日本は、男女の賃金格差が諸外国に比べて比較的大きい国です。
年齢が上がるにつれて男性は収入が増えていきますが、女性は、非正規雇用が多いこと、また出産や育児などによって離職した結果、キャリアアップが進まないことなどによって、生涯にわたって高収入を得にくい構造的問題があります。
現状、女性労働者の半数程度は非正規雇用で、正規雇用の場合でも男性の7割程度の賃金しか得られていません。
こういった現状がある中、収入格差のある彼氏彼女の関係で同棲する場合、同棲に伴う費用は完全に折半にするべきでしょうか?
今回は、
同棲したいけど、彼と自分の収入差が気になる
彼女の給料が少ない場合も生活費は折半すべき?
費用の負担が心配…
という女性向けに、同棲費用の分担をどうするべきか、を解説していきます。
精神的にも不安を感じる?低収入彼女が同棲することで考えられる懸念点
令和3年の国税庁の調査(※1)によると、男性全体の平均給与は545万円に対して、女性全体の平均給与は302万円です。
年収300万円程度は低収入だと感じる方もいらっしゃると思いますが、現実には、年収300万円は女性の平均です。
では、こういった低収入の一般女性が、年収500万円代の平均的な収入を得ている男性と同棲する際、どういった懸念点が考えられるでしょうか?
経済的負担が重く感じられる
生活費を公平に折半した場合、男性側は負担に感じなくても、低収入の女性側は負担に感じるかもしれない、という懸念があります。
貯金がないことによる心理的プレッシャー
年収300万円前後では、貯金が難しい可能性も大いにあるでしょう。
引っ越しに伴って、初期費用を捻出する必要がありますが、貯金がない場合、「彼に迷惑をかけるのでは」と思い悩むことになるでしょう。
お金の価値観が合わないことがストレスに
家賃をいくらまでに抑えるか、などの価値観が彼氏と異なり、そういったお金の価値観の違いがストレスの原因になる可能性があります。
お金がないことによる恥の感覚
貯金がなかったり、収入が少なかったりするのは、当人の責任ではない場合も多々あります。
しかし当人は、「自分の能力の問題。恥ずかしい」と思いがちです。
そのため、同棲するならば、経済的な状況をきちんと話すべきだと分かりながらも、なかなか打ち明けられず、信頼関係を築くのが難しくなる可能性があります。
※1 国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/tokei.htm
折半はきつい!不満が生じにくい同棲初期費用・生活費の分担方法
収入差がある場合は、収入に応じて費用負担の割合を調整するのが理想的でしょう。
例えば、家賃や生活費を「収入の割合」に応じて分担する方法も考えられます。
しかし、それにより、関係が変わってしまう可能性もあります。
リスク1:無意識のうちに彼氏・彼女の間に上下関係ができてしまう
彼氏に多めに負担をお願いした場合、無意識のうちに上下関係ができてしまうかもしれません。あるいは、彼氏側が自分の負担が重いことを不満に感じ、関係がギクシャクしてしまう可能性もあるのです。
リスク2:彼女の家事分担が増え、不満・不公平感につながる
彼女の収入が300万円、彼氏の収入が500万円の場合、収入に応じて3:5で同棲費用を分担したとします。彼女は、自分は3しか負担していないから、家事は自分がやろう、と思うかもしれません。
ですが、得ている収入は違っても、彼氏と彼女が外で働いている時間には大差がないケースがほとんどです。その場合、彼女はフルタイムで働いたのち、さらに家に帰ってきてから家事という労働をすることになります。
家に帰ってきてもまだ仕事が待っている、いわゆるダブルシフトです。
そうなると彼女側の総合労働時間は彼氏よりも大幅に多くなります。彼女は労働時間が長くなり、クタクタですが、彼氏は家事を手伝いません。
なぜなら、彼氏は、「自分が同棲費用を多く負担してあげているのだから、彼女が家事をして当然」と思いがちだからです。こうして彼氏が彼女の労働量の多さに気がつかない場合、彼女は次第に疲弊し、不公平感を抱くかもしれません。
では、どのように同棲費用分担と家事分担を行えば不公平感は生まれないのでしょうか?
