8割の人が「専業主夫」に賛成?1万人に聞いてみた結果と注意すべきこと

昭和の時代には、女性は結婚したら仕事を辞め、専業主婦になることは珍しくありませんでした。

しかし、2000年ごろを堺に共働き家庭の数が専業主婦家庭の数を上回り、2024年の現在に至るまで、共働き家庭の割合は増加し続けています。

いまや、結婚したからといって仕事を辞める女性はレアケースです。
女性の経済力が高まってくるにつれ、男性が家事・育児を一手に引き受ける専業主夫家庭も現れ始めています。

今回は、10代から70代の男女1万人に、専業主夫はアリかナシか、また、パートナーが専業主夫を望んだ場合、どう感じるか、のアンケートを行いました。

目次

男女1万人にアンケート。「専業主夫」アリ派は約8割

果たして、世の中の人は、まだ珍しい専業主夫という形に、どういった想いを抱いているのでしょうか?

アンケート結果が示しているのは、一部、強い抵抗感を示す人がいる一方、実に約8割の人が、「それで成り立つなら問題ない」と考えているということです。

また、アンケート項目がなかったため不透明ですが、「できれば、専業主夫家庭を望んでいる」という人も一定数存在しているかもしれません。

「それで成り立つなら問題ない」と回答した方の理由は、「人それぞれ仕事も違えば事情も違うから」「出来る方が出来る事をやればいいと思う」という、夫婦の形はそれぞれ違っていい、という考えに基づくものが大半でした。

また、なかには、「夫が定年退職したあとの働き方として良いと思う」という回答もあり、夫婦の形は固定ではなく、変化していくものだと考える方もいらっしゃいました。

一方、「受け入れられない」と回答した方の理由は「気持ち悪い」「ダサい」という拒否感を表すものや、「自分の収入で専業主夫は難しい」「長年、主婦をしていたので働く場所がない」といった現実的に専業主夫家庭になるのは難しいから、という理由も散見されました。

パートナーが専業主夫を望んだら? 「決して受け入れない」は1割

次に、実際、パートナーが専業主夫を希望した場合、受け入れるか否か、をみてみましょう。

「決して受け入れない」と答えた方の多くは、「自分にはお金を稼ぐ能力はないから」「自分には無理だと思うから」といったような、受け入れたくないというより、受け入れることが現実には難しいと考えている方が多いようでした。

一方、「積極的に受け入れる」と答えた方は、「家事が嫌いだから(女性)」「家事が嫌いではない(男性)」など、各々が得意分野をするのがよいという考えの回答が多くみられました。

約5割の方は「話し合いをして考える(受け入れる見込みあり)」と回答しています。「条件があえばよい」「逆に何が問題かわからない」といった回答に加え、「子育ては結局母親の仕事になるから」というコメントもあり、話し合いを通しての現実的なすり合わせが必要だという回答も見られました。

家事・育児は女性の仕事? 性別役割分業規範は変わっていく?

アンケート結果から明らかなのは、2024年現在、専業主夫絶対NG派はどちらかというと少数派だということです。多くの人は、それでやっていけるならよい、どんな夫婦関係を選ぼうが問題ない、と考えているようです。

実際、女性が家事・育児を行い、男性が外で働いて賃金を稼ぐ、という性別役割分業は、明治時代に確立されたものであり、それ以前は、違いました。

そもそも結婚とは、恋愛の帰結ではなく、家業を守っていくため、生活のための結びつきであり、女性も男性も働き、家事をしていたのです。いま、当たり前だと考えられている女性の役割は、かつては当たり前ではありませんでした。

ということは、今後も変わっていく可能性があるということです。
未だに、「女性は○○すべき」「男性は○○すべき」という性別役割はそこここに存在します。しかし、それは不変ではありません。

「専業主夫×働く妻」が理想、と考える男性が注意すべきこと

しかし、だからといって、専業主夫家庭は素晴らしい、と手放しに賞賛することは危険でしょう。専業主婦になることと同じくらい、専業主夫になることはリスクがあることも自覚しておくべきです。

専業主婦を長く続けていると、キャリアにブランクができてしまい、いざ働こうとしても、低賃金しかもらえないケースが多々あります。企業は、ある程度過去に経験があり、子育てなどでブランクがある女性を、低賃金で安く買いたたき、利益を上げているという現実があります。一度キャリアから離脱してしまうと、元のルートに戻ることはできないのは、男女同じです。

男性が専業主夫になった場合、離婚するかもしれない可能性や、妻が働けなくなる可能性について、認識しておく必要があるでしょう。

とはいえ、専業主婦・主夫がもっともハイリスクな選択というわけではありません。スポーツ選手だって怪我をしたら一瞬でキャリアを失うリスクがあり、俳優だってキャスティングされなければ終わりでつぶしがききません。大切なのは、リスクを自覚したうえで、自分にあった道を選択することです。

筆者の知人には、10年間専業主夫をしている男性がいます。男性の配偶者は、複数の店舗を営む経営者です。男性は、毎月、生活費や子どもの教育費(無制限)に加え、お小遣いを100万円もらっています。男性の貯金は1億円を超えているそうです。離婚するとなれば、かなりの財産分与が期待できるでしょう。こうなれば、専業主夫はハイリスクだからやめておけ、とは誰にも言えません。

一概に専業主夫はハイリスクだと判断するのではなく、個別のケースを考える必要がありそうです。

すべての夫婦が、「専業主夫×働く妻」になる可能性がある。夫婦の形は流動的

世の中には、専業主夫を求めている女性もいれば、専業主夫になりたいという男性もいます。ふたりがマッチングすれば、お互いが求めている結婚生活を送ることができるでしょう。

しかし、専業主夫は、なりたくてなる人だけがなるものではありません。様々な事情で、専業主夫にならざるを得ない人も少なくないのです。

たとえば、『ツレがウツになりまして』(細川貂々著 幻冬舎)では、働き者だった夫が過労でうつ病を発症し、著者で漫画家の細川貂々さんが家計を担う様子が描かれています。

当初はうつ病が重く、起き上がることもできなかった夫・ツレさんですが、徐々に回復し、家事を一手に引き受けることになるのです。ツレさんは一時的に専業主夫となり、数年後に回復してからは、細川貂々さんが興した会社を手伝うようになります。このご夫婦の場合は、「共働き」→「専業主夫家庭」→「共働き」と推移していったのです。

このように、夫婦の形が変化していくことは珍しくありません。なぜなら、一生涯元気で同じ仕事を続けられるとは限らないからです。どちらかの転勤の都合で、どちらかが仕事を辞めなければならない場合もあるでしょう。

人生100年と言われるいまだからこそ、時代の流れに合わせて夫婦の形を柔軟に変化させていく必要があるのかもしれません。

また、望んでいなくても誰しもが専業主夫家庭になる可能性があることを鑑みると、「専業主夫なんてありえない」と考えるのは、将来の自分の首を自分で絞めてしまっていると言えるかもしれません。

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調査名:女性が家庭を支える? 今日は「専業主夫」に関するアンケート(設問数:5)
調査期間:2024年1月22日 12:00~24:00
調査方法:QR/バーコードリーダー「アイコニット」ユーザー10~70代以上の男女10070人へのインターネット調査

QR・バーコードリーダー/アイコニット®とは

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この記事を書いた人

編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、執筆・連載中。視界が開けるような記事を発信していきたいです。

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