【国際ロマンス詐欺】の実態。平均被害額1千万。被害者の5割は〇〇

最近、外国の方が日本人にSNSで接触し、恋愛感情を抱かせたうえで金銭を要求する「国際ロマンス詐欺」が増加しています。警察庁の調査(※1)によると、その件数は年々増加傾向にあり、平均被害額は1千万を超えているそうです。

令和5年の国際ロマンス詐欺の平均件数は1575件ですが、これは氷山の一角にすぎません。なぜなら、多くの国際ロマンス詐欺の被害者たちは、「騙されたことを知られるのは恥ずかしい」「被害を届け出ても、どうせお金は戻ってこないから、あきらめよう」と口を閉ざしてしまうからです。

そのため、実際の被害件数は報告されている数よりもかなり多いと考えられています。「被害を届け出てもお金が戻って来る可能性が低い」というのは、残念ながら、事実です。友人の弁護士は、何件か国際ロマンス詐欺の被害者から依頼を受けたことがあったそうですが、結果的には、一件もお金を取り返すことができなかったと言います。

国際ロマンス詐欺は比較的新しい犯罪であり、それゆえに取り締まるのが非常に難しく、被害にあっても、弁償されないケースがほとんどです。ですから、国際ロマンス詐欺にひっかからないように、注意しておく必要があります。

今回は、国際ロマンス詐欺師の見分け方や、どういった人がターゲットにされやすいのかについて簡単に解説していきます。「自分が国際ロマンス詐欺にひっかかるはずない」と過信されている方こそ危ないですから、危機意識をもって国際ロマンス詐欺に関する基礎知識をつけておきましょう。

目次

ターゲットになりやすい人はどんな人?



国際ロマンス詐欺師は、基本的に「数討てば当たる」方式で、闇雲にアプローチをかけます。そして、「この人からは金を引っ張れそう」「騙せそう」と思った人を標的にします。

国際ロマンス詐欺のニュースが取りざたされる際、「こんな詐欺に騙されるなんてバカだ」「騙されたほうも警戒心がなさすぎる。自業自得」などと発言する人もいますが、それは的外れな中傷です。被害者のなかには、「あんなに仕事ができて、しっかり者の人が騙されるなんて」と、驚かれる人も少なくありません。どんな人でも、心の隙間につけこまれる可能性は十分にあると認識しておく必要があります。

国際ロマンス詐欺は誰でも被害にあってしまう可能性のある犯罪ですが、とくに、以下の状況にある方は、目を付けられやすいようです。

国際ロマンス詐欺のターゲットになりやすい人1 孤独を感じている人

孤独な人や長期間パートナーがいない人は、人とのつながりや愛情を求めているケースがあります。国際ロマンス詐欺はそういった感情につけこみ、甘い言葉をささやいて信頼関係を築こうとします。

国際ロマンス詐欺のターゲットになりやすい人2 経済的に不安定な人

意外に思われるかもしれませんが、経済的に不安定だったり、金銭的な面で将来に不安を抱いていたりする人ほど、詐欺師の標的になりやすい傾向にあります。

国際ロマンス詐欺師は、自分がお金を持っているとか、パイロットなどの高収入で安定的な仕事についていると偽ってターゲットに近づき、自分と結婚すれば経済的な不安は解消されると仄めかすのです。国際ロマンス詐欺師のなかには、「二人の将来のために投資をしよう」と勧誘し、お金を引き出す人もいます。

もとから経済的な不安を抱えていたターゲットは、「この人に賭ければ一発逆転できて、愛もお金も手に入る」という甘い幻想に目がくらんでしまうのです。

国際ロマンス詐欺のターゲットになりやすい人3  信じやすい人

他人を信じる傾向が強く素直な人は、国際ロマンス詐欺師にとって騙すのが簡単な都合のいいひとです。国際ロマンス詐欺師は、人を信じるという善良な気持ちにつけ込んで犯罪を行います。
国際ロマンス詐欺の被害にあった被害者は、金銭的にもダメージを受けますが、それよりも大きなダメージを心に受け、もう二度と人を信じられなくなってしまう、というケースもあるのです。

国際ロマンス詐欺のターゲットになりやすい人4 40代以上の人

警察庁の資料によると、令和5年の国際ロマンス詐欺の被害者の数は1575人で、そのうちの約5割が女性です。国際ロマンス詐欺の被害にあうのは女性が多いというイメージがある方もいるかもしれませんが、実際は、男女半々がターゲットになっていますから、男性も気をつける必要があるでしょう。

被害時の年齢のボリュームゾーンは40代から60代で、男性の場合は50代が一番多く、女性の場合は40代が一番多いようです。

40代以上の人がターゲットになりやすい理由は様々ですが、「老後の不安」のほかに、「SNSネイティブではない」ことが挙げられるでしょう。SNSネイティブはSNSの危険性を知っている人が多いですが、40代以上は危険性を認識できていない方も少なくないようです。

国際ロマンス詐欺のターゲットになりやすい人5 国際恋愛に憧れている

英語を使いたい、海外に住みたい、ハリウッド俳優みたいな人と付き合いたい、など、外国人との交際に夢を見ている人は、ターゲットになりやすい傾向にあります。日本人同士の交際ならおかしいと気がつけることでも、「国際恋愛憧れフィルター」を通してみると、目が曇って冷静な判断ができないケースも珍しくありません。

国際ロマンス詐欺はどのようにターゲットに接触する?SNSとアプリに注意!

