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倦怠感や頭痛などのコロナ後遺症に鍼灸治療

Date
2024/06/27
Writer
佐藤 優子
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私たちの生活を一変させたといっても過言でもない『新型コロナウイルス(COVID-19)』
※以降本文では、『新型コロナウイルス(COVID-19)』について、他コロナウイルスとの差別化が可能な場合に限り『コロナ』と記載します。

5類に移行した後も、感染率がなかなか落ちません。

感染後の後遺症に悩まれている方も多く、コロナ後遺症の専門外来を開設している医療機関もあり、多くの方が受診されています。

しかし、残念ながら現在までに、なぜコロナ後遺症になるのか…といった様々な後遺症を引き起こす詳しい原因はわかっていません。

そこで今回は、コロナ後遺症を改善するツボについてご紹介していきます。

後遺症(COVID-19の罹患後症状)とは?

コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症は、コロナに感染した後に、ウイルスなどは消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく以下のような状態で症状が出ていることを指しています。

・罹患してすぐの時期から持続する症状

・回復した後に新たに出現する症状

・症状が消失した後に再び生じる症状全般

WHOは、「post COVID-19 condition(long COVID)」として、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はコロナの発症から3ヵ月経った時点にもみられる」 としています。

海外での報告では、コロナの診断等の後2カ月あるいは、退院等の後1カ月を経過した患者の72.5%が何らかの症状を訴えていました。

さらに他の国では、診断あるいは退院後6カ月かそれ以上で何らかの症状を有するのは、54%と報告されています。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第1版」

代表的な後遺症の症状

後遺症は、コロナに掛かってすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。

代表的な後遺症の症状は以下の通りです。

■全身症状
・疲労感、倦怠感
・関節痛
・筋肉痛
・筋力低下

■呼吸器症状
・咳、喀痰
・息切れ

■精神・神経症状
・記憶障害
・集中力低下
・抑うつ
・睡眠障害

■循環器系症状
・胸痛
・動悸

■消化器系症状
・下痢
・腹痛

■その他
・脱毛
・頭痛
・嗅覚障害
・味覚障害

出典:第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日)

なぜ後遺症が残るのか?発症するのか?

残念ながら、現在までに後遺症の原因はわかっていません。

そのため治療法が確立していない状況です。基本的な治療としては対処療法(症状に対する治療)が基本とされています。

しかし昨今、様々な研究結果からそれぞれの後遺症別に、原因となっている症状が判明しつつあります。

そのひとつが、『炎症反応』です。

コロナウイルスは、カラダの組織内にあるACE2レセプターに結合して様々な障害をもたらすことが研究で明らかになりました。

このACE2レセプターは、細胞の表面に存在する受容体タンパク質で、肺、動脈、心臓、腎臓、腸などのさまざまな組織の細胞表面に存在します。

ウイルスが侵入し肺や心臓などに存在するACE2レセプターとウイルスが結合すると、炎症性たんぱく質(サイトカイン)が分泌されます。これは、ウイルスを撃退するために体内で起こる自然な反応の一部です。

この炎症反応が様々な器官で発生するため、後遺症として様々な症状が起きると考えられています。

なぜ鍼灸治療がいいの?

鍼治療の期待できる効果に、『自律神経を整える』『免疫を上げる』この2点があります。

コロナ後遺症でお悩みの患者さんの状態を観察した際、自律神経の乱れと免疫力が低下している状態であることが研究結果でわかっています。

さらに、先ほどご紹介したように、コロナウイルスは私たちの身体の様々な器官に影響を与えます。

鍼灸は、各臓器に関連した様々な症状へ直接的な治療が可能なため、後遺症にお悩みの方に治療法のひとつとして、検討していただきたいと考えます。

東洋医学的で診る後遺症

コロナ後遺症の治療を行う上で重要な点は、後遺症の症状は『どこが原因(肺や脳、神経なのか?)』『何が原因(炎症など)』となっているかをまずはきちんと調べることだと、私は考えます。

