原材料の高騰や円安で物価高であるのに、なかなか実質賃金は上がらない。
日本経済を取り巻く環境の厳しさから、隙間バイトや副業への関心が高まっています。こんなニーズの隙をついてくるのが、高額報酬を謳う闇バイトです。
数年前から問題視され、連日報道されている闇バイトは、決して美味しい仕事ではありません。騙されて一生を棒に振らないためにも、闇バイトに関わらないポイントをお伝えします。
そもそも闇バイトとは？なぜ増えた？
SNSやインターネット掲示板などで、仕事の内容を具体的に明かさず、短時間で高額な報酬が得られるなど、甘い言葉で誘う闇バイト。
実際には特殊詐欺の受け子や出し子、強盗など、犯罪組織の使い捨てとなる実行者をアルバイトと称して募集しています。
少子高齢化や経済の低迷により、若者の非正規雇用が増え、生活が苦しい状況に追い込まれて将来に対する不安を抱えている人もいるでしょう。短時間で高額な報酬が得られることを謳う闇バイトが魅力的に映るでしょう。
不安を感じていると犯罪組織はつけこんできます。日本は以前よりも貧しくなっていることも、闇バイトが増えている背景にあります。
無防備にアクセスしてはだめ！SNSや掲示板に紛れ込む闇バイトの募集
インターネットやSNSの普及も見逃せません。
仕事を探している人がアクセスしやすく、犯罪組織も闇バイトの募集が容易になり、巧妙に誘い込みます。
さらにSNSやインターネット掲示板を利用すれば、手軽に情報が拡散できる点も、闇バイトが増えている要因です。
普通のバイトと何が違う？闇バイトの特徴を知って見分けよう
「運ぶだけ」「受け取るだけ」など、具体的な仕事内容が明かされておらず、「簡単」「楽」などの言葉で手軽に稼げるように誘導するのが闇バイト。
短時間で高額な報酬が得られると謳っているものも注意です。
闇バイトの特徴的な6つのポイントをお伝えします。
仕事内容が明確に提示されていない
求人サイトを見れば、具体的な仕事内容が明示されています。その情報から自身に合う仕事かどうかを考え、応募するものです。
闇バイトは「運ぶだけ」「受け取るだけ」など、具体的な仕事内容が明かされていないことが多いです。抽象的なバイト募集には注意が必要です。
短時間の単純労働なのに給料・報酬が異常に高い
闇バイトではない求人募集をいくつか見ていくと、それぞれの給与からなんとなく相場感がわかるものです。
極端に高額すぎる報酬は不自然。楽に稼げる方法はありません。「簡単」「楽」「高収入」などの言葉に惑わされないようにしてください。
叩き？取り子？こんなにある闇バイトの隠語！
闇バイトには仲間内で使われる隠語があります。
電話を掛けて相手を言葉巧みに騙す「掛け子」、被害者を呼び出して現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、だまし取ったキャッシュカードを使って現金を引き出す「出し子」。これらは報道などで耳にしたことがある人もいるでしょう。
他にも、物騒な行為であるのに似つかわしくない、以下のような軽い隠語もあります。
「運び屋」: 違法薬物をはじめとする法律で製造や販売、所有などが禁じられているもの、だまし取った現金などを指定の場所へ運ぶ
「叩き」: 民家や店舗へ押し入って金品を奪う
「逃げ」: 違法薬物の売買を持ちかけて代金や商品を受け取ったら相手を暴行して奪い去る
「取り子」: 他の犯罪グループから現金を奪い取る
バイト募集でこのような単語を見かけたら、消して応募しないようにしましょう。
日本は求人で性別を限定できないのに、募集対象が男性だけ!?
日本には男女雇用均等法があり、性別を理由に求人や採用で差別することは禁止されています。
重い荷物を運ぶ、強盗や窃盗といった力が必要な犯罪では、女性よりも体力があると考えられる男性が優位と見なされるせいか、闇バイトで募集されているのは圧倒的に男性です。この時点で法律違反であり、反社会的であることがわかります。
もちろん、女性のみを求めている闇バイトもあるでしょう。犯罪組織は女性の抱える不安や悩みを甘い言葉で巧みに誘い込みます。知人や友人を通じて、犯罪に誘われるケースもあります。最初は軽い気持ちが共犯関係になり、抜け出せなくなるパターンもあります。
連絡を特定のメッセージアプリでしか行わない
闇バイトと知らず先方にコンタクトを取ると、メッセージのやり取りをするために特定のアプリのインストールを求められることがあります。匿名性とセキュリティ機能が高いメッセージアプリです。
「テレグラム」は有名でしょう。テキストだけでなく、写真や音声、ビデオ、ファイルは第三者が読めないように暗号化された状態で送れるうえ、データがサーバに残りません。
さらにデータが外部に漏れないよう設計したシークレットチャットも搭載され、犯罪組織に都合のいい機能が備わっています。「テレグラム」に似たもので「シグナル」というコミュニケーションアプリもあります。
これらは身元を隠して警察の捜査から逃れ、逮捕を回避するためです。不審なアプリのインストールには応じないようにしましょう。
アプリ上で個人情報の提出を求められるのは危険
相手と対面もしていないのに、個人情報の提出を求められることがあります。これも非常に危険です。
氏名や住所、電話番号などのあなたの個人情報を犯罪組織に渡し、なりすまし詐欺や不正な契約などの犯罪に利用されたら警察に追及され、逮捕される可能性が生まれます。また個人情報を元にあなたの家族や友人に連絡して、脅迫や恐喝をされるかもしれません。
情報を盾にして犯罪組織はあなたをコントロールしようとします。くれぐれも迂闊に個人情報を明かさないでください。
なぜ？闇バイトに手を出す心理と抜け出せない理由とは
生活費や学費など、お金が必要な状況なのに、アルバイト探しで苦労していると高額な報酬に惹かれることもあるでしょう。
闇バイトは危険だとわかっていても好奇心から手を出してしまう人もいるかもしれません。
闇バイトの高額な報酬に慣れてしまうと、正業に就く気が起きなくなるでしょうし、何よりも報復を恐れるあまり、組織から離れたくても身動きが取りにくくなります。
闇バイトは底なし沼。軽い気持ちで始めてしまうと、抜け出すことが難しいです。
闇バイトに接触してしまったら、一人で抱え込まず誰かに相談することが大切です。信頼できる家族や友人、若者支援団体や弁護士などに相談する、警察に保護してもらうこともできますので、諦めないでください。
闇バイトに手を出した人の末路とは？
闇バイトに巻き込まれて、幸せな結末を迎えられることはまずありません。犯罪組織の構造上、あなたは末端で捨て駒にされる可能性が高いからです。
犯罪行為であるため協力すると逮捕・起訴される可能性が高く、逮捕されたら弁護費用や生活費など、経済的な負担が大きくなります。
前科がつくと犯罪者というレッテルを貼られて就職や進学に大きな影響が出るだけでなく、友達も離れてしまうかもしれません。
懲役刑が確定すれば、刑務所に送られます。実名報道をされるとデジタルタトゥーとなって、一生背負って生きていかなければなりません。悲惨な末路しかありません。
まとめ
報酬は仕事内容に比例するものです。楽して大金を稼げる仕事は存在しません。
どんな仕事なのか、応募前にしっかりと確認しましょう。
もし先輩や友人などに闇バイトに誘われた場合には、一人で悩まずに周りの人や警察に相談し、犯罪からあなたを守るためにも決して近づかないことが大切です。それをいつも心に留めておいてください。
