昨今、「推し活」という言葉が一般的になり、好きなアーティストやキャラクターを応援する活動が広く行われるようになりました。
しかし同時に、疲れを感じる人や、つらい・しんどいと感じる人も出てきています。
本記事では「推し疲れ」とは何か、その原因や対処法、そして推し活を休憩する・やめるタイミングについても解説していきます。
推し疲れとは?「推し活についていけない」「病む」ケースも
「推し疲れ」とは、推し活(推しを応援する活動)を続けるうちに精神的・肉体的・金銭的に疲れてしまう状態を指します。
推しに対する熱い想いがあるからこそ、夢中になりすぎてキャパオーバーになってしまい、疲労感や義務感が強くなり、楽しむ余裕がなくなってしまうことがあるようです。
推し疲れの原因とは?楽しかったはずの推し活に疲れた理由をチェック
次に、推し疲れの原因について確認しておきましょう。
推しが本気で好きすぎて疲れる・追いかけることが虚しい距離感
推しへの愛が大きすぎると、感情をコントロールするのが難しくなり、時に苦しく感じることもあります。好きな気持ちが高まるほど期待も膨らみ、現実とのギャップに戸惑ったり、推しのプライベートまで知りたくなる場合もあるでしょう。「ガチ恋」状態に陥り、そんな自分に気づいて辛く感じる人も少なくありません。
また、推しがあまりに遠い存在に思えてしまったり、自分の応援が直接的に届かないと感じて、疲れを覚えることもあります。特に大手グループのアイドルを応援している場合、応援がどれほどの意味を持つのかがわからず、「自分がいなくても変わらないのでは…」と感じることもあるようです。
本気で好きだからこそ…推しのスキャンダルがつらい
恋愛禁止のアイドルの熱愛が発覚したり、推しの迂闊な言動が炎上したりといったスキャンダルがあった場合、ファンの気持ちは揺れます。推しのことを応援したい、という気持ちと、推しに対する失望を同時に感じ、精神的に疲労してしまう場合も珍しくありません。
他のファン・オタクなど周囲との比較と嫉妬
推し活は自己満足の楽しみであり、周囲と比較する必要なんて本来はないはずです。
ですが、「自分がいちばんのファンでいたい」「TO(トップオタク)であり続けたい」と考えて周囲と比較してしまう人も少なくありません。「あの子は、自分よりも熱心に推していないのに、推しからファンサ(ファンサービス)をもらっていた」というような嫉妬心が芽生え、推し活を楽しめなくなるケースもあるのです。
XなどSNSの情報で推し疲れ・ファン同士の交流がしんどい
SNSは、推し活において重要な情報源であり、ファン同士が交流する場としても欠かせません。しかし、このSNSが原因で「推し疲れ」を感じる人も少なくありません。
まず、SNS上の情報量の多さがストレスの一因です。推しに関する最新情報やファン同士のやり取りが絶え間なく流れてくるため、追いかけるのに疲れてしまうことがあります。また、
- 他のファンと自分を比べてしまうこと
- ファン同士のマナーについての論争
- フォロワーの意見や感情の発信
- 推しやそのファンに対する批判や悪口
といった要素も、精神的な消耗につながり、推し疲れを引き起こす原因になっています。
推しのためにやらなくては…義務感の増加
推し活は、自分の意思で、自分の楽しみのためにするものです。
ですが、当初は楽しめていた推し活も、時間が経つにつれて、
絶対に全公演参加しなければならない
グッズは必ず買わなければならない
という義務感が生まれ、推し活が負担になってしまうケースもあるようです。
お金がいくらあっても足りない…過剰な経済的負担
グッズの購入、ライブへの参加、ファンクラブの会費、遠征費など、推し活にはお金がかかります。
オタク文化の中では、ライブなどの現地参戦をせずに、自宅でのみ推し活を行うオタクを「在宅オタク」、ライブやグッズなどにお金を落とさないオタクを「無銭オタク」と下に見る文化もあるため、お金がなくても無理をしてライブなどに参戦するファンもいるのです。
推し活をするために、バイトを増やして掛け持ちたり、本業のほかに副業したり、キャバクラなどの夜職をしたり、という人もいます。推し活のために無理をして労働をしていると、次第に虚しくなってくる人もいるようです。
推し活が忙しい!時間は有限だから…時間的負担
推し活には時間が必要です。大手グループなどのアイドルの場合、コンテンツの提供もたくさんあるので、全てのコンテンツを視聴するためには、相応の時間が必要になってくるのです。時間には限りがありますから、推し活をしている時間には、他のことができなくなります。
