おすすめ本のご紹介!
昨今の健康志向ブームで、健康や運動に関する書籍が本当に増えました。健康で快適な暮らしを送るための情報が手に入りやすくなった反面、どれを読んだらいいか迷ってしまいますよね。そこでこのコラムでは、健康・運動指導のプロ目線から、皆さんにぜひおすすめしたい本をピックアップ! 今回紹介するのは、次の書籍です。
『5つのコツで もっと伸びる 体が変わる ストレッチ・メソッド』
[著]谷本道哉 [著]石井直方
高橋書店 2008年

アドバイザー:桑山 純一
健康運動指導士、パーソナルトレーナー。
●略歴
「日本を元気にしたい!」…その思い一つで、新宿にそびえる某お役所を飛び出してきた、フィットネス界の異端児。
やせたい、体を鍛えたい、健康に暮らしたい、あなたのそんな「変わりたい」を一生懸命お手伝いします。
●所持資格等
・東京大学教育学部身体教育学コース卒
・健康運動指導士

ストレッチのすべてがこれ一冊に
私は常々、ストレッチを日々の習慣にすることをおすすめしています。その理由は、定期的にストレッチを行うことで、体も心も解きほぐされて気持ちいいだけでなく、自分の体・心の状態をチェックすることができるからです。状態チェックと整備を一度にできてしまうストレッチは、セルフメンテナンスにうってつけのエクササイズなのです。
本書は、そんなストレッチに関するエッセンスがギュッと凝縮された一冊です。ストレッチの目的も効果も、やり方もコツも、静的ストレッチも動的ストレッチも、部位別メニューもお悩み別メニューも、ストレッチを日々の習慣にするために必要なありとあらゆる情報が過不足なく網羅されています。
具体的なエクササイズとして収録されているのは、ストレッチを正しく効果的に行うための準備体操的ほぐしメニューから、一定のポーズで静止して筋肉を伸ばす静的ストレッチ、さらには体を動かしながら筋肉を伸ばす動的ストレッチまで含んだ全58種目。体幹から股関節、ひざ、足首、肩甲骨、肩、ひじ、手首に至るまで、全身くまなく伸ばしてほぐすことができます。
そんなにあるとかえって「自分はどれをやったらいいのかわからない」という心配も出てきますが、それも無用。巻末に「肩こり対策」「腰痛対策」「仕事中の疲労回復」「就寝前の安眠対策」「運動不足解消」という5つのメニューが用意されていて、まずはどの種目を日々のルーティーンにしたらいいのか迷うこともありません。手にしたその日から自分に合ったストレッチに取り組むことができます!

わかりやすい写真とポイント解説
いわゆる「ストレッチ」=静的ストレッチで一番大切なことは、筋肉の片方の端を固定し、もう片方の端を筋肉の伸びる方向に徐々に引っ張ることです。よくある失敗は、引っ張ることに夢中になるあまり基点もつられて動いてしまい、肝心の筋肉はそんなに伸びていないというもの。筋肉を伸ばすということはすなわち、筋肉の端と端を離すということなので、両端が一緒に動いてしまうと伸びないのです。
また、力任せに一気に引っ張ってしまうと、体の安全装置が作動して筋肉が伸びにくくなり、それを無理矢理引っ張ればケガにもつながりかねません。
その点、本書はどこを固定してどこをどのように曲げればいいのかが一目瞭然!わかりやすい写真とポイントを押さえた解説で、誰もが正しく効果的なストレッチを安全に行うことができるようになっています。
メインの写真&解説は、
①どのような姿勢をとればいいのか
②その姿勢からどのように動かせばいいのか
の2段構成が基本スタイル。そこに、伸びを感じる部位と要所となる注意点が2~3吹き出しのように添えられており、これを見ればほぼ100%正しいストレッチができるだろうと思います。
さらにその周りには、ストレッチする筋肉の情報、その筋肉を伸ばすメリット、よくあるNG例、他の姿勢で行う場合やキツすぎる場合のバリエーション(別のやり方)まで記載されていて、まるでパーソナルトレーナーに指導してもらっているかのような至れり尽くせりの内容となっています!
筋肉・運動の専門知識も身につく
著者はJOC(日本オリンピック委員会)医科学スタッフの谷本道哉氏とその師・石井直方氏。谷本氏は「筋肉は裏切らない」(by NHK「みんなで筋肉体操」)のフレーズでも有名ですよね。石井氏は、東大教授で「スロトレ」の生みの親。自らもボディビル世界選手権3位の実績を持つ、筋肉・運動に関する研究の第一人者です。
そんな筋肉のスペシャリストである両名が、筋肉の名称や付いている場所・形・働き、筋肉・腱などの性質といった専門的な内容をわかりやすい言葉で説明してくれています。内容のレベルも量もまさに必要十分で、一般の人がすんなりと理解するのにちょうどいいサジ加減となっています。
実はそれらの専門知識は、ストレッチだけでなく、さまざまなエクササイズやスポーツを行う際にも役立つものです。そうした有用な専門知識を抵抗感なく学べる点も、ロングセラーとなっている理由の一つなのではないかなと思います。
日常生活に役立つコラムなどが充実
本書の目指すところは、「ストレッチによって体も心もほぐして快適な毎日を送ること」にあると思います。それゆえ本書には、日々の暮らしの中でよくあるお悩み・トラブルに関するコラムが随所にちりばめられています。冷え性や肩こりの予防・改善のために日々気をつけたほうがいいこと、ハイヒールを履いて疲れた足やバッグをかけて疲れた腕のケアの方法など、特に女性が気になる情報が多く載っています。
また、以下のような、思わず「へぇ~」と言いたくなる体に関する雑学的情報も満載です。
「イスから立ち上がるときに働く関節は?」
「マッサージベッドがうつぶせなのはなぜ?」
「筋肉を効率よく脱力する方法は?」
「ストレッチを行うのに適したタイミングは?」
それぞれの答えもここでお伝えしたい気持ちもありますが、あえて止めておきます。これらの答えに限らず、本書に興味を持っていただけた方は、ぜひ実際に手に取ってチェックしてみてください!(念のため申し添えますが、私は著者等の回し者ではありませんし、本書が売れても一銭も入ってきません。笑)
いかがでしたか?
次回は心理学に関する本を取り上げる予定です。お楽しみに!