今の時代、SNSが生活の一部となっている人は少なくないでしょう。
SNSにはさまざまな使い方があり、情報を収集したり、自己表現したり、推し活をしたり、仕事を獲得したりといった実益のために使えるだけではなく、友達との連絡手段や、同じ趣味の仲間と繋がれるコミュニケーションの手段としても使えます。
さらには裏垢などで表では言えないストレス発散をするなど、目的は多種多様です。
SNSがこれだけ普及しているのは、SNSを使うことが基本的に楽しいことだからですが、同時に、いわゆる「SNS疲れ」に悩む人も増加しています。
SNS疲れとは、SNSでの人とのつながりに疲れて、SNSを使うことが負担(疲労感やストレス)になってしまう状態のことを意味します。
本記事では、SNS疲れの例、SNS疲れ診断、なぜ疲れるのか、そして具体的なSNS疲れ対策・対処法について解説します。
InstagramにX、TikTok…「SNS疲れ」の事例をチェック
Instagram(インスタ)やX(旧Twitter)、TikTok、Facebookなど、多くのSNSが私たちの日常に欠かせない存在となっています。
ここでは、代表的な「SNS疲れ」の事例について見ていきましょう。
情報過多によるSNS疲れ
ニュース、広告、エンタメコンテンツ、友人の日常など、コンテンツが大量すぎて目を通すだけで疲れてしまう人も多いのです。
リラックスできなくてSNS疲れに
SNSから一時的に距離を置く「デジタルデトックス」が必要だと感じる人も増えています。
他の人と比較して自己肯定感が下がってSNS疲れに
友達の幸せそうな投稿、ライバルが自分のやりたかった仕事を獲得した投稿などを目にしてしまったら、
ヘイトコメントやアダルトコンテンツが目に入り、SNS疲れに
ネット上でのアダルトコンテンツはゾーニングがなされていないことが多く、普通のSNSを見ているだけなの、幼い子供を性的に描いたイラストや、性暴力を想起させるコンテンツが流れてくることがあります。
また、ネット上には特定の人種や性別、身体的特徴、性的指向の人を差別したり攻撃したりするコメントも溢れています。
攻撃的・批判的なコメントが目に入り、SNS疲れに
匿名性の高いプラットフォームの場合、誰でも気軽に攻撃できてしまうため、被害にあってしまいやすいのです。
SNS疲れ診断でセルフチェックしてみよう
ここでは、簡単にできる「SNS疲れ診断」のセルフチェック項目をご紹介します。
あなたがどれくらいSNSに影響を受けているのか、ぜひ確認してみてください。
- 自分の投稿への「いいね」やコメント、フォロワーの数が気になる
- SNSでの否定的な反応や批判的なコメントに敏感になってしまう
- 1日についつい何度も無意識にSNSを開いてしまう
- 人と話しているときでも、SNSの通知や内容が気になる
- 通知が届くとすぐに反応しないと落ち着かない
- 苦手な人や元彼の動向を、無意識にSNSで頻繁にチェックしている
- 他人のキラキラした投稿や幸せそうな投稿を見ると、落ち込んだり嫉妬してしまう
- 恋人や家族を自慢する投稿を見るとイライラしてしまう
- SNSを見ていると、自分と他人を無意識に比較してしまい、自信をなくすことがある
- SNS上での自分を良く見せるために、背伸びをしてしまう
- SNS映えを意識するあまり、金銭的や時間的に無理をしてしまう
当てはまる項目が多かった方は、もしかすると「SNS疲れ」の兆候があるかもしれません。
0~2個:問題なしといえるでしょう。SNSをうまくコントロールできている状態です。ただし、引き続き自分のペースで使用することを心がけてくださいね。
3~4個:注意が必要な状態。SNSが日常生活に少し影響を及ぼしているかもしれません。通知や利用時間を見直して、意識的に距離を置くことを考えてみましょう。
5~6個:要注意レベル。SNSの使用が原因で、ストレスや疲労を感じている可能性があります。具体的な対策を講じ、デジタルデトックスを取り入れることをおすすめします。
7個以上:SNS疲れが深刻化している可能性があります。日常生活に悪影響が出ている場合は、専門家に相談することも検討してください。
なぜ発生するの?SNS疲れの原因・理由。
次に、なぜSNS疲れが発生するのか、について確認しましょう。
脳に負荷がかかる
視覚情報が中心の、インスタグラムやTikTokを見ている際、脳は大量の画像や映像コンテンツを短時間で処理する必要があります。
これにより、脳は負荷がかかりすぎた状態に陥ります。
さらに、コンテンツは絶え間なく供給されるため、「見逃したくない」という感情がストレスを引き起こすことになるのです。
距離感が縮まり、比較意識が強まる
SNSで他人の生活を見ることができるようになったため、他人との比較が簡単にできてしまうようになりました。SNS投稿は切り取られ、加工されたものなのですが、SNSを見ている時は、まるでそれがリアルかのように感じがちです。
セレブであってもSNSを通じてファンと交流することも増えているため、身近な存在だと感じられ、身近な存在ゆえに、自分と比較して落ち込んでしまうケースも少なくないのです。
承認欲求が強まる
SNSは「いいね」やコメントなどの形で、承認欲求を満たす仕組みになっています。しかし、その欲求が過剰に強化されると、期待した反応が得られなかった場合に、大きな失望感を抱くようになります。
