なぜスピってしまう?スピリチュアルにハマる人の特徴・心理・対処法

現代社会で「スピリチュアル」にハマる人が増えているのはなぜでしょうか?

最近、友人が突然宇宙の話ばかりするようになった

家族がスピリチュアルな言葉を使い始めて心配

など、身近な人のスピリチュアルへの傾倒に戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。

理屈では解決できない悩み孤独感が増す中、スピリチュアルは多くの人にとって心の拠り所となっています。

スピリチュアルにハマる人は「スピっている」として遠ざけられたり、「急に気づいてしまった人」と揶揄の対象になったりしがちです。

果たして、スピリチュアルに傾倒することは本当に危険なのでしょうか?

本記事では、なぜ人はスピリチュアルにハマるのか、惹かれやすい人特徴心理危険性メリット適切な接し方について解説していきます。

「身近な人がスピっていて心配」という方は本記事をぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

今来今

編集者を経て現在フリーライター。複数メディアにて、執筆・連載中。視界が開けるような記事を発信していきたいです。

目次

スピリチュアルとは?「スピってる」の意味

「なんとなくスピリチュアルは怖い…」「スピっている人は苦手…」

という人も少なくないでしょう。

まずはスピリチュアルとは何か、について確認していきましょう。

スピリチュアルとは…

「スピリチュアル」とは、本来「精神的な」「霊的な」という意味の英語ですが、現代日本では、科学では説明できない現象や、目に見えない世界(霊的な世界や宇宙的なエネルギーなど)を信じる思想や実践全般を指します。

「スピってる」という言葉は、スピリチュアルな考え方や行動に深く傾倒している状態を表す俗語(スラング)です。

主に、占星術、オーラ、チャクラ、前世、波動、宇宙人などの目に見えない概念に強く共感し、日常的に取り入れている人を指します。

具体的にはどんなスピリチュアルがある?

スピリチュアルの種類は、多種多様です。

例えば、2005年から2009年の4年間、テレビ朝日では「オーラの泉」という番組が放送されていたました。MCは美輪明宏(歌手・俳優)江原啓之(作家・オペラ歌手)。「オーラが見える」と公言する二人が、ゲストたちのオーラを診断し、さまざまなアドバイスを行なっていたこの番組は、まさに「スピっている」番組だと言えるでしょう。

また、近年、元風俗嬢の女性・「子宮委員長はる」(現在改名)によって創設された「子宮系スピリチュアル」は、一部女子たちの間で人気を博しました。子宮系女子とは、子宮の声に従って生きる女性のことです。

「子宮委員長はる」は、働き方講座や恋愛講座など多数の講座を開催するほか、「子宮鑑定」という鑑定書の発行も行なっていました。直接子宮を見て確認するのではなく(そもそも子宮は外からは見えません)、霊視することで、子宮を診断し、占っていました。

スピリチュアルに馴染みがない方は、「オーラ?そんなの見られるわけない」「子宮に従う?何を言っているの?」「タロットカードで潜在意識を読み取る?」と理解できない気持ちが湧くでしょう。

スピリチュアルはそれを信じていない人から見ると、とても奇妙で、理屈が通っていないものに見えることも多く、そのため、軽視されたり揶揄されたりしがちなのです。

スピリチュアルにハマる人が増えているって本当?理由は?

