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メンヘラとは精神的に不安定だったり、依存心が高かったりする人を指す言葉です。
ネット上で使われ始めた言葉で、精神衛生を現す英語Mental Healthを省略した俗語です。アメリカでメンヘラを現す言葉でemo(エモ)というのが一時流行りましたが、現在は下火になってきています。emoが下火になっているのに引き換え、メンヘラという言葉は、まだまだ頻繁に使われています。

日本でメンヘラという言葉がメジャーになってきたのは2010年ごろと言われていますから、まだ新しい言葉ではありますが、流行り言葉にしては息が長い印象です。今回はなぜ日本ではメンヘラという言葉が頻繁に使われるのか、メンヘラ女子はなぜモテるのか、などについて簡単に解説していきます。

精神的な病を抱えた人とメンヘラはどう違うのか。境界線は曖昧



うつなどの精神的な病を抱えた人と、メンヘラはどう違うのでしょうか?

「病気ほど深刻ではないのに、不幸ぶっているのがメンヘラ」「心が弱く、依存心が高い人がメンヘラ。病気ではなく性格」という人もいますが、実際には、精神的な病気の人とメンヘラと呼ばれる人を完全に分けるのは不可能です。

単にメンヘラだと言われている人が、受診していないだけで軽度のうつだったというケースも珍しくありません。

精神的に不安定な人がいた場合、その人は、精神科なり、心療内科なりを受診すべきでしょう。ですが、日本では気軽に精神科の門を叩いたり、カウンセリングを受けたりする文化がありません。そのため、当人が病気なのか、それともメンヘラと揶揄される「かまってちゃん」なのかは当人も周囲の人も知りようがないのです。

また、人によっては、うつや適応障害、パニック障害などの診断を受けながら、「自分はメンタルの病気をしているからメンヘラ」と自称する人もいます。

メンヘラの定義は人によって異なるため、精神的な病気の人とメンヘラとの境界線は非常に曖昧なのが現状だと言えるでしょう。

なぜ日本ではメンヘラという言葉が流行り続けるのか

なぜ日本ではメンヘラという言葉が流行り続けるのか、それは、メンタルの問題に関して、医学的なアプローチや、カウンセリングなどのアプローチをとることが、身近ではないからでしょう。

カウンセリング文化が発展している国であれば、メンタルが不安定になったさいには会社の福利厚生などを使ってカウンセリングを受けます。メンタルの安定のためにカウンセリング室や精神科に行くことは、ジムでメンテナンスを受けていることと同じことで「自分を大切にすること」「セルフケア」の一環だとみなされます。

そういった文化が日本にはないため、メンタルの不安定さを、そのまま放置し、「メンヘラ」でい続ける選択をせざるをえないのかもしれません。

そもそもメンタルの問題にどうアプローチすればいいのかわからない人が多いために、「メンタルの不安定さ」は、対処することで解決できる問題ではなく、「変えようがないその人の性質」だと認定されるのでしょう。

メンヘラはなぜモテるの?

メンタルが不安定で依存的だったり、自傷行為をしたりする人は男女関わらず存在しますが、どちらにしてもモテの要素になるケースがあります。

メンヘラはなぜもてるのか1 保護本能を刺激する

たとえば、ホストクラブでは「病み営業」というのがひとつの営業方法として確立されています。病み営業とは、「死にたい」など病んでいる様子を客の女性に見せることで、「私が彼を守ってあげなければ」と保護本能を刺激する方法です。ホストには様々なタイプがいますが、メンヘラ枠のホストが一店舗に必ず数人います。メンヘラホストは、ひとりで元気にバリバリ生きていけそうなホストよりも人気がでるケースがあるのです。

女性の場合でも同様です。メンヘラ女子に対して、男性が「俺が守ってあげなきゃ!」と思うケースがあります。「男性がヒーローとなりか弱い女性を守る」というファンタジーに耽溺したい人にとって、メンヘラ女子は都合がよい存在なのです。

メンヘラはなぜもてるのか2 繊細で共感力が高い

メンヘラと呼ばれる人はたいてい繊細です。自身の内面の葛藤や感情の波に敏感であり、他人の感情にも寄り添える力がある人が多いのです。そういった繊細さに惹かれる人は少なからず存在します。ガサツで強い女性が嫌い、という男性のなかには、繊細で弱い女性に「女らしさ」を感じる人もいます。

メンヘラはなぜもてるのか3 美意識が高い

メンヘラと呼ばれる人たちは、いい意味でも悪い意味でも自意識過剰な傾向にあります。人からどう見られるかを気にして、ナルシストな人も珍しくありません。美容やファッションに気を使うので、ルックスが美しく整えられ、それによってモテるケースもあるのです。

ただし、スタイルを維持しようと過剰になった結果、拒食症などの摂食障害を患ってしまうケースもあります。とくに10代、20代の女性の摂食障害は深刻な問題ですから、「食べたあと吐いてしまう」などの傾向がある方は、「メンヘラだから」と侮らずに、すぐに病院を受診することをおすすめします。

身近にいるメンヘラ女子がめんどくさい……対処法とは?

もし身近にメンヘラだと思う人がいて、その人への対応がめんどうだと感じているなら、以下の方法を試してみましょう。

めんどくさいメンヘラ女子の対処法1 病院の受診やカウンセリングを勧める

めんどくささにも色々な種類がありますが、「同じことを何度も話されて、話を聞くのがつらい」というめんどくささもあるでしょう。「手首を切られて怖かった」という場合もあるでしょう。その場合は、「病院に行ってみては?」と勧めてみましょう。

前述したように、当人に自覚がなくても、その人は精神的なトラウマを抱えていて治療が必要だったり、薬が必要だったりする可能性もあります。メンヘラと精神病の境界線は素人にはわかりません。病院を受診してもらうことで、本人も周囲の人も楽になる可能性がある、ということを覚えておきましょう。

めんどくさいメンヘラ女子の対処法2 相手を変えようとしない

メンヘラ女子に変わってほしい、と期待すると疲れてしまいます。相手を変えようとする努力を止めて、「彼女はこういう人間だけど、それでも会い続けるべきか」を考えましょう。

めんどくさいメンヘラ女子の対処法3 距離を置く。長い目で考える

メンヘラでめんどくさいけど、長い付き合いだし関係は切れない……という場合は、会う頻度を減らすなどして様子をみましょう。長い人生ですから、しばらく疎遠になったとしても、ご縁があれば再び仲良くなるときがやってくるでしょう。

そもそも、人は変わります。メンヘラと呼ばれる人に10代、20代が多いのは、その時期はまだ自己が確立しておらず不安定になりやすい時期だからです。70代になったときに再会して女子会を開催したら、メンヘラ時代を黒歴史として面白おかしく語れるようになるかもしれません。

メンタルを病むことは誰にでもある。メンヘラだと自虐する必要はない

メンヘラという言葉を使うさいに、気を付けたいことがあります。それは、あなたが「あの子メンヘラだよね」「私メンヘラだから」と発言したさい、実際にメンタルを病んでいる人が周囲にいる可能性が高いということです。たとえば日本人は、一生涯のうちに15人にひとりはうつ病を発症すると言われています。うつ以外の精神疾患を入れると、もっと多くの人が、メンタルに重要な問題を抱えて生きているということです。

みなが一度は風邪を経験するように、メンタルを病むのは人として自然なことです。誰にでもあることですから、過度に自虐したり、心の病気を「弱さ」と決めつけて下に見たりすることは、自分のためにも、社会のためにもならないでしょう。