メールやLINEの通知が光る。
「今度、飲み会やるんだけど来ない?」
画面を見つめたまま、指が止まる。
ビジネス上の付き合いや、友達からのお誘い。
本当は行きたくない。
疲れているし、一人の時間が欲しい。
でも、誘いを断ると「ノリが悪い」と思われる?
「付き合いが悪い」と噂される?
せっかくのお誘いを断るのは失礼じゃない?
なんて断ったらいいのか、わからない…。例文を調べるのも面倒…。
そんな思考が頭の中をぐるぐる回って、結局「行きます」とタップしてしまう。
送信ボタンを押した瞬間、ため息が出る。
行きますなんて言うんじゃなかった。
また、無理をしてしまった……。
そんな経験、ありませんか?
今回は、誘いを断るのが苦手な方向けに、ビジネス上の付き合いや、友達へ角を立てない断り方と、シーン別に誘いを断る例文を解説していきます。例文は、使いやすいフレーズの例文を紹介しているので、ぜひ記事を参考にしてみてくださいね。
【解説】なぜ私たちは誘いを断ることができないのか


そもそも、なぜ私たちは誘いを断れないのでしょうか?
友達・上司・同僚に「嫌われたくない」という恐怖
心理学では、人間には「所属欲求」————集団に受け入れられたいという根源的な欲求があるとされています。
誘いを断ることは、無意識に「拒絶される」「仲間外れにされる」という恐怖と結びついてしまうのです。
特に日本社会では「和を乱さない」ことが美徳とされがちですから、断ることは「協調性がない」「状況をよめない」と見なされるのではないか————そんな不安が大きくなり、断りにくくなってしまっているのです。
「良い人でいたい」「期待に応えたい」良い印象でいたいプレッシャー
「誘ってくれる=期待されている=応えるべき」——そんな思考パターンが働く場合もあります。
「良い人」であろうとするあまり、自分の気持ちを無視してしまうのです。
誘いを断った後に発生する「申し訳ない」という罪悪感の多くは、実際の罪ではなく、「期待を裏切った」という思い込みから生まれます。


シーン別 角を立てずに誘いを断る方法と例文
次に、角を立てない誘いの断り方について解説していきます。
職場の飲み会編(例文あり)
上司や同僚からの誘いは「付き合いも仕事のうち」だと考えると断りづらいですよね。ですが、飲み会は仕事ではありません。プライベートまで仕事の時間に捧げる必要はないのです。
使いやすいフレーズ
- 「お誘いありがとうございます。その日は先約がありまして」 → 明確に先約の内容を言う必要はありません。自分との約束も、立派な「先約」です。
- 「すみません、最近忙しかったので、今日は早く帰って休みたくて」 → 嘘ではなく、本心です。疲れた身体を休めることも、体調管理のうちです。
- 「今月は予定が詰まっていて、また次回ぜひ!」 → 完全拒絶ではなく、「今回は」というニュアンスを出すことで、相手の顔も立ちます。
印象よくお断りするポイント
- 断る理由を細かく説明しすぎない(余計な追及を避ける)
- 「残念ですが」「申し訳ありませんが」を冒頭に添える
- 「また次回」という言葉で、関係性を維持する意思を示す
ただし、「また次回」を毎回使うと、相手も察します。本当に行きたくないなら、何度か断り続けることで、「この人は飲み会には来ないタイプ」という認識が定着し、お誘いのメールやLINEも少なくなってくるでしょう。
友人の集まり編(例文あり)
大切な友人だからこそ、断りにくい——そんなこともあるでしょう。
友達だからこそ、正直ベースで伝える
- 「ごめん、今週末は本気で何もしたくないモードで」
- 「最近疲れてて、一人の時間が欲しいんだ」
- 「楽しそうだけど、今回はパスさせて。体力温存したい」
親しい関係なら、正直に「行きたくない気分」を伝えても大丈夫です。
代替案を提案する
- 「今週はキツイけど、来週なら時間作れるかも」
- 「大人数は疲れちゃうから、また二人でランチしない?」
このように代替案を出すのもいいでしょう。
何度も誘ってくる人編(例文あり)
一度断ってもまた誘ってきて、しつこい誘いにイライラするけど、社内やビジネス上の付き合いで、良好な関係でいたいため、強く言えない場合もあるでしょう。その場合は以下の方法を試してみてください。
境界線を言葉ではっきり示す
「あなたがしつこい」ではなく、「私は今こうしたい」と主語を自分にすることで、攻撃的にならずに境界線を引けます。
- 「ありがとうございます。でも最近、仕事後は自分の時間を大切にしたくて」
- 「お気持ちは嬉しいんですが、今は新しい予定を入れないようにしているんです」
繰り返し断る覚悟
一度で諦めてくれない人には、何度でも同じスタンスで断り続けることが必要です。相手が「この人は断る人だ」と学習するまで、ぶれない姿勢を保ちましょう。