「投稿する→承認欲求が満たされる→ドーパミンが出る→もう一度承認欲求を満たしたいと思い投稿する→期待した反応が得られない→もう一度承認欲求を満たしたいと思い投稿する」といった無限ループから逃げられなくなっている人もいます。
スマホに依存し、抜け出せない
スマホ依存から抜け出したいのに抜けさせない人も珍しくありません。
次に開いたときはどんな情報が得られるのか
『いいね』はきているか
というワクワク感と、それに伴うドーパミンが忘れられず、私たちはスマホに依存してしまうのです。
このスマホ依存、SNS依存は、自分が意図したものではなく、「依存させられている」ものなので、
やめたくてもやめられない
と、疲れを感じてしまうのでしょう。
匿名性が高いために、攻撃力も高くなる
実際、SNSを使っている人でヘイトコメントをする人は少数派なのですが、そういう人ほど声が大きいため、
こんなに攻撃的な人、差別的な人が世の中には多いのか。世の中ってそんなものなのか
と世の中に絶望して疲れてしまう人もいるのです。
【対策】SNS疲れにおすすめの対処法
最後に、SNS疲れの対処法を確認していきましょう。
SNSの使用ルールを決める
まずはSNSの使用ルールを決めてみましょう。
例えば、寝る前にずっとSNSを見てしまう、という問題がある人は、「寝室にはスマホを持ち込まない」というルールを決めるだけでSNSを見る時間を減らせるかもしれません。
さらに、「月曜日だけはSNSを完全に見ない」など、特定の日をSNS断ちの日にするのも効果的です。少しの工夫でSNSとの適切な距離を保てるようになります。
通知をオフにする
頻繁に届く通知に気が休まらない、という人は、SNSの通知をオフにしましょう。
SNSのアラートを必要最低限に絞ることで、気を散らされることが減り、リラックスした時間を確保しやすくなります。
また、スマホを触る回数が減るだけでも、心の負担が軽くなることがあります。
スマホの使用時間を計測できるアプリを活用する
SNSを断ちたいけれどつい触ってしまう人は、アプリを活用して使用時間を減らす方法を試してみましょう。
スマホの使用時間を計測できるアプリを入れておけば、自分が普段どれだけの時間SNSを使用しているかを知ることができるでしょう。SNSの使用時間を確認し、半分に減らす、などの目標を設定してみるもの一案です。
また、「Forest」などのアプリを使うのもおすすめです。
「Forest」は、木を育てるアプリなのですが、その木が育っている間はスマホを触ることが原則禁止されています。その間にアプリを触ってしまうと木が枯れます。
例えば、「二時間スマホに触らない」と決めて二時間を設定すると、二時間の間は木が育ち続けます。触りたくなっても木が枯れてしまう、と思えば抑止力になるでしょう。
フォローを外す。ミュート・ブロックする
ネガティブな気持ちになるアカウントのフォローを外しましょう。ミュートやブロックするのも一案です。
例えば、友達の投稿が目に入るたび、比較してしまって苦しいと感じるなら、ミュートするのもいいでしょう。
目に入る情報をポジティブなものにすることでSNS疲れを回避できます。
楽しいこと・夢中になれることを見つける
SNSを使用している時間がもったいないと感じるほど、楽しいこと、夢中になれることを見つけましょう。
例えば、テニスという趣味を見つけた場合、少なくともテニスをしている間はSNSに触る必要はないはずです。大好きな人とのデートの時間にも、SNSを見たいと思わないでしょう。
楽しいこと、夢中になれることを見つけるためには、日々のルーティンを壊す必要があります。新しいことにチャレンジしてみましょう。
リアルなコミュニケーションを大切にする
リアルな場所での人間関係を大切にしましょう。
SNS上で悪意があるコメントをたくさん見てしまったとしても、実際に会う信頼できる人との関係は穏やかで平和なはずです。
SNS上で見えているものが真実だと思い込まないためには、リアルなコミュニケーションを大切にする必要があります。
情報収集はSNSで行わない
SNSでは真偽が不明な情報、フェイクニュース、誇張された内容が頻繁に出回っています。
2025年1月現在、Meta社がファクトチェックを中止したというニュースも飛び込んできましたから、今後、ネット上の情報を鵜呑みにするのはますます危険になってきます。
情報収集は専門書や新聞、専門家によるポッドキャストなどを活用しましょう。
さいごに。まずは、SNS依存を自覚しよう
依存症の定義は「やめたくてもやめられない」ことです。
もしあなたが「SNS疲れ」を感じながらも、ついSNSを手放せないと感じているなら、それはSNS依存のサインかもしれません。
依存から抜け出すためには、完全にSNSを断つか、使用時間を減らす必要があります。方法はいろいろありますから、自分でできる範囲で、SNSとの付き合い方を変えていきましょう。
少しずつ距離を置くことが、心の負担を軽くする第一歩になります。
もしSNSによる疲れやストレスが日常生活に支障をきたすようであれば、専門家に相談することも視野に入れましょう。
無理をせず、自分を大切にすることを最優先にしてくださいね。