なぜハマる?占い依存になる女性の心理メカニズム・末路・克服方法

占いは、人生を豊かにするスパイスのような存在です。適度に楽しむことで、日常に彩りを加えたり、新しい視点を得たりすることができるでしょう。

しかし、ハマりすぎて依存してしまうと、精神が不安定になったり、経済的に苦しくなったりするケースもあります。

今回は、依存せず、適度に楽しみながら占いと付き合う方法を解説していきます。占いに依存してしまう理由を知りたい、上手な付き合い方を知りたい、という方は、本記事をチェックしてみてください。

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今来今

編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、執筆・連載中。視界が開けるような記事を発信していきたいです。

目次

占いにハマる私って、おかしい?

最初にお伝えしたいのは、

占いに興味を持つことや、時々占いを見て楽しんだり、結果に一喜一憂したりすることは決しておかしなことではない、ということです。むしろ、多くの人が経験している極めて普通の行動です。

一説によると、女性の約7割が何らかの形で占いに興味を持った経験がある、とされています。朝のテレビ番組で今日の運勢をチェックしたり、雑誌の占いコーナーを読んだり、友人と血液型占いで盛り上がったりするのは、日常的な風景といえるでしょう。

現代社会では、仕事や人間関係、将来への不安など、様々なストレスが私たちを取り巻いています。終身雇用制度の崩壊、SNSによる他人との比較、コロナ禍による不確実性の増大など、私たちの生活は、ほとんどが以前より複雑で予測困難になっているのです。

そんな中で「何か指針が欲しい」「背中を押してもらいたい」と思うのは、人として当然の感情でしょう。

また、占いは古代から人類に寄り添ってきた文化的な営みでもあります。

古代中国の易経、古代ギリシャの神託、日本の神道における占いなど、世界各地で占いは人々の意思決定を支援してきました。現代の占いも、この長い歴史の延長線上にあるものであり、決して珍しいものではないのです。

占いにハマりやすい人・依存する人の心理的な特徴

次に、占いにハマる心理について見ていきましょう。

「不確実」なものに対する答えが欲しい

人間は本能的に「分からないこと」に対して不安を感じる生き物です。

明日何が起こるのか、この選択は正しいのか、相手は自分をどう思っているのか…。こうした不確実性に対して、占いは「答え」を与えてくれる存在として機能します。

心理学の分野では、この現象を「不確実性回避」と呼びます。

人間は未知の状況に対して本能的に不安を感じ、その不安を解消するために情報を求める傾向があります。占いは、このような心理的ニーズに応える役割を果たしているのです。

特に現代社会では、選択肢が多様化し、人生の答えが一つではない、とされています。結婚するかしないか、子どもを持つかどうか、転職するかどうかなど、重要な決断を迫られる場面が増えているのです。

絶対的な正解が存在しない時代だからこそ、占いは「正解」を示してくれる稀有な存在として頼りにされているのでしょう。

決断する責任から解放されたい

重要な決断を迫られた時、その責任の重さに押しつぶされそうになることがあります。「もしこの選択が間違っていたら」「失敗したらどうしよう」という不安が頭をよぎるのです。

一方、占いの結果に従えば、「自分で決めた」という責任感から一時的に解放され、心の負担が軽くなります

これは心理学でいう「責任拡散」の一種です。

決断の責任を占いという外部の権威に委ねることで、失敗した時の後悔や自己責任を軽減しようとする心理メカニズムが働いているのでしょう。

承認を求めてハマる

「あなたは優しい人です」「運気が上昇しています」「素晴らしい才能を持っています」

といった占いの言葉は、日常で不足しがちな承認肯定を補ってくれます。特に自己肯定感が低い時期には、こうした言葉が心の支えとなります。

現代社会では、SNSでの「いいね」の数や他人との比較により、自己肯定感が不安定になりがちです。また、職場でのプレッシャーや人間関係のストレスにより、自分の価値を見失うことも少なくありません。

そんな時、占いは無条件に肯定的な言葉をかけてくれる存在として機能します。

占いの多くは「あなたは特別な存在」「隠れた才能がある」といったポジティブな言葉を含むものであり、そういった励ましの言葉に鼓舞されて、日常生活を頑張れる人もいるのです。