日常生活の息抜きの推し活ではなく、日常生活の中心に推し活が位置している場合、時間的負担は馬鹿になりません。友人たちが仕事、資格試験の勉強などをしている間に自分は推し活をしていた、という場合、キャリアに差が出てくる場合もあります。
気がついたら推し活に時間を使いすぎており、本来やりたいこと、やるべきことが後回しになっていたと気づいた時、推すことに疲れを感じる人もいるのです。
推し疲れた、と感じた時の対処法。推し活にも休憩を
次に、推し活に疲れた時の対処法について確認しておきましょう。
推し活を休憩する・推しと少し離れて休む
推し疲れを感じたら、推し活から一旦離れて少し休むのも有効な方法です。一時的に休息を取って気持ちをリフレッシュすれば、再び推し活を楽しめるようになるかもしれません。
「二週間、推しに関するコンテンツを摂取するのを止める」などの実験をしてみましょう。しばらく離れたことで、推しの尊さを実感できるかもしれませんし、自分にはもう推し活は必要ないと気がつけるかもしれません。
他人と比較せず、自分のペースで楽しむ
推し活はあくまで自分の楽しみのための活動です。他人と比較せず、自分のペースで無理なく楽しむことを心がけましょう。周囲の推し活友達と比較してしまいそうになったら、単独行動をしてみるのもアリです。
お金が原因なら推しに使う予算を見直す
金銭的な負担が推し疲れの原因の場合は、現在の推し活にかかる費用を冷静に見直して、予算を立ててみましょう。
まずは、グッズの購入やイベント参加、関連サービスの利用など、どこにどれだけの費用がかかっているのかを具体的に把握することが重要です。
次に、自分にとって無理のない範囲で予算を設定します。月ごと、あるいは年ごとの予算を決め、その範囲内で楽しむ工夫をすることで、心も体も健やかに推しを応援し続けることができるでしょう。
疲れた原因は相性?推しを増やす・変える
推しを増やしたり、推しを変えたりすることで、推し疲れが解消する可能性もあります。推していて疲れる人を推し続ける義務はありませんから、「この人を推すのはしんどい」と思うなら、推し変も検討してみましょう。
推し活への依存が負担になっているなら、別の趣味を持つ
推し活に疲れている原因が、推しを中心に生活してしまっているから、ということも考えられます。推し活とは別の趣味や夢中になれることを見つければ、推し活は生活を侵食しすぎず、精神的な余裕を持って推し活を楽しめるでしょう。
推し活を休憩する・やめるタイミングとは?
推し活は、一生続けることもできる趣味です。ですが、以下の項目に当てはまっている方は、推し活をやめるべきタイミングなのかもしれません。
「楽しい」よりも「つらい」「しんどい」が勝つ時に休憩する
推し活が義務感やストレスの原因となり、楽しみよりも負担や辛さが大きくなっている場合は、一旦やめることを検討しましょう。
生活に支障が出ている・過度に依存している時に休憩する
推し活が生活全般に悪影響を及ぼしている場合、例えば、仕事や学業、金銭面に支障が出ている場合は、活動を見直すことが必要です。特に、推し活が原因で借金をしている場合は、即、推し活をやめるべきでしょう。
やめたくてもやめられない、という方は、依存症外来などの受診を検討してみてください。
推し活が楽しくなくなったタイミングで休憩する
以前は楽しんでいた推し活に対して、なんとなく楽しくなくなった、と感じ始めているなら、そろそろやめ時です。推し活は義務ではありませんから、楽しくないものを無理やり続ける必要はありません。
推し活で得しているのは誰?が楽しめなくなったら、一時的に離れて休憩を
推し活は、流行の趣味であり、時には生きがいにもなり得るものです。
ただし、過度な義務感や金銭的負担が積み重なると「推し疲れ」を引き起こすことがあります。自分自身の感情や体調に従って、必要であれば一時的に休むか、他の趣味を持つことで、バランスを取り戻しましょう。
それにも関わらず、推し活によって、感情的、金銭的不利益を被っていると感じるなら、それは、推し活をやめるべきタイミングだということです。
推し活は健全な金銭状態、精神状態でなければ楽しめません。推しを一番に考えるのではなく、「最も推すべきは自分自身」その次の、次くらいが、推し、という気持ちで推し活をした方が、健全でしょう。