金曜の夜、飲み会あるから!
職場の上司の一言に、心の中で小さくため息をつく。「本当は早く帰って、溜まったドラマを見たいのに」でも断ったら、職場の人たちに「付き合い悪い」って思われるかな。
飲み会に参加すべきか、断るべきか。毎回この葛藤に、疲れていませんか?
理由は人間関係だけ?職場の飲み会はなぜ「断りづらい」のか
職場の飲み会を断りづらいのは、あなたの気が弱いからではありません。そこには、明確な心理的メカニズムが働いています。
社会心理学では、これを「同調圧力」と呼びます。心理学者アッシュの同調実験で明らかになったのは、人は集団の中で「みんなと違う選択」をすることに、強い心理的抵抗を感じる生き物だということです。
特に日本の職場文化では長年、「和を乱さない」「空気を読む」ことが美徳とされてきた歴史があります。それゆえ、飲み会に参加しないことは、暗黙のルールに逆らう行為のように感じられるのです。
さらに、認知心理学の「損失回避」という概念も断りにくさに関係しています。人は「得られるもの」より「失うかもしれないもの」に敏感です。飲み会に参加して得られる人間関係より、断ったときに失うかもしれない評価や信頼の方が、大きく感じられてしまうのです。
つまり、断りづらいのは当然だ、ということです。職場の飲み会が断りづらいということは、あなたの心が正常に機能している証拠です。
職場の飲み会に参加するメリットはある


留意すべきは、職場の飲み会には参加するメリットもたくさんある、という点です。
社員同士の非公式ネットワークができる
会議では言えない本音、今後のプロジェクトの動き、人間関係の力学といった「公式には流れない情報」は、往々にして飲み会で共有されがちです。
苦手意識がなくなるかも!?関係性が深まり、仕事をしやすくなる
仕事の顔しか知らなかった人の、意外な一面が見えるのも飲み会あるあるです。共通の趣味が見つかったり、実は悩みが似ていたりするかもしれません。
上司・同僚に「あの人、感じいいよね」と思われる
飲み会に定期的に顔を出している人は「協調性がある」「チームプレイヤーだ」と評価されやすい傾向があります。
以上のように飲み会には様々なメリットがあるのです。
でも――これらのメリットが発生する可能性を考慮したとしても、職場の飲み会は「絶対必要」というわけではありません。
時間とお金の無駄?職場の飲み会に参加しないメリットもある
飲み会に参加しないことは、悪ではありません。
今は、働き方改革、ワークライフバランス、そして何より「多様性の尊重」が叫ばれる時代です。プライベートの時間をどう使うかは、個人の自由のはずなのです。
心理学者のデシとライアンが提唱した「自己決定理論」によれば、人は自分で選択したと感じられるとき、最も幸福度が高く、パフォーマンスも上がると言われています。
義務感で参加した飲み会で、あなたは本当に楽しめるでしょうか? 無理して笑顔を作って、帰り道にどっと疲れていないでしょうか?
さらに言えば、飲み会に参加しない時間で、あなたは何ができるでしょうか?
家族と過ごす、趣味に打ち込む、スキルアップの勉強をする、ただひたすら寝る――そのどれもが、あなたの人生を豊かにするものです。
「飲み会に行かない=協調性がない」という等式は、もう古い、とも言えます。
飲み会に参加するメリットはありますが、飲み会に参加しないメリットも大きいのです。
職場の飲み会、行くべき?判断のための5つのチェックポイント
飲み会に行くメリットも行かないメリットもあるならば、飲み会には行くべきなのでしょうか? 断るべきなのでしょうか?
大切なのは、行く、行かない、と決めつけるより、状況に応じて選ぶことです。
チェック1: 主役がいる飲み会か否か
新入社員の歓迎会、異動する先輩の送別会――主役がいる飲み会は、参加の優先度が高くなります。
チェック2: 参加メンバーは誰か
直属の上司や、普段関わりが深いチームなら、関係性維持のために参加する価値はあります。
チェック3: 自分の立場とキャリアプラン
入社1年目と5年目では、判断基準が違って当然です。今後その職場で長くやっていくつもりなら、ある程度の「顔つなぎ」は有効でしょう。
チェック4: 自分の心身の状態
メンタルヘルスの観点から言えば、疲労が蓄積しているときに無理をすると、燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクが高まります。
チェック5: 頻度とバランス
毎回断るのと、月1回くらい参加するのでは、印象が大きく異なります。
職場の飲み会の上手な断り方3つのコツ


参加しないと決めたら、どう伝えるかが問題です。
コツ1: 理由は具体的すぎなくていい
理由は「家族の用事で」「先約があって」で十分です。詳しく説明すると、「じゃあ来週は?」と掘り下げられる可能性があります。
コツ2: 申し訳なさを過剰に出さない
「本当にすみません」「申し訳ございません!」と謝りすぎると、相手も気を使うし、あなた自身も罪悪感が強まります。「残念ですが、今回は難しくて」くらいのトーンで大丈夫です。
コツ3: 代替案や感謝を添える
「次回は参加したいです」「お疲れ様会、楽しんできてください!」など、前向きな一言を添えると、印象が柔らかくなります。
不要な職場の「飲みニケーション」の終わり、新しい関係性の始まり
時代は変わり続けています。
リモートワークが普及し、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になった今、「飲み会に参加しないと仲良くなれない」という前提自体が崩れつつあるのです。
ランチを一緒にする、業務後にちょっとお茶する、Slackで雑談する――コミュニケーションの形は、もっと多様でいいのです。
強制じゃない。大切なのは職場の飲み会に参加するかどうか、自分で考えて選ぶこと
飲み会に参加するかどうかは、「協調性のテスト」ではありません。あなたがどう働きたいか、どう生きたいかという、個人の選択の問題なのです。
参加すべきか、断るべきか。正解はありません。
ただ一つ言えるのは、「周りがどう思うか」を軸に決めるのではなく、「自分がどうしたいか」を軸に決めてほしいということです。
- 行きたいなら、行けばいい。
- 行きたくないなら、断っていい。
- 行きたくないけど仕事を円滑にするために月に一回は参加する。
- たまには参加して、たまには断る――それでもいいでしょう。
大切なのは、「自分で選んだ」という感覚です。
次の飲み会の誘いが来たら、こう自問してみてください。
私は、本当はどうしたい?
あなたの金曜の夜は、あなたのもの。
誰にも、それを奪う権利はありません。













