エンディングノートは、個人が自らの遺言や最期の意志を書き記し、家族や恋人、関係者に残すための手がかりとなる文書です。本記事では、エンディングノートの意義や内容、作成のポイント、作成するべき時期について解説していきます。
エンディングノートってなに? 遺言書とどう違うの?
エンディングノートとは、個人が、自分が死んだあとの意志や希望、遺産の分配などを記した文書のことです。
エンディングノートとは、遺言書とは異なり、法的な効力を持たない場合があることに留意しておく必要があるでしょう。法的効力を持たせたい場合は、弁護士に依頼し、しっかりと遺言書を作っておく必要があるのです。
エンディングノートは、法的効力を持たなくても、作成する意義があります。なぜなら、個人の最期の意志や思いを伝える手段として重要な役割を果たすからです。エンディングノートには、財産や資産の情報だけでなく、葬儀や埋葬の希望、家族へのメッセージ、未完成の業務の引継ぎなど、様々な内容が含まれます。
エンディングノートを書くメリットとは?
次に、エンディングノートを書くメリットについて確認しておきましょう。
エンディングノートを書くメリット1 最期の意志を伝達する
エンディングノートは、個人の最期の意志や希望を、家族や恋人、仕事関係者などに伝える手段として役立ちます。葬儀や埋葬の希望、遺品の処分方法など、重要な意志決定を含むこともできます。
たとえば、生前から「葬儀はせずに遺骨を海に撒いてほしい」と希望し、子どもたちに伝えていたとします。しかし、いざあなたがなくなった際、子どもたちは「冗談で言っていたのかもしれないし、やっぱり葬儀はしたほうがいいのかな」と迷うかもしれません。
エンディングノートにしっかりと「葬儀はしないでください」と希望を書いておけば、残された家族に自分の意志をしっかり伝えることができ、遺族が迷うこともなくなるのです。
エンディングノートを書くメリット2 遺産の整理と分配を明確にする
エンディングノートには、個人の財産や資産の情報が含まれることがあります。これにより、遺族や相続人が遺産を整理して、適切に分配する手助けとなります。
ただし、前述したように、エンディングノートの書き方によっては、法的効力を持たせられない可能性もあります。法的効力をしっかりと持たせたい場合は、弁護士に相談しましょう。
エンディングノートを書くメリット3 家族や関係者の負担を軽くする
エンディングノートには、死後の手続きや手配に関する情報が含まれることがあります。たとえば、「私が亡くなった際には、以下の連絡先に速やかに連絡してください」と記し、連絡先一覧を書いておくこともできるのです。これにより、残された家族の負担を軽減することができます。
エンディングノートは何歳から書き始めるべき?
エンディングノートは、人生の終わりに向けて残すべき重要な文書ですが、その作成時期は個々人の状況や意識によって異なります。ここでは、エンディングノートの作成時期について、適切なタイミングや考慮すべきポイントについて紹介していきます。
エンディングノートは、成人後の早い段階から作成し始めよう
「エンディングノートは死に備えて書くものだから、若いうちから書く必要はない」と考える方がいらっしゃいます。
ですが、それは誤解です。エンディングノートは、成人後早い段階から始めることが推奨されます。
なぜなら、若い時期から自分の最期の意志や遺言を明確にし、財産や資産の整理を行うことで、将来の不測の事態に備えることができるからです。エンディングノートを書く過程で財産や大切な人などを洗い出すことになるので、人生を見つめなおし、将来に備えるために役立ちます。
人生の重要な変化時に書くのもOK
結婚、出産、養子を迎える、再婚、子どもが成人する、病気、離婚、死別など、人生の重要な変化があるタイミングでエンディングノートを作成するのもよいでしょう。これらの変化は、個人の財産や資産、家族構成などに影響を与えるため、エンディングノートと向き合う良い機会となります。
健康状態が良い時に書いたほうが、冷静に判断できる
エンディングノートを作成する際は、冷静さが重要です。病気や高齢による認知症などの状態が進行する前に、自己の意志や希望を明確にしておきましょう。そのためにはやはり、若い時期から作成しておくのがお勧めです。
ただし、高齢になってからでも遅くない。適宜アップデートすることが大切
エンディングノートを若い時期から作成しておくと様々なメリット(健康なときに冷静な判断を行い将来に備えることができる、等)がありますが、高齢になってから作成しても遅くはありません。高齢になると、健康状態や家族構成などの変化が起こりやすくなるため、最期の意志を明確にしておくことが重要です。病気をする前に、「延命措置を望まない」などを明確にしておけば、不要な苦しみを避ける手段にもなりえます。
エンディングノートに何を書くべき?
