おすすめ本のご紹介!
昨今の健康志向ブームで、健康や運動に関する書籍が本当に増えました。健康で快適な暮らしを送るための情報が手に入りやすくなった反面、どれを読んだらいいか迷ってしまいますよね。そこでこのコラムでは、健康・運動指導のプロ目線から、皆さんにぜひおすすめしたい本をピックアップ! シリーズの最後を飾るのは、次の2冊です。
(左)『<ブログ人気No.1コーチが教える>幸せ成功力を日増しに高めるEQノート』
[著]野口嘉則
日本実業出版社 2006年
(右)『心のエンジンに火をつける魔法の質問』
[著]マツダミヒロ
サンマーク出版 2005年
アドバイザー:桑山 純一
健康運動指導士、パーソナルトレーナー。
●略歴
「日本を元気にしたい!」…その思い一つで、新宿にそびえる某お役所を飛び出してきた、フィットネス界の異端児。
やせたい、体を鍛えたい、健康に暮らしたい、あなたのそんな「変わりたい」を一生懸命お手伝いします。
●所持資格等
・東京大学教育学部身体教育学コース卒
・健康運動指導士
人生を変える「きっかけ」は不意に、突然に…
私はかつて東京都庁に勤めていました。大学でスポーツ科学を学びたくてその道に進んだものの、当時はまだ健康やスポーツ・フィットネスを仕事とすることがあまり考えられない時代で、「ザ・安定」の公務員を就職先として選びました。そのような消極的な理由で勤め始めたからなのか、妻曰く、毎晩毎晩、「バカなんじゃない」「バカばっか」「バカバカしくてやってられない」なんて上司らの愚痴や悪口ばかり言っていたようなのです。そして、あるとき妻から「そんなにバカバカバカバカ言っているなら辞めちゃえば」と言われてしまいました。
「え?そんなに簡単に言っちゃうの!?」
私たち就職氷河期世代にとって公務員は憧れの就職先。それまでそういう考えが頭をよぎったことがなかったわけではないのですが、既に結婚もしていて妻やその両親にも責任があるし、同じ都庁勤めであった自分の親も悲しむかななどと考え、自分の中で「ない、ない」と却下していました。それが妻の不意な一言によって、自分の中で何かがコトンと落っこちた、そんな感じがしました。そこから、トレーナーという職業について調べ始めました。「パーソナルトレーナー」という肩書の人がフィットネスクラブなどで活躍しているらしい。健康づくりのお手伝いをしたり、体を動かすことの楽しさを伝えたり、なんて素晴らしい仕事なんだ!この仕事で食べていけたら最高だ!!と思うようになっていきました。
背中を押してくれた「メンター」とも言うべき2冊
とはいえ、「本当に辞めていいの?」「本当にやっていけるの?」という葛藤は続きます。今からは信じられないかもしれませんが、当時はまだ「『パーソナルトレーナー』って何?」「何か宗教っぽくて怪しい」なんて言われるくらい、世の中には認知されていませんでしたから…。そんな迷える子羊状態にあった私の背中を押してくれたのが、冒頭に掲げた2冊の本でした。この2冊に出会い、自分自身に関する多くの気付きを得ることができたおかげで、心の迷いが晴れていったのです。
「こころのエンジンに火をつける魔法の質問」は、全部で55の質問が4つの章に分かれて並びます。1問1見開きで、左ページに300~500字程度の文章、右ページは問いかけのみという至ってシンプルな構成です。著者の優しくも鋭いメッセージが、さまざまな角度から自分を見つめ直すきっかけや視点を与えてくれます。
「幸せ成功力を日増しに高めるEQノート」は、より具体的・実践的な内容です。より良い人生を送るために、自分の中に潜む「心のブレーキ」に気付き、それをどのようにして変えていけばいいのかを教えてくれます。多くの人にありがちな悩みとそこに潜む心のブレーキ、さらにはそれらへの対処法を多数例示してくれているので、自分自身についての考察もワークシートに沿って簡単に進められます。
この2冊と巡り会ったことで、私の人生は大きく動きました。この業界への転身を後押ししてくれましたし、その後も事あるごとにさまざまな気付きを与えてくれ、進むべき道を指し示してもらった気がします。そういう意味では、私の「メンター」とも言える大切な2冊です。
答えは自分の中にある
どちらの本にも共通しているのが、「答えは自分の中にある」という考え方です。著者が素晴らしいと思っている理論や価値観を押し付けるような内容ではなく、著者の提示する問いかけやワークシートによって、一人ひとりの心の中にある思いや考え方、価値観などを明らかにしたり導き出してくれるのです。それらは、その人の感情や行動、ひいては人生全般に大きく影響するものであり、紛れもなく自分の中にあります。にもかかわらず、当の本人は気付いていなかったり意識していなかったりすることがほとんどです。かく言う私もそうでした。以下に、それぞれの本の問いかけや見出しを抜粋します。これだけで中身を知っていただくのは無理ですが、何となくでもイメージが湧いたらうれしいです。
「あなたが、もっとも幸せを感じるのはどんなときですか?」
「あなたが我慢していることはなんですか?」
「あなたを求めている人はどんな人ですか?」
「あなたがやりたいことをひと言でいうと、何ですか?」
(以上、「こころのエンジンに火をつける魔法の質問」より)
「なぜ、人生で同じパターンを繰り返してしまうのか?」
「あなたを駆り立てる『無意識の声』」
「『幸せ成功力』を日増しに高める5つのステップ」
「自分を、他者を受け入れるために」
(以上、「幸せ成功力を日増しに高めるEQノート」より)
このような内容によって、自分自身との対話を促し、自分の中にある答えにたどり着くお手伝いをしてくれる、自然と導いていってくれる、そんな名コーチのような2冊なのです。
自分自身との対話が「フィットネス」の出発点
私のコラムには「自分自身との対話」というキーワードがたびたび登場していると思います。それは、自分自身との対話からフィットネスは始まると考えているからです。自分の心と体と対話することによって自分の現状を知り、現在・未来の暮らしと自分とをフィットさせていく。これこそが本当の「フィットネス」だと私は思っています。
現在・未来の自分を取り巻く環境に心も体もうまくフィット(=適応)できると、日々の暮らしがより快適になり、より楽しい人生が送れるようになります。つまりは、自分自身の心と体とよく対話することが、より幸せな人生を送るための出発点なのです。
私にとっては、今回紹介した両著が、そのことに気付かせてくれ、人生を大きく動かすきっかけをくれた大切な2冊になりました。あなたのそばには、そのような大切な本がありますか?もしまだないようでしたら、ぜひそのような1冊を探してみてはいかがでしょうか?