「スピリチュアルにハマる人が増えているらしいが、本当か?」そう思う方もいるでしょう。

近年、SNSの普及やコロナ禍による生活様式の変化も相まって、スピリチュアルへの関心は確かに高まっています。

アメリカのZ世代の間では、誕生日パーティーに余興としてミディアム(霊媒師)を呼ぶことが流行っているとか。

なぜ現代人は、スピリチュアルを実生活に取り入れようとするのでしょうか?それにはいくつかの理由が考えられます。

理屈では解消できない悩みが増えているから

ひとつには、理屈では答えが得られない実存的な悩みが増加していることが挙げられるでしょう。

例えば、生まれながらの格差や、コロナなどの伝染病など、なぜこんな理不尽なことが起こるのか、簡単に答えの出ない問題がたくさんあります。

スピリチュアルは、そういった答えのない問題明確な答えを差し出してくれる特効薬の役割を果たすことがあるのです。

孤独感・孤立感の増加しているから

また、対面で人と会うことが少なくなったために、人々の孤独感が増している点も関係しているでしょう。スピリチュアルの中には、人々の孤独を癒すものも存在しています。

例えば、「ユニバース」(宇宙)と自分は同一のものであり、みんな繋がっているのだ、という教義を持つスピリチュアルもあります。

孤独感を抱いている時に、世界全体との繋がりが感じられる教えに出会ったら、救われた気持ちになるかもしれません。

宗教に対するアレルギーがあるから

理不尽に苦しめられたり、孤独感を感じたりした際、多くの国ではキリスト教、イスラム教、ユダヤ教などのメジャーな宗教がセーフティネットとして機能しがちです。こういった宗教には強固なコミュニティがあるので、信仰することで自動的に孤独感は和らぎます

一方、日本人は、オウム真理教などの事件の影響もあり、宗教に対するアレルギーのようなものがある人が多く、「宗教=怪しい。危険」と感じがちです。そのため、宗教に救いを求める人が少なく、一部のスピリチュアルが宗教と同じ役割を果たしているのです。

大抵のスピリチュアルは、本格的に入信して学ぶ必要がある宗教に比べると敷居が低いため、気軽に足を踏み入れやすいのです。

なぜ沼る?スピリチュアルにハマる人は女性が多いの?

スピリチュアル好き=女性」という印象がある人も多いでしょう。占いやスピリチュアルイベントの顧客の多くは女性ですから、表面的にはスピリチュアル好きは女性が多いように見えます。

なぜ、スピリチュアルの顧客は女性がメインターゲットなのでしょうか?

それは、男性より女性の方が、感情表現精神的なつながりを重視するように育てられているからです。男性は「男のくせに泣くな」と感情表現を抑制されがちな一方、女性感情を見せることは「やっぱり女の子だから優しい」と推奨されます。

そのため、理性より感情で理解するようなスピリチュアルの現場に、女性は躊躇なく足を運ぶことができるのです。

また、女性の方が社会的な競争から降りやすい、という背景もあります。

社会的プレッシャーやストレスからの解放手段としてスピリチュアルを求める女性の中には、大企業を辞めて、スピリチュアルヒーラーとして独立するなど、思い切った手段に出る人もいます。

男性の場合、社会から「働いて成功しろ」「家族を養えるくらい稼げ」というプレッシャーが強いため、スピリチュアルに惹かれても、現在の暮らしを投げ出すほどの行動には出られない場合が少なくありません。

スピリチュアルを求める気持ちに、性別は関係ない

上記の理由から、スピリチュアルビジネスの顧客の多くは女性です。

しかし、だからと言って一概に、女性が男性よりスピリチュアルにハマりやすい、とは言えません。

スピリチュアルを求める心は性別関係なく存在していますが、性別役割や社会からのプレッシャーによって、「スピリチュアルへのハマり方が男女で異なる」というのが正しいでしょう。

男性の場合、表立って語らない傾向があるため、見えにくいだけという側面もあります。

実際、瞑想やマインドフルネス、気功などの分野では多くの男性実践者がいます。また、男性が読んでいるビジネス書、自己啓発書の中には、気持ちの持ちようや目に見えない世界について語っているものも多く、パッケージだけ実用書らしく見せているけれど、内実はスピリチュアル本だというケースも多々あるのです。