次に、エンディングノートに書くべき内容について解説していきます。エンディングノートに何を書くのかは基本的には自由です。何を書けばいいのかわからない、という方は、以下の項目を参考にしてみてください。
エンディングノートに書くべきこと1 残された人へのメッセージ
エンディングノートは、自分のために書くものであると同時に、残された人のために書くものでもあります。感謝のメッセージなど、伝えたいことを書きましょう。
エンディングノートに書くべきこと2 財産や資産の情報
個人の財産や資産の情報を記しましょう。銀行口座や、貸金庫の場所、農場やマンションなどの土地のありか、株や暗号通貨の保有情報などを記載しておくと、遺族が適切に対処できます。
エンディングノートに書くべきこと3 保険や年金の情報
年金の契約情報、受給者の情報、保険の受けとりに関する情報などを記載しておきましょう。死亡保険はラストラブレターとも言われ、残された相手への最後の愛情の示し方だという人もいます。エンディングノートにしっかりと残してゆく財産を記載しておくことで、あなたの気持ちを伝えることができるでしょう。
エンディングノートに書くべきこと4 重要文書の場所
遺言書や保険証券、不動産の証書など、重要な文書の保管場所を記しておきましょう。とくに遺言書の場所を明確にしておくことは大切ですが、紛失などのリスクを考えると、遺言書関連は弁護士にまかせて、「私が亡くなったら○○先生に連絡してください」とエンディングノートに記載しておくのが安全です。
エンディングノートに書くべきこと5 葬儀や埋葬の希望
葬儀を希望するか、希望しないか。埋葬の形式はどういったものか。葬儀を希望する場合は希望の形式や参加者などを記しておくと、残された人は助かります。
エンディングノートの作成方法。エンディングノート作成の4ステップ!
最後に、エンディングノートの作成方法を解説します。エンディングノートの作成方法は、個人によって違いますが、一般的には以下のような手順に従うことが多いようです。
エンディングノートの作成方法ステップ1 情報を整理する
まずはご自身の財産や資産、保険や年金、重要な文書などに関する情報を洗い出し、整理しましょう。
エンディングノートの作成方法ステップ2 希望や意志を明確にし、記載する
次に、葬儀や埋葬の希望、遺言、家族へのメッセージなど、「最期の意志」を書き留めます。この過程で、迷われる場合もあるでしょう。その場合は、信頼できる人に相談してください。葬儀については、種類やサービス内容、値段などについてリサーチしておくことも大切です。
エンディングノートの作成方法ステップ3 家族や関係者との共有
エンディングノートが完成したら、家族や関係者と共有し、自分の意志や希望を伝えます。「死ぬ前に知られたくない」などの事情がある場合でも、「エンディングノートを作成しているから、私が死んだら確認してほしい」と伝えておくか、わかりやすい場所に保管しておくことが大切です。せっかくエンディングノートを作成しても、その存在が誰にも知られていなかった場合、あなたの最期の意志が伝わらない場合があります。
エンディングノートの作成方法ステップ4 定期的な更新
エンディングノートは一度書いたら終わりではありません。家族構成の変化や体調、経済的事情、精神的な変化などによって、変更や追加が必要な場合も多いでしょう。節目ふしめにエンディングノートを見返し、更新しておくことが大切です。
さいごに。最期の意志を明確にしておけば、残された人も助かる
エンディングノートは、人生の終わりに向けて残すべき重要な文書であり、本人にも残された人にもメリットがあります。遺言や最期の意志、財産、葬儀や埋葬の希望など、個人の重要な情報を記入しましょう。
エンディングノートを作成することで、家族や関係者の負担を軽減し、あなたの「最期の意志」をしっかりと伝えることができます。