アカデミー賞7冠獲得『オッペンハイマー』いよいよ日本で公開!

先日アカデミー賞についての記事を書きましたが、7冠を獲得した『オッペンハイマー』が3月29日から全国公開になりました。
クリストファー・ノーランの長編12本目の監督最新作は、初めて手がける伝記映画。
「原爆の父」として知られている理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの半生が描かれています。
観ようか迷っている人にどんな映画かご紹介します。

目次

映画『オッペンハイマー』

(画像出典:https://twitter.com/BittersEnd_inc/status/1752814678856921445

第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才物理学者オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を描いた本作、アカデミー賞7冠と紹介しましたが、具体的には

・作品賞
・主演男優賞
・助演男優賞
・監督賞
・作曲賞
・撮影賞
・編集賞

の7部門で受賞しています。
また、受賞には至りませんでしたが次の6部門でもノミネートされていました。

・助演女優賞
・脚色賞
・美術賞
・衣装デザイン賞
・音響賞
・メイクアップ&ヘアスタイリング賞

アカデミー賞の前哨戦といわれているゴールデン・グローブ賞(優れた映画とテレビドラマに与えられる賞)でも、

・作品賞
・監督賞
・主演男優賞
・助演男優賞
・作曲賞

の5冠を獲得していて、高い評価を受けている作品だとポスターでもアピールしていますね。

原作は2006年にピュリッツァー賞を受賞した評伝

(画像出典:https://www.hayakawa-online.co.jp/

映画『オッペンハイマー』の原作は、カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるJulius Robert Oppenheimer(1904~1967)の生涯を丁寧に描いた評伝です。
取材に25年の歳月を費やし、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問いています。
日本ではPHP研究所から上・下の単行本で刊行され、早川書房で上・中・下で文庫化されています。

早川書房の解説note※から内容を引用します。

 詩や哲学にも造詣が深く、繊細な精神の持ち主であった青年時代(上巻「異才」)。
マンハッタン計画を主導、人類初の原子爆弾実験・トリニティに参加し、広島、長崎に投下された二発の原爆を作り出した壮年時代(中巻「原爆」)。
核兵器の国際管理と水爆反対を掲げ科学者たちを率いた晩年と、マッカーシズム時代の「オッペンハイマー事件」の真相(下巻「贖罪」)。

原作を読んだクリストファー・ノーランは「歴史上最も重要で、最も矛盾を抱えた一人の男を描いた名著」と絶賛し、映画化に着手します。

クリストファー・ノーラン

Christopher Nolan(1970~)といえば『TENET』『インセプション』『ダークナイト』など話題の作品を世に送り出してきた人気の監督ですが、実在の人物を映画化するのは今回が初となります。
“時間”の描き方が特徴的なノーラン作品は、現実と夢、無意識、幻想などが混濁し初見だと難解な印象を持つことも多いです。

今作については、「オッペンハイマーという誰よりもドラマティックな人生を歩んだ男の脳内に入り、彼の物語を描くことによって、観客のみなさんに彼の人生を追体験してもらいたかった」と述べています。

広島・長崎についての具体的描写がないことについては賛否両論ありますが、天才科学者オッペンハイマーの視点をカラーとモノクロを使い分けながら彼自身の頭の中を主観と客観に分けて表現しようとしているがゆえの策なのかもしれません。

3時間!の大作

上映時間は180分、つまり3時間です。
以前、こちらで紹介した映画『30S』が135分と長い印象でしたがもっと長い!
2022年に話題となったインド映画『RRR』が182分、アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が179分、『THE BATMAN ザ・バットマン』が176分と、長尺映画は意外とありますね。

筆者は長尺の映画を観る前には、大福や羊羹を口にしてトイレ対策をしています。

主演のキリアン・マーフィーは、アカデミー賞受賞の際「僕たちは、原爆を作った男についての映画を作りました。良くも悪くも、僕たちはオッペンハイマーの世界に生きています。だからこそ、この受賞をすべての平和主義者に捧げたい」とコメントしました。
唯一の被爆国に暮らす私たちにこの作品はどう映るのか、劇場でご確認ください。

2024年3月29日全国ロードショー

監督・脚本:クリストファー・ノーラン
出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.ほか
配給:ビターズ・エンド、ユニバーサル映画
製作:2023年
上映時間:180分
映倫区分:R-15

『オッペンハイマー』 公式サイト
https://www.oppenheimermovie.jp/#modal

『オッペンハイマー』 予告動画(60秒)
https://youtu.be/Uoctuzt2IfU

※ Hayakawa Books&Magazines(β)アカデミー賞受賞映画『オッペンハイマー』原作、評伝ノンフィクションは好評発売中! あらすじ紹介・伝記本文・解説文試し読みも
https://www.hayakawabooks.com/n/n6ae08cc01994

早川書房
https://www.hayakawa-online.co.jp/

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この記事を書いた人

大学卒業後、国語学会で学術雑誌の編集と秘書を兼任。その後、放送作家と並行してテレビ局、制作会社で番組制作を行う。演者側だった学生時代から継続して様々な形でエンタテインメントに関わる。現在は書く仕事に加え、講師、カフェスタッフ等パラレルワーカー。原則、メディアと明かさず自費で情報収集することで媚びない正直な記事を目指す。得意分野はエンタメ・ビューティ・美味しい。

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