スピリチュアルにハマりやすい人の特徴・心理

スピリチュアルにハマりやすい人には、いくつかの共通した特徴が見られます。ここでは、よく見られる特徴について確認していきましょう。

答えのない問いに答えを出したいという強い欲求がある

人生の意味自分の進むべき道について不安を感じ、明確な答えを求めている人は、答えを与えてくれるスピリチュアルにハマりがちです。

トラウマがある・つらい体験をした

過去に失恋、離婚、病気、リストラ、モラハラ、DVなどつらい体験をした直後に、何か頼れるものを求めてスピリチュアルに近づく場合もあります。

現実逃避願望がある

困難な現実に直面したとき、別の解釈や世界観に安心感を求めることもあります。

例えば、低賃金の仕事と無給の家事に追われて毎日苦しい生活をしている女性が、「子宮の声に従うだけで女性は稼げるし、幸せになれる」という子宮系スピリチュアルに出会ったとします。

頭では、理屈が通っていないと思いつつも、「もしそうだったらいいな」という気持ちから、提唱者の話にのめり込んでいくケースもあるのです。

共感能力が高い性格が多い

他者の感情雰囲気に敏感で、直感的な判断を重視する人は、スピリチュアルにハマる適性が高いと言えるでしょう。

今、スピリチュアルにハマっている人の言葉遣いや態度の特徴

次に、スピリチュアルにハマっている人によく見られる特徴について見ていきましょう。

言葉遣いが変化する

スピリチュアルにハマっている人は、「波動」「エネルギー」「宇宙」「」「風の時代」「レムリア」「アセンション」などのスピリチュアル用語を頻繁に使うようになりがちです。

情報収集に偏りが見られる

特定のスピリチュアル系インフルエンサーやコンテンツばかりをフォローして、インプットする情報が偏っていきがちです。

生活全般にスピリチュアルを取り入れる

パワーストーンのブレスレットを使う、アファメーション(ポジティブな声かけを自分で行う)を心がけるなど、スピリチュアルを生活全般に取り入れる人もいます。

出費が増える

占い、ヒーリング、セミナー、お茶会などに多額のお金を使うようになる人もいます。

教える側に回ろうとする

スピリチュアルにハマったばかりの人は、自分は目覚めたのだという意識を持ちます。そして、この知識を周囲の人たちにシェアしたいと思い始め、教えようとします。

また、スピリチュアルな仕事を始めたいと望む人も多いです。スピリチュアルヒーラーや指導者、カウンセラーあるいは占い師になるために、講座に通い始める人もいます。

スピリチュアルにハマる「メリット」もある?

スピリチュアルな考え方や実践には、ポジティブな側面注意すべき側面の両方があります。まずはメリットから解説しましょう。

心の安定が得られる

最も大きなメリットは、心の安定安心感が得られるという点でしょう。スピリチュアルな教えが、不安や恐れに対処するための精神的な支えになることもあります。

自分について理解が深まる

内省や瞑想を通じて、自分に対する理解が深まる機会にもなるでしょう。

ウェルビーイングの向上

マインドフルネスや瞑想など科学的にも効果が認められているスピリチュアル実践も存在しています。これにより、幸福度が上がったり、生産性が上がったりするケースもあります。

孤独感の解消される

スピリチュアルなコミュニティに頻繁に行く、参加することで仲間ができ、孤独が癒やされる可能性もあります。現実世界で感じている不満を話し合うことでストレス解消につながるかもしません。

共感性や思いやりの醸成

他者や自然との結びつきを大切にする価値観が育まれます。一説には宗教やスピリチュアルにハマっている人ほど、地域貢献意識やボランティア参加率が高いとも言われています。

精神面に気持ちを向けることは、自分だけではなく他人にもいい影響を与える可能性があるのです。

スピリチュアルに関わるときに注意したい点・デメリット

次に、スピリチュアルに関わるときの注意点を解説します。

現実逃避し過ぎてしまう

スピリチュアルにどっぷりハマることで、現実の問題から目を背け、解決を先延ばしにする危険性があります。

現実を疎かにせず、地に足をつけたスピリチュアル実践を心がけましょう。

経済的に搾取される

スピリチュアルリーダーの中には、信者を騙したり搾取しようとしたりしている人も少なくありません。高額なセミナーや商品に依存させる商業的な側面があることを忘れてはならないでしょう。

