「察してほしい」が伝わらないのはなぜ?気持ちが届く伝え方のコツ

なんで分かってくれないの?

そんなモヤモヤを抱えた経験、きっと一度はありますよね。

忙しそうだから言いにくい角が立ちそうで言えない――だから「察してほしい」。

でも、何も伝えていないのに察してもらえるほど、人は相手の心を読むのが得意ではありません
むしろ、相手に期待し過ぎると、「察してほしい」が叶わないたびに失望し、自分が苦しくなってしまいます。

とはいえ、なんでもかんでも言語化するのもめんどくさいし疲れるもの。

ではどうすれば、「察してほしい」気持ちを大切にしながら、ちゃんと相手に伝えることができるのでしょうか?

本記事では、「察してほしい」が伝わらない理由と、気持ちがスッと届く伝え方のコツをわかりやすく解説します。

この記事を書いた人

今来今

切れ味鋭くリアルを斬るフリーライター。恋愛や仕事、社会のモヤモヤをアラサー女子の先輩目線でズバッと斬り込み、読む人に新しい風を届けます。

目次

「察してほしい」という願いが生まれる理由

ところで、なぜ「察してほしい」という願いが生まれるのでしょうか?
実は、この「察してほしい」という心理には、いくつかの深い理由があります。

「わがまま」だと思われたくない

「疲れたから今日は予定をキャンセルしたい」「もっと構ってほしい」

こうした気持ちを直接言葉にすると、相手に負担をかけてしまう気がしたり、わがままだと思われる、と懸念する人は少なくありません。

だから遠回しに「ちょっと体調が……」と匂わせて、相手から「じゃあ今日はやめとく?」と言ってほしい。

そんな心理が働くのです。

本当に愛されているか試したい

何も言わなくても気づいてくれるかどうかで、相手の愛情を測ろうとする心理が働く場合もあります。

パートナーに「本当に私のことを見てくれているなら、私の変化に気づくはず」と考えるのは、いわば無言のテストです。

たとえ夫婦であっても相手はあなたの生徒ではありませんから、急にテストされることで、嫌な気持ちになることも少なくありません。

感情を曝け出すことが恥ずかしい

「寂しい」「会いたい」「もっと話したい」「好き」

こうした気持ちを言葉にするのは、自分の弱さや欲求を晒すようで甘えているみたいで恥ずかしい。だから「別に大丈夫だけど、もし時間あれば連絡して」みたいな、逃げ道を作った言い方をしてしまう、というケースもあります。

このケースの場合、本心をさらけ出す勇気が、まだ持てていないのです。

「以心伝心」に価値を感じている

「言わなくても分かり合える」「阿吽の呼吸」「以心伝心」

そうした関係こそ素晴らしい、という日本の文化的価値観も、私たちの「察してほしい」心理を強化しています。

言葉にしなくても通じ合えることが、深い絆の証――そんな風に育ってきた私たちにとって、いちいち説明するのは野暮に感じられてしまうのです。

なぜ、あなたの「察してほしい」は伝わらないのか

以上のように、「察してほしい」という願いが生まれる理由はたくさんあります。でも冷静に考えてみてください。

相手はエスパーでしょうか?  残念ながら、答えはノーです。

言葉にしなければ、相手には伝わらない

あなたの頭の中にある考えや気持ちは、言葉にしない限り、相手には届かず、わからないのです。これは当たり前のようで、見落とされがちな真実です。

あなたが「大丈夫」と言えば、相手は文字通り「大丈夫なんだ」と受け取ります。その裏に隠された「本当は大丈夫じゃない」というメッセージを読み取る義務は、相手にはありません