孤独を和らげてくれるからハマる

現代社会では、核家族化や地域コミュニティの希薄化により、深い悩みを相談できる相手がいない人も少なくありません。特に一人暮らしの女性や、転勤などで新しい環境に身を置いた人は、孤独感を強く感じることがあります。

占いは、こうした孤独感を和らげる役割も果たしています。

占い師との親密な会話や、占いコミュニティでの交流が、社会的なつながりを感じさせてくれるのです。電話占いやオンライン占いが人気を集めているのも、この心理的ニーズに応えているからかもしれません。

近年台頭してきているChat GPTなどのAIとの会話は、電話占いやオンライン占いと同じような孤独解消効果も期待できるため、今後は占いからAIに乗り換える人も増えていくと予想されます。

人生をコントロールしている感を取り戻せる気がするから

人生には自分ではコントロールできない出来事がたくさんあります。突然の病気、経済的な困窮、人間関係のトラブルなど、予期しない出来事に直面した時、人は無力感を感じます。

占いは、こうしたどうにもできない状況に対して「何かできることがある」という感覚を与えてくれます。

ラッキーカラーを身につけたり、パワーストーンを持ったり、お守りを購入したりすることで、自分の運命をコントロールできるような錯覚を得ることができるのです。

この心理は「統制の錯覚」と呼ばれます。統制の錯覚とは、実際にはコントロールできない状況に対して、何らかの影響を与えられると信じることで、心の安定を保とうとする防衛メカニズムのことです。

占い依存のサインとは?セルフチェックリスト

占いを楽しむことと依存することの間には、明確な境界線があります。健全な範囲を超えて占いに依存してしまうと、様々な問題が生じる可能性があるでしょう。

以下のチェックリストで3つ以上当てはまる場合は、占い依存が始まっている可能性が高いので、注意が必要です。

  • 占いの結果が悪いと、その日一日が憂鬱になる
  • 占いに時間を費やしすぎて、他のことが手につかない
  • 占いの結果に基づいて重要な決断を行う
  • 占いのために約束をキャンセルしたり、予定を変更したりする
  • 占いにかける金額が生活費を圧迫している
  • 借金をしてまで占いを受けている
  • 「今回だけ」と思いながら、何度も有料占いを利用している
  • 占いにかける費用が月収の3割を超えている
  • 複数の占いを試して、良い結果が出るまで占い続ける
  • 占いの結果に疑問を持つことができない
  • 占いを批判されると過度に反発する

占いにハマりすぎ・依存してしまう人の末路とは?

まるで中毒のように、占いへの依存が深刻化すると、以下のような問題が生じる可能性があります。

自分で決められなくなる・搾取される

常に占いに頼っていると、自分で考えて判断する力が弱くなってしまいます。これにより、人生の主導権を失い、受け身的な生き方になってしまう危険性があるのです。

自己決定能力の低下は、職場でのパフォーマンスにも影響を与えます。上司から「自分で考えて行動してほしい」と言われても、占いの結果を待たなければ何も決められないという状況に陥る場合もあります。

また、悪質な占い師に目をつけられて、財産を奪われる可能性もあるでしょう。

経済的に苦しくなる

高額な占いに多額のお金を費やしてしまうことが原因で、生活が困窮するケースもあります。

特に電話占いは、一分間いくらの世界なので、気がついたら一回数万円を超えていた、という場合もあるのです。

借金をしてまで占いを続ける人もおり、最終的には自己破産に至るケースもあります。また、占いのために貯金を使い果たし、将来への備えができなくなるリスクもあります。

現実に向き合えない

問題に直面した時、解決に向けて行動するのではなく、占いに逃げる習慣が身についてしまうと、根本的な問題解決ができなくなります。

仕事でミスをした時に反省して改善策を考えるのではなく、「今日は運勢が悪かったから」と占いのせいにしてしまう、恋人との関係がうまくいかない時に、コミュニケーションを改善するのではなく相性が悪いから」と占いの結果で諦めてしまう……。