特に、資格商法には注意が必要です。「スピリチュアルリーダーになるための講座」「XXさん公認心理学専門家になる講座」などに大枚を叩いたのはいいけれど、結局、全く役に立たなかった、というケースも多々あります。

思考の硬直化、科学の否定

特定の信念に固執し、異なる意見や科学的知見を拒絶するようになるのも問題です。例えば現代医療を拒否し、代替療法だけで治療しようとした結果、命を落としてしまう人もいます。

いきすぎた「自然派」は自分や大切な人の命を奪いかねないのです。

依存的な関係に陥る、マインドコントロールされる

特定の占い師やスピリチュアルリーダーに過度に依存してしまうと、マインドコントロールされ、搾取されてしまう可能性があります。

信じるものがあるのは素晴らしいことですが、「決定権があるのは自分」ということは忘れないでおきましょう。適切な距離感で関わることが大切です。

要注意!家族や友人、恋人がスピリチュアルにハマってしまったら

最後に、家族や友人、恋人など大切な人がスピリチュアルに深く傾倒している場合、どのように接するべきか、を確認しておきましょう。

まずは否定ではなく、尊重してあげる

気をつけなければならないのは、まずは頭ごなしの批判否定は避ける、という点です。

どれだけ怪しいカルトを信じているように見えたとしても、真正面から否定すると関係が悪化するだけではなく、関係を切られ、より深みにハマる可能性もあります。

最初にするべきことは、興味を持って話を聞くことです。なぜそれに惹かれるのか、どんな体験をしているのか、理解しようとしましょう。

大人同士の関係の場合、最終的な選択は相手に委ねることも必要です。

建設的な関わり方をする

建設的な会話を心がけましょう。

例えば、相手が「自己成長」のためにスピリチュアルにハマっていると言ったなら、「自己成長」のために別のアプローチを紹介することもできるかもしれません。また、特定の情報源だけではなく、さまざまな視点を検討することの大切さも伝えましょう。

その際、押し付けるのではなく、「あくまでこれは私個人の意見だけど」という姿勢を忘れないことが大切です。

大切なのは、相手との関係を途切れさせないようにすることです。関係を途切れさせずに、具体的な危険信号が現れたら、しっかり把握しておきましょう。

具体的な危険信号

  • 多額の金銭を注ぎ込む
  • 家族や友人との関係を断とうとする
  • 薬や医療を拒否し始める
  • 大好きだった仕事を辞めスピリチュアルな仕事を探そうとし始めた、離婚を考え始めた、などスピリチュアルの影響で極端な行動変化が見られる
  • あらゆる決断をスピリチュアルリーダーに委ねている

深刻な状況での対応

上記の危険信号が深刻になってきたり、明らかな危険が伴ったりする場合は、専門家(カウンセラーや消費生活センターなど)に相談することも検討しましょう。特に精神的な不調が背景にある場合は、心理専門職のサポートが必要かもしれません。

お金を騙し取られている場合は、弁護士に相談してみてください。弁護士の心当たりがない場合は、法テラスを活用してみてください。

法テラス(国が設立した法律相談の公的機関)
https://www.houterasu.or.jp

スピにハマっている人を頭ごなしに批判するのは逆効果

スピリチュアルへの関心は、現代社会における不確実性への不安精神的な拠り所を求める自然な心理から生まれることが多いものです。

性別に関わらず、人は人生の意味心の安定を求めてさまざまな思想や実践に惹かれます。スピリチュアルに関心があることそれ自体は悪ではありません

しかし、生活に悪影響が出るハマり方をしている人が身近にいる場合は、注意して見守ってあげる必要があるでしょう。

大切なのは、相手の選択を尊重しながらも、いざという時に手を差し伸べることです。スピリチュアルにハマっている人が孤立してしまうと、余計に危ない方にいってしまう可能性があります。

まずは、慎重に対話をしながら、関係を維持していくことが大切でしょう。

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