非常に難しい問題です。答えは各々のカップルによって異なりますから、不公平感が生じない分担割合にするためには、話し合いと試行錯誤が不可欠でしょう。
収入差カップルが同棲費用について話し合う際のポイント
次に、収入差のあるカップルが同棲費用について話し合う際のポイントについて解説していきます。
見栄を張らず自分の経済状況・収入を教える
同棲は共同生活です。
経済状況を正直に共有できないようでは、長続きする関係を築くのは難しいでしょう。「貯金がないのが恥ずかしい」「収入が低いのがバレたくない」と思うかもしれませんが、同棲した後に真実が明るみに出る方が、信頼を失うリスクがあります。
同棲前に、正直に打ち明けましょう。
お互い納得できる予算を決める
予算オーバーの家は最初から内見しない、などと決めておくと、予算内に収めやすくなります。
同棲の時期をずらすことも二人で検討する
貯金が少なくて、引っ越し費用がない場合は、無理してすぐに同棲しようとする必要はありません。
目標額を貯めてから同棲を考えてもいいでしょう。
彼女側から分担方法を提案する、人任せにしない
「彼氏が多めに払ってくれたらいいな」と期待するのは無責任です。
同棲開始後も対等な関係を維持できる方法を提案する
同棲費用の分担比率が大きく異なることで対等な関係を壊したくない、という場合は、
同棲にかかる費用の相場は大体いくら?
同棲は、始める瞬間に最も費用がかかります。
同棲初期費用の相場
同棲初期費用としては、
- 家賃の前払い分:だいたい家賃の4ヶ月分程度
- 家具や家電の購入費用:20万〜50万程度
- 引っ越し費用:10万程度
例えば、家賃12万円の部屋に住む場合、12万×4+20万〜50万+10万=78万〜108万円程度の費用が必要になります。また、同棲が始まれば、生活費として、月々約、約15~20万円程度が必要になってきます。
以上のことから考えると、同棲を始める前に二人で100万円以上は貯めておいた方が安心だと言えるでしょう。
収入差カップルが同棲の初期費用を抑えるコツ
次に、同棲費用をなるべく安く抑えるコツについてみていきましょう。
家賃を抑えて部屋を選ぶ
主要駅から離れた場所を選んだり、閑散期を狙って家探しをしたりすることで、比較的安価で物件を見つけられます。
初期費用を抑える
敷金や礼金ゼロの物件や仲介手数料が安い不動産会社を選ぶのもいいでしょう。
引っ越し業者・時期で金額を比較する
引っ越し費用を安く済ませる方法としては、友達に車を出してもらうなどして引っ越しを手伝ってもらう方法があります。
また、引越しが多い時期は引越し業者の値段も上がりがちですから、引越しがあまりないタイミングを狙う、というのもお勧めです。
手持ちの家具家電をそのまま・おさがり使用する
新しく揃えずに一人暮らしの時に使っていたものや、友達からのおさがりを活用することで、費用を大幅に節約できます。
また、新しく家電などを買う場合でも、リサイクルショップなどを活用すれば、新品を買うよりはリーズナブルでしょう。
引っ越しの時に持ち物を整理する
引越し時に、不要品をリサイクルショップやフリマアプリで売れば、引っ越し費用を捻出しつつ荷物も減らせて一石二鳥です。
どちらか一方の家にとりあえず住む
同棲費用を貯める期間、どちらかの家に一時的に住むのも賢い選択です。一方の家賃が浮くため、比較的スピーディーに費用を貯めることができるでしょう。
さいごに。同棲は二人の関係を良くも悪くも変えるきっかけになる
同棲にはお金の話し合いは不可欠。
しかし、これまでラブラブだったカップルも、同棲に伴って収入差が明らかになり、その収入差が上下関係を生み出す結果につながることがあります。また、手取り給料に驚いたり、金銭感覚の違い、借金が発覚したりすることも。
同棲は、二人の愛情を深めるきっかけになると同時に、上下関係を作り出すきっかけになる可能性がある、という点も認識しておく必要がありそうです。
対等な関係を築きたいなら折半するのが一番ですが、負担割合を変える場合は、上下関係ができない方法を自分なりに模索する必要があるでしょう。