こうした現実逃避が習慣化すると、成長の機会を失ってしまいます

人が離れていき、孤立する

占いの結果を他人に押し付けたり、占いばかりに時間を費やしたりすることで、大切な人との関係が悪化することがあります。

友人との会話が占いの話題ばかりになったり、占いの結果に基づいて他人を判断したりすることで、周囲の人が距離を置くようになることもあるでしょう。

また、占いのために約束をキャンセルしたり、占いの結果を理由に突然態度を変えたりすることで、信頼関係が損なわれることもあります。

重度の占い依存になると、占い以外のことに興味を持てなくなり、社会との接点が減少することもありえます。仕事や趣味、友人関係など、人生の様々な分野への関心が薄れ、最終的には社会的に孤立してしまう危険性があるでしょう。

情緒不安定になる

占いの結果に振り回されることで、感情の起伏が激しくなり、精神的な不安定状態が続くことがあります。

良い結果が出ると一時的に安心するものの、悪い結果が出ると深く落ち込んでしまう。このような感情の波を繰り返すことで、心身の健康を害する可能性があるでしょう。

依存せずに占いと上手に付き合うには?

占いとの理想的な関係は、「たまに会う友人との付き合い」に似ています。毎日会う必要はないけれど、たまに会うと楽しい、くらいの関係を目指しましょう。

以下に上手な付き合い方を紹介します。

娯楽として占いを楽しむ

雑誌の占いコーナーを読んだり、友人と占いの話で盛り上がったりするのは、健全な楽しみ方です。朝のテレビ番組の星座占いを見て、

「今日はラッキーカラーが青だから、青いアクセサリーをつけてみよう」「ラッキーカラーの服を着てみよう」

と楽しむのは、全く問題ありません。

大切なのは、占いを人生を左右する大きな決断をするときに使うのではなく、些細な楽しみとして活用することです。

自分を理解するツールとして使う

占いの結果は、自分の思考を読み解く、自分の価値観を見つめ直すきっかけとして活用することができます。

「なぜこの結果に安心したのか」「なぜこの結果に不安を感じたのか」を考えることで、自分の本当の気持ち価値観に気づくことができるでしょう。

例えば、恋愛運の占いで「新しい出会いがある」という結果に喜びを感じたなら、実は心の奥底で新しい恋愛を求めていることに気づけるかもしれません。転職に関する占いで「今は動かない方が良い」という結果にホッとしたなら、実は現在の職場に留まりたいという気持ちが強いことを発見できるでしょう。

占いで言われたことを鵜呑みにするのではなく、「占い結果を知って感じたこと」を自己理解のツールにすることが大切です。

背中を押してもらうツールとして使う

すでに心の中で答えが決まっている時、占いの結果が背中を押してくれる役割を果たすことがあります。これは決して悪いことではありません。

人間は時として、自分の決断に確信を持つために外部からの承認や支持が必要な場合があります。

ただし、この場合も占いの結果に盲従するのではなく、「自分の気持ちと占いの結果が一致した」という確認の意味で活用することが大切です。

コミュニケーションツールとして使う

占いは、人との会話のきっかけや共通の話題になることもあります。血液型占いや星座占いで友人と盛り上がったり、初対面の人との会話の糸口にしたりすることは、社交的な意味でも価値があるでしょう。

ただし、占いの結果で相手を判断したり、占いの話題に偏りすぎたりしないよう注意が必要です。あくまで会話の潤滑油として活用しましょう。

創造力を掻き立てるために使う

占いの象徴的な表現や比喩は、創造性を刺激することがあります。アーティストや作家の中には、占いのイメージやシンボルから創作のインスピレーションを得る人もいます。

タロットカードの美しい絵柄や、星座の神話的な物語などは、想像力を豊かにし、新しいアイデアの源泉となることもあるでしょう。創作活動をしている人の中には、占いなどのスピリチュアルなことに触れることで、クリエイティビティが活性化させられる人もいます。

占いの本質を理解する

占いを「絶対的な真実」ではなく、「ひとつの視点」や「きっかけ」として捉えることが大切です。

また、占いの結果を受け取る際には、「自己成就予言」の可能性も考慮する必要があります。自己成就予言とは、予言や予測が実現するのは、その予言を信じた人がその通りに行動するからだ、という現象のことです。

「今日は良い日になる」と占いで言われれば、実際に前向きな気持ちで行動し、結果として良い一日になる可能性が高まります。

そういった占いの本質を理解し、盲目的にならずに付き合っていくことが大切です。

自分なりのルールを作る

占いとの健全な関係を築くために、自分なりのルールを設定することが有効です。

例えば、「有料の占いは月に一回まで」「月に使う占いの予算は1万円まで」などと、使うお金に制限をかけておくのもおすすめです。

また、「同じ内容について何度も占わない」「電話占いに電話をするときは、30分でアラームが鳴るようにセットしておく」など、行動を抑制するルールを設けておくのも一案です。

