「太った?」「その服似合わないね」
「結婚まだなの?」
など、思わず耳を疑うような発言を悪気なくしてしまう人、あなたの周りにいませんか?
本人に悪意はないのに、なぜかいつも人を傷つけてしまう「デリカシーがない人」。今回は、そんな「デリカシーがない人」たちの特徴や心理を理解し、上手に付き合うコツについて詳しく解説していきます。
デリカシーがない人とは?

デリカシーとは「相手の気持ちを思いやる繊細さ」「場の空気を読んで適切に振る舞う配慮」のことを指します。
悪意がないからこそタチが悪い
デリカシーがない人の多くは、実は根本的に悪い人ということではありません。むしろ人懐っこく、親しみやすい性格の人も多いのが特徴です。
だからこそ、周囲の人は「嫌いになれないけれど、一緒にいると疲れる」という複雑な感情を抱くことになります。
優しいけどデリカシーがない人も多い
特に厄介なのが「基本的には優しいけれど、デリカシーだけがない」というタイプです。
困っている時には真っ先に手を差し伸べてくれるのに、「大丈夫?顔色悪いよ、病気?そういえば最近太ったよね」などと大声で言ってしまう。
そんな人たちの存在が、この問題をより複雑にしています。
デリカシーがない人によくある発言・行動例

デリカシーがない人の言動には、いくつかの共通パターンがあります。以下で具体例を挙げながら見ていきましょう。
外見に言及する
- 「太った?」「痩せた?体調大丈夫?」
- 「その服、似合わないね」「髪型変じゃない?」
- 「肌荒れてるね、ストレス?」「疲れてる?老けて見えるよ」
- 「背が低いね」「足が短いね」
プライベートを詮索する
- 「結婚まだなの?」「子供はまだ?」
- 「彼氏(彼女)いないの?なんで?」
- 「お給料いくら?」「家賃いくら払ってるの?」
- 「なんで独身なの?」「離婚の理由は?」
空気を読まない
- 静かな場所で大きな声で話す
- 深刻な話の最中に関係のない話題を持ち出す
- 他人の失敗談を面白おかしく話す
- 相手が話しているのに割り込んで自分の話をする
- 人前で他人の恥ずかしい話をする
無自覚に比較する
- 「◯◯さんの方が若く見える」
- 「前の彼氏(彼女)の方がよかったんじゃない?」
- 「◯◯さんの子供の方が成績いいよね」
- 「同じ年なのに、◯◯さんの方が出世してるね」
善意を押し付ける
- 断っているのにしつこく食べ物を勧める
- 相手が望んでいないアドバイスを延々と続ける
- 「あなたのため」と言って余計なお世話をする
- 相手の価値観を否定して自分の考えを押し付ける
なぜデリカシーのない発言をしてしまうの?心理的要因をチェック

ところで、なぜ人は、デリカシーのない発言や行動をしてしまうのでしょうか? その背景には、さまざまな心理的要因があります。
共感力が不足している
最も大きな原因の一つが、相手の立場に立って考える共感力の欠如です。
自分が言われても平気なことは、他人も同じように感じるだろうと思い込んでしまっているケースも少なくありません。「冗談で言ったのに」と軽い気持ちでの発言なのかもしれません。
例えば、自分が「太った?」と言われても気にしないタイプの人は、他人も自分と同じように受け取ると勘違いしてしまいます。
役に立ちたいという気持ちが強い
「役に立ちたい」という気持ちが先走り、「私だけが気づいている特別な情報を教えてあげよう」という気持ちから、デリカシーのない発言につながることもあります。
疲れていて判断力が低下している

普段はデリカシーがある人でも、強いストレスや疲労が蓄積すると、判断力が鈍り、無神経な配慮に欠ける発言をしてしまうこともあります。
他者を思いやる余裕がなく、自己中心的になっている
自分のことで精一杯で、相手の気持ちや状況よりも「自分が知りたいこと」「自分が話したいこと」を重視してしまった結果、デリカシーゼロの発言をしてしまうこともあります。

デリカシーがない人との付き合い方・距離感の保ち方

次に、デリカシーのない人と上手に付き合うためのヒントをご紹介します。
相手に期待しない
まず大切なのは、相手が変わることを期待しないことです。相手に変わって欲しいと期待すると、期待が裏切られ、ストレスを感じることになります。
キッパリと線引きする

プライベートな話題や質問については、はっきりと線引きをすることが重要です。
個人情報を教えない
デリカシーのない人には、個人情報を最初から伝えない、という防御策も有効です。
ポジティブな面にフォーカスする
デリカシーのない人にもいい面があるはずですから、相手の良い面に目を向けましょう。
適度な距離感を保つ

物理的・心理的な距離を適切に保つことも大切です。
冷静に指摘する
関係性によっては、冷静に指摘してあげることも有効です。
自分の心の健康を優先する
最も重要なのは、自分自身の精神的健康を守ることです。
今を生きる

デリカシーのない一言で傷つき、一日中気分が落ち込んだり、何日経っても忘れられなかったりするときは、「今この瞬間」にフォーカスしましょう。「今この瞬間」はなんの問題もないはずです。
妄想を断ち切る
デリカシーのない発言をされたことで、「あんなこと言うなんて私のことバカにしてるのかな?」「あの言葉を聞いた周囲の人は、呆れているかも」とネガティブな思考が加速するケースもあるでしょう。しかし、それらは全てあなたの妄想であり、デリカシーのない発言をした人の真意は、当人にしかわかりません。

自分がデリカシーのない人にならないための注意点

最後に、自分自身がデリカシーのない人にならないための予防策をご紹介します。
発言前に一呼吸置く
対処法として、話す前に一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。
「この発言で相手はどう感じるだろうか?」「今この話題を持ち出すのは適切だろうか?」と自問自答することが大切です。
相手の立場に立って考える

相手の状況や感情を想像する力を養いましょう。
同じ言葉でも、反対に相手のおかれた状況によって受け取り方は大きく変わります。
繊細なトピックは慎重に扱う
以下のような話題は、特に徹底した配慮が必要だと心得ましょう。
- 外見に関すること(体重、容姿、年齢、人種)
- プライベートな人間関係(恋愛、結婚、家族)
- •経済状況(ビジネス、収入、支出、住居)
- •健康状態(病気、体調、メンタル)
- •個人的な選択(生き方、価値観、人生設計、出産、宗教、政治)
相手の反応をしっかり観察する
相手の表情や態度の変化に注意を払いましょう。
不快そうな表情を見せたり、話題を変えようとしたりする時は、要注意。その話題から離れることが賢明です。
フィードバックを受け入れる

他人からデリカシーがない発言だと指摘された時は、素直に受け入れる姿勢を持ちましょう。
反発したり、そんなつもりはなかったと否定したりするのではなく、「教えてくれてありがとう」という気持ちで改善に努めることが大切です。
「自分の常識=他人の常識」ではないと意識する
人それぞれ価値観や感じ方が違うということを理解し、自分の常識が必ずしも他人の常識ではないということを心に留めておきましょう。
さいごに。傷つけ合わない人間関係を築くために
デリカシーのない人との関係は確かに疲れますが、彼らの多くは悪意を持って行動しているわけではありません。親しい友達や同僚であっても、適切な距離感を保つことで、無理のないストレスフリーな関係を築くことはできるでしょう。
同時に、自分自身もデリカシーのない発言をしてしまう可能性があることを認識し、相手への想像力を働かせながらコミュニケーションをとることが大切です。