その行動がどの感情に結びつくのかは、人によって違う

あなたにとって重要なサインが、相手にとっても重要とは限りません

あなたが「メッセージの返信が遅い=不機嫌のサイン」だと思っていても、相手は「メッセージの返信が遅い=忙しいサイン」だと思うかもしれません。

あなたの価値観や感じ方を、勝手に相手に当てはめるのは、実はかなり一方的なコミュニケーションなのです。

「察してほしい」は誰も幸せにしない無理ゲー

察してもらおうとしても、気持ちが伝わらないケースがほとんどですから、察してもらえない側は傷つき、「言わなきゃわからないなんて」と不満が残りがちです。

一方、察する側は常に気を張り、顔色を伺い続けることになります。

このゲームに勝者はいません。「察してほしい」という無理な期待を抱くと、両者とも疲弊するだけなのです。

伝え方を変える!「察してほしい」をやめる5つの実践的なコツ

気持ちを伝えたいならば、察してもらおうとするのはなく、素直に気持ちを伝える必要があります。ここでは素直に気持ちを伝えるコツをいくつかの例とともにご紹介します。

「私は〜と感じている」というIメッセージを使う

あなたは○○してくれない」ではなく、「私は△△と感じている」という伝え方に変えてみましょう。

  • 「なんで連絡くれないの?」
  • 「連絡がないと、私は寂しい」

前者は相手を責めるYouメッセージ、後者は自分の気持ちを伝えるIメッセージです。同じ内容でも、受け取る印象は全く違いますよね。

Iメッセージを使うと、相手は責められていると感じにくくなり、あなたの気持ちに耳を傾けやすくなるのです。

「具体的な行動」をセットで伝える

気持ちだけでなく、「具体的にどうしてほしいか」も言葉にしましょう。

  • 「もっと気にかけて欲しい」
  • 「最近疲れてるから、週末は一緒にゆっくり過ごしたい」

抽象的な要求は、相手を混乱させるだけです。具体的な行動を示すことで、相手も応えやすくなります。

これは相手への思いやりでもあるのです。

「タイミング」を選ぶ

相手が仕事などで忙しい時、疲れている時に気持ちを伝えても、十分に受け止めてもらえません。落ち着いて話せるタイミングを上手に見計らうことも、コミュニケーションスキルの一つです。

「今ちょっと話せる?」「少し真面目な話をしたいんだけど、時間ある?」と前置きすることで、相手も心の準備ができます。

「察してほしい」を笑いに変える

完璧に素直になるのが難しいなら、ユーモアを味方につけましょう。

察してちゃんモード発動しそうだから、先に言っておくね

自分の「察してほしい」心理を自覚して、それを笑いに変えられる余裕があれば、相手も身構えずに聞いてくれます。

「小さな成功体験」を積み重ねる

いきなり大きな気持ちを伝えるのは勇気がいります。まずは、日常の小さなことから始めてみましょう。

「今日のランチ、和食が食べたいな」
「このドラマ見たいから、一緒に見ない?」

こうした小さなリクエストを言葉にして、それが受け入れられる経験を重ねることで、「言葉にすれば伝わる」「素直になっても大丈夫」という安心感が育っていきます。

「察してほしい」から「言葉を尽くして分かり合おうとする」へ

「察してほしい」という願いの奥には、「私のことを大切に思って欲しい」「愛されていることを確認したい」という切実な気持ちがあります。その気持ち自体は、決して間違っていません。

でも、その愛を確認する方法を、ちょっとだけアップデートしてみませんか?

相手に暗号を解読させるのではなく、あなた自身の言葉で伝える――それは決してわがままでも、恥ずかしいことでもありません。むしろ、相手への信頼と敬意の表れです。「あなたなら、ちゃんと受け止めてくれる」という信頼があるからこそ、素直になれるのですから。

素直に気持ちを伝えることは、勇気が必要な行為です。その勇気が、関係を一歩前に進めてくれます。

言葉にすれば、相手もあなたを理解しやすくなり、誤解やすれ違いが減り、お互いに楽になります。「言わなくても分かる」関係ではなく、「言葉を尽くして分かり合おうとする」関係の方が、ずっと深く、強い絆を作れるのです。

今日から、ほんの少しだけ、素直になってみませんか? 
あなたの「察してほしい」を、「伝わる言葉」に変えてみませんか?

その一歩が、きっとあなたの人間関係を、もっと心地よいものに変えていくはずです。

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