さらには、友達を失わないために「占い結果を友達に押し付けない」「占いの話は特定の人だけにする」など、コミュニケーションのルールも決めておくと安心でしょう。

占いに対する比重を減らす

自立とは複数の依存先を持つこと」という言葉もある通り、依存先を増やすことで、一つのことにどっぷり依存することを避けることができます。

ですから、占いに依存しないためには、複数の依存先を見つけるのも一案です。

カウンセラーや恋人、家族、AI、推しなど、さまざまな「心の支えになる存在」を持つことで、「占い一強」を避けることができるでしょう。

占いに頼る前にできることを考えてみる

迷ったり不安になったりしたら即占い、ではなく、他にできることを考えてみましょう。ここでは、占いを頼る前にできることを列挙していきます。気になったものを試してみてください。

  • 信頼できる友人や家族に相談する
  • 日記を書いて自分の気持ちを整理する
  • 瞑想や深呼吸、ヨガでリラックスする
  • 感情に名前をつけて客観視する
  • ぬいぐるみを抱きしめる
  • カウンセラーに相談してみる
  • AIに愚痴を言ってみる
  • とりあえず寝る
  • 散歩や運動で気分転換する
  • サウナで汗をかく
  • いい匂いのボディスクラブで体をゴシゴシする
  • 入浴剤を入れてお風呂でリラックスする
  • ちょっと高いパン屋さんに行ってみる
  • 問題を具体的に紙に書き出す
  • 同じ悩みを持つ人とのコミュニティに参加する

【やめたい】占い依存を克服・脱却する方法とは?

もしもすでに占いに依存してしまっていると感じて、脱却したい場合には、以下の方法を試してみてください。

段階的に頻度を減らして克服を目指す

いきなり占いを完全にやめるのが難しければ、段階的に減らしていきましょう。

毎日見ていたものを週に3回に、週に3回だったものを週に1回に、といったように徐々に頻度を下げていきます。

占いにアクセスしにくい状況を作り出す

占いサイトのブックマークを削除したり、占いアプリをスマートフォンから削除したりして、占いにアクセスしにくい環境を作りましょう。アカウントを消してしまうのも一案です。

占いが「めんどくさい」存在になれば、自然と足は遠のきます。

代わりとなる行動を決める

占いを見たくなった時の代替行動を決めておきましょう。

例えば、散歩をする、音楽を聴く、友人に電話をする、日記を書くなど、他の健全な活動に置き換えます。

アルコール依存症の患者の中には、飲みたくなったらサポートしてくれる人に電話をする、と決めている人もいます。占いと距離を置きたいのにやめられない、という人は、占い依存を打ち明けられる人を探して、「もし占いをしたくなったら電話をしてもいい?」と聞いてみるのもいいでしょう。

カウンセラーや精神科医など専門家に相談する

重度の占い依存の場合は、心理カウンセラーや精神科医などの専門家に相談することをお勧めします。依存症の治療には、専門的な知識と経験が必要な場合があるでしょう。

そもそも、日本でスピリチュアルや占いが人気な理由は、欧米のようにセラピー文化カウンセリング分野発達していないから、という説もあります。

適度な頻度でカウンセリングに通うことで、占い欲が消える場合もあるはずです。カウンセリングに通うのが億劫だという人は、オンラインカウンセリングを探してみましょう。

まとめ。占いは自分を知り、サポートしてくれる一つのツール

占いにハマることは、ストレスと情報の多い現代社会を生きる私たちにとって自然な心の動きであり、悪いことではありません。大切なのは、占いを人生の主役にするのではなく、あくまで脇役として上手に付き合うことです。

あなたの人生の主人公は、占いではなく、あなた自身です。

占いは時々相談する友人のような存在として、適度な距離感を保ちながら楽しんでください。そして、迷いや不安を感じた時は、占いだけでなく、自分の直感や周囲の人々の意見にも耳を傾けながら、自分らしい選択をしていきましょう。

占いとの健全な関係を築くことで、より豊かで主体的な人生を送ることができるはずです。

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