語る。


★前編はこちら↓

アシュラム生活2日目。本格的にヨーガ修行が始まる

プログラムが本格的に始まった。自己と同一視している自分の洋服のスタイルから離れ、エゴを消すために、ユニフォームが支給される。
日常世界では、ファションで自分のスタイルを持ち、自分らしさを持つことは良いことだとされるし、実際にそれは良いことだと思う。けれど、精神修行においては、凝り固まった「自分」という存在に対する執着を、いかに手放すかが大事なのだ。

ユニフォームは黄色と白。色にもまたその色固有のバイブレーションがあり、私たちはそこから影響を受けている。例えば、白は清浄の色で、黄色は学びの色であり、悟りへの道を示しているという。

そんなわけで、アシュラムではファッション性とは無縁のダボダボの白い綿のパンツと、黄色いTシャツで1か月過ごすことになる。何を着るかを考えなくて良いというのは、素晴らしい解放感だ。

ヨーガ修行プログラム。まずは、ガネーシャに祈りを捧げる儀式から

プログラムは、儀式から始まった。儀式は、目には見えない霊的現実へと意識を向ける入り口であり、スピリチュアルな体験ができるよう準備させてくれるものだ。
まず有名なインドの神様、ガネーシャに祈りを捧げる。ガネーシャは、障害となるものを取り除いてくれる神様だ。

ガネーシャのイメージ

ガネーシャは象に顔を持つ神様だけれど、その象がジャングルの木々を押しのけながら道を作っていくように、精神修行者に行く手を待ち受ける様々な障害を取り除いてくれるのだ。
例えば、霊的な覚醒の視点からは邪魔者になる5つの内なるデーモンがある。5つのデーモンとは、情欲、怒り、貪欲、嫉妬、そして恐れだ。どれも人間らしい、普通の感情だけれど、精神修行には足を引っ張るものとなってしまう。

最初に神様に祈りを捧げることには、他に大事な意味がある。それは、修行の成果はあくまでも神様からの慈悲であり、自分で成し遂げた自分の成果ではないということを意識するためだ。こうした神への祈りは、スピリチュアルな目覚めに不可欠となる心の態度である謙遜、つまり謙虚であることを促進してくれるのだという。またまた、日常世界では大事な自尊心や自信は精神修行では邪魔モノとなる。

「プレエゴ」「エゴ」「トランスエゴ」の区別

少し横道にそれるが、ここで注意しないとならないのは、「プレエゴ」「エゴ」「トランスエゴ」の区別だと思う。スピリテチュアリティを追求する人の中には、プレエゴとトランスエゴの混同が起きてしまっていることがあるからだ。

プレエゴとは、自我が確立する前の状態で、自己と他者、あるいは自分と周囲の世界とのしっかりした区別がついていない状態だ。この状態の心は、他者を自分の延長のように見ているから、周囲の人を尊重することができないし、自分の思うままにコントロールしようとする。他者が自分とは違う欲求や考えを持っているということが理解できない。
この自他の区別がついていないプレエゴの状態と、自分がより大いなるものの一部であるというトランスエゴの一体感は混同されがちだ。

エゴ、つまり自我は、自分の感情や思考をコントロールする自分の中心的な役割を持つもので、日常生活を送るうえでなくてはならないものだ。この自我をしっかりと確立し、自分の意見を持ち、自分の感情をコントロールし、周囲の人を尊重し、良好なコミュニケーション取れるようになる前に、プレエゴからトランスエゴにひとっ飛びしてしまいたくなることがある。
だからこそ一歩間違えると、ヨーガを含めた精神修行は狂信的なカルトのようになって、理想のために他の人たちを犠牲にしようとしたり、自分たちの信仰を周囲に押し付けようとする。

けれど大事な順番としては、エゴ、つまり自我をしっかり確立して初めて、自分より大きなものにために自分をわきに置いて、全体の中の小さな自分として、より偉大な聖なるものに生かされている無力で小さな自分を意識することができるのだ。

聖壇の火を前に、サンスクリット語で祈りを捧げる

聖壇の炎のイメージ

途中からは、参加者一人一人が、聖壇に進み火に供物を捧げ、祈りを捧げる。火に供物を捧げる行為は、私たちの命の営みそのものだ。植物や動物などを、私たちは命の糧として食すが、そのプロセスのなかで命あるものが、別の命のために犠牲となって燃えていく。
そしてヨギーたちは、自らの行為も神の燃えさかる炎に供物として捧げる。

目の前で燃えさかる炎の熱を顔に感じながら、その熱が少しずつ気持ちを高揚させていくのを感じる。この火は、生徒たちの心にシンボリカルに「火を付ける」ためでもある。
こうした精神修行に対する情熱とインスピレーションの受け渡しは、数千年のあいだヨギーたちの間で、まるで五輪の聖火リレーのように脈々と行われてきた親密なやり取りなのだ。精神修行は、自己規律が最も重要だ。だからこそ心の内側から湧き上がる精神の解放を目指す情熱がなくては成し遂げられない。この聖なる火を受け取り、アシュラムでの生活が始まった。

規則正しい、アシュラムでの1日

アシュラムでの生活の基本的なスケジュールは、朝5:20には起床ベルが鳴り、6時から瞑想をし、神様への歌を捧げる。
その後、7:30からチャイとビスケットのようなものを頂き、8時から10時までプラーナヤマという呼吸法と、アーサナ(いわゆるヨーガ)を行う。
10時から朝ごはんとお昼を兼ねたブランチを取り、11時からはアシュラム内の清掃などを行うが、これは見返りを求めずに自分の責務を果たす奉仕活動でカルマヨーガと呼ばれる。
12時から1時まではヴァガヴァッドギーターというインド哲学の聖典を読み、1:30にまたチャイのティータイムがあり、少し休憩と各自の勉強。
午後2時から3時まで、ヨーガの解剖学などの講義を受ける。4時から再びプラーナヤマと、アーサナをする。
夕方6時に夕飯を頂き、8時に再び、瞑想。21:30には消灯となる。

ヨーガとは、規律である。この規則正しいリズミカルな生活を4週間繰り返していくのだ。心身を清め、全体のバイブレーションを高めていきながら、身体、心、霊的な面での調和を目指す。

この記事のライター

臨床心理士。カウンセリングルームHelix Centre 代表。https://helix-centre.com

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