良い印象を残す お誘いを断るタイミングと例文NG表現


次に、断るタイミングとNG表現について確認しましょう。
タイミングは「早めに」が鉄則のマナー
誘われてから24時間以内、できれば数時間以内に返信することで、相手も予定を組みやすくなります。
ギリギリでのキャンセルは、確かに迷惑です。最初から「行けません」と伝える方が誠実でしょう。
避けたいNG表現
- 「たぶん行けないと思います」 → 曖昧な返事は相手を困らせます。行けないなら、はっきり伝えてください。
- 「すみません、その日、XXがあって」(嘘) → 後でバレたときの方がダメージ大です。嘘の都合をでっちあげるのではなく、ぼんやりと、都合が悪いと伝える方がいいでしょう。
- 「私なんかが行っても楽しくないと思うので」 → 自己否定は相手も困らせます。卑屈にならず、シンプルに行かない旨を伝えましょう。
- 長文での説明 → 言い訳がましく聞こえます。短く、はっきりと明確に伝えましょう。
あなたの時間は、あなたのもの
週末の予定を他人に預ける義務はありません。仕事が終わった後の時間を、誰かに捧げる必要もありません。
アドラー心理学では、「課題の分離」という概念があります。あなたが断ることと、相手がどう受け取るかは、別の問題です。あなたの課題は「自分の気持ちを正直に伝えること」。相手がそれをどう感じるかは、相手の課題です。
あなたは、相手の感情をコントロールできません。だから、相手の反応に責任を持つ必要もないのです。
ですから、「誘いを断り、申し訳ない」と思うこともしなくて良いのです。
「誘いを断る」「ノー」が言える関係が、健全な関係
本当に大切な人なら、あなたの「行けない」を受け入れてくれます。
断ったことで関係が壊れるなら、それは断ったことが原因ではなく、もともと対等な関係ではなかったということでしょう。
心理学者のブレネー・ブラウンは、「境界線を引くことは、優しさの最も高度な形」と述べています。自分の限界を知り、それを守ることは、長期的には相手との関係も守ることにつながります。
無理して参加して、イライラした顔を見せるより、正直にはっきりと断って、次に会うときに笑顔でいる方が、よほど相手のためになるのです。
誘いを断ることは、選択する事


「誘いを断る」のではなく、「自分の時間を選ぶ」——そう言い換えてみてください。
何かを断ることは、別の何かを選ぶことです。
家でゆっくり本を読む時間、お風呂にゆっくり浸かる時間、ぼーっとする時間。それらは、飲み会と同じくらい価値があります。
いえ、疲れたあなたにとっては、もっと価値があるかもしれません。
まとめ 「良い人」より「正直な人」へ
誰からも好かれようとすると、自分が消えてしまいます。
全ての誘いに応じることは、優しさではなく、自己犠牲。自己犠牲は長くは続きません。いつか、プツンと糸が切れる日が来ます。
断ることは、冷たさではありません。むしろ、自分を大切にできる人だけが、他者も大切にできるのです。
今度誘いが来たら、まず自分に問いかけてみてください。
「私は本当に行きたい?」 「疲れていない?」 「無理してない?」
その答えが「ノー」なら、相手にも「ノー」と伝えて良いのです。あなたの人生は、あなたのもの。誰かの期待に応えるためのものではありません。