ですから、西洋医学と東洋医学の知識を合わせて、

今出ているお悩みの症状を改善するツボと、その症状が出る原因となっている箇所を治療するツボを合わせて治療していく必要があると考えます。

後遺症として先ほど記載した症状らが起こる体の状態を東洋医学的に考えると、

・熱が体の外に排出できていない状態、東洋医学で言う『内熱(陰虚)』

・発熱や咳など、体のエネルギーを消耗する状態が続いている『気血両虚』

・食欲不振や腹痛・下痢などの症状を引き起こす『痰湿』

これらのいずれか、またはすべての状態を合わせ持っている状態であると考えられます。

■内熱(陰虚)

内熱で見られる症状は以下の通りです。

火照り、のぼせ、午後に微熱が出る、口や喉が乾燥する、寝汗、不眠、倦怠感、空咳、頭痛、脱毛、集中力の欠如、記憶力の低下など。

■気血両虚

気血両虚で見られる症状は以下の通りです。

疲労感・倦怠感、筋力低下、睡眠障害、動悸、食欲不振、眩暈、手足のしびれなど。

■痰湿

痰湿で見られる症状は以下の通りです。

咳、喀痰、食欲不振、眩暈、下痢、腹痛、嘔吐など。

後遺症としてお悩みの症状から、ご自身の体がどの状態になっているかを確認してみてください。

次では、状態別におすすめのツボを紹介します。

おすすめのツボ

・内熱(陰虚)

■照海(しょうかい)

場所_内くるぶしの真下にあるくぼみのあたり。

全身の血行を良くし、熱っぽい症状、ほてりや眩暈、耳鳴り、頭痛、喉の腫れなどに効果が期待できます。さらに、免疫力を高め風邪の予防にも役立ちます。


■尺沢(しゃくたく)

場所_場所は肘を軽く曲げた時に浮き出る上腕二頭筋腱という太い腱の親指側、肘のシワの上でへこんでいるところを探します。

『肺の気の流れ』の上にあるツボといわれ、昔から咳に効果が期待できるとされるツボです。


■復溜(ふくりゅう)

場所_足首にある内くるぶしから指3本分上がった高さで、アキレス腱のキワあたり。

溜まった水分を巡らせて余分な熱を鎮める働きがあるため、ほてりやのぼせがある時におすすめです。


・気血両虚

■中封(ちゅうほう)

場所_内くるぶしの前にあるくぼみのあたり。 内くるぶしの指一本分前側の場所で、くぼんでいるところ。

下腹部の血流の改善が期待できます。


■三陰交(さんいんこう)

場所_内くるぶしの1番高い位置から指4本分上の骨の際。

三陰交は『肝,脾,腎』に関連するツボが交わる場所で、それぞれの臓器の作用を補う効果が期待できます。

肝は蔵血(血液を貯蔵し、血液の流れを調節する働き),脾は統血(血が必要な箇所にきちんと流れるようにする働き),腎には蔵精(成長や生殖に関わるエネルギー(不足すると老化するエネルギー)「精」を貯めておく作用)の機能があります。


・痰湿

■陰陵泉(いんりょうせん)

場所_足の内くるぶしから骨の内側を真上に辿っていくと指が止まるところ。丁度カーブしている骨のあたり。

体内の余分な湿気を取るツボ。


■足三里(あしさんり)

場所_ひざの皿の外側のくぼみに指4本当てた時、小指が当たる所にあるツボ。

胃の調子を整えてくれるツボのため、食欲不振、下痢、腹痛などの改善が期待できます。また、消化不良により体に溜まった余分な湿気を取り除きます。



参照

・東洋医学概論(医道の日本社)
・東洋医学臨床論(医道の日本社)
・東洋鍼灸理論(医道の日本社)
・ツボ単~経血取穴法・経血由来解説・兪穴単語帳
・厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html
・東京都保険医療局
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/corona_portal/link/kouisyou.html
・COVID-19 後遺症に鍼灸治療を適用した症例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstn/3/2/3_59/_pdf/-char/ja

Writer's Profile
佐藤 優子

鍼灸接骨院に鍼灸師として勤務。整形外科疾患から、不眠、頭痛、高血圧他、未病分野の治療を行う。院では外来の他、訪問や大学病院で鍼灸師として派遣勤務を行う。

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