次に、国際ロマンス詐欺師がどのようにターゲットと接触するのか、についてみていきましょう。

国際ロマンス詐欺師がターゲットと接触する方法1 最も多いのはSNS

国際ロマンス詐欺師はSNSを通じてターゲットを探しがちです。警察庁の調査によると、男性の場合、フェイスブックからのコンタクトが一番多く、女性の場合はインスタグラムからのコンタクトが一番多いそうです。

国際ロマンス詐欺師がターゲットと接触する方法2 二番目に多いのはアプリ

二番目に多い接触方法はマッチングアプリです。国際ロマンス詐欺師は、マッチングアプリに魅力的な人物を装って登録し、アプローチをかけます。

SNSやマッチングアプリでターゲットに接触したあとは、メールや電話、ビデオ通話などでコミュニケーションを取り、信頼を勝ち取っていきます。

国際ロマンス詐欺がお金を引き出すよくある手口とは?

国際ロマンス詐欺師が使用する手口は様々で、日々、新しい戦略が立てられています。ここでは、よくある手口を3つ紹介しておきます。

国際ロマンス詐欺がお金を引き出すよくある手口1 事前支払いを求める

国際ロマンス詐欺師はしばしば、偽の緊急事態や経済的な困難を偽って支援や援助を求めます。彼らは金銭を送金するように相手を説得し、その後、姿をくらますのです。

国際ロマンス詐欺がお金を引き出すよくある手口2  贈り物や小切手の送付

国際ロマンス詐欺師は、相手に贈り物や小切手を送ると主張し、その見返りとしてターゲットに送金を求めることがあります。

国際ロマンス詐欺がお金を引き出すよくある手口3 旅行費用を求める

国際ロマンス詐欺師は、相手と会うための旅行費用を支払うように求めることがあります。しかし、実際に旅行計画は存在せず、送金を受け取った詐欺師は消えてしまうのです。

このほかにも、「ふたりで家を買うための費用」「ふたりの新生活のためにお金を増やしたいから投資をして」などの手口でお金を引き出す詐欺師も珍しくありません。

国際ロマンス詐欺師を見破る方法とは?



最後に、国際ロマンス詐欺師を見破るためのヒントを紹介していきます。

国際ロマンス詐欺師を見破るヒント1 急な経済的支援の要求

相手が突然、緊急事態や経済的な困難を訴え、金銭の支援を求めてくる場合は警戒が必要です。慌ててお金を振り込む前に、身近な人や警察に相談してみましょう。

国際ロマンス詐欺師を見破るヒント2 距離のつめかたが早すぎる

相手が短期間で親密な関係を築こうとしてくる場合は注意が必要です。出会ってすぐに愛しているとか結婚しよう、などのセリフを口にする場合は、疑ってかかりましょう。

国際ロマンス詐欺師を見破るヒント3 話が矛盾している

相手の語っている情報に矛盾がある場合は警戒が必要です。国際ロマンス詐欺師はたいてい偽の職業を名乗っています。警察庁の調査によると、国際ロマンス詐欺師が語る職業は様々ですが、多いのは、会社役員、投資家、医療関係者、などのようです。

国際ロマンス詐欺師を見破るヒント4 実際に会うことを頑なに拒否する

相手が実際に会うことを様々な理由をつけて回避しようとする場合、怪しいと考えてよいでしょう。
気を付けておきたいのは、「ビデオ通話」ができたからといって相手が実在しているとは限らない点です。近年はディープフェイクなどの技術も向上していますから、偽の顔を作ってビデオ通話をすることは容易だと認識しておきましょう。

さいごに。国際ロマンス詐欺被害にあってしまったら?

国際ロマンス詐欺の件数は年々増加しており、被害は拡大しています。気を付けていたけれど被害にあってしまった、という場合は、警察や弁護士に相談してみましょう。
また、ネットで国際ロマンス詐欺師の情報を拡散することで、第二、第三の被害者を生み出すことを阻止できる可能性もあります。いずれにせよ、被害にあった自分を責めるのはやめておきましょう。
悪いのは、人を騙す詐欺師のほうです。

※1
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-romance20240311.pdf

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