毎月来る「月経」ですが、月経前後から体調不良でお悩みではありませんか?
仕事や日常生活に支障をきたすほどの苦痛にさいなまれる場合もあり、痛みだけでなく吐き気、めまい、イライラ、憂うつ、倦怠感などを随伴する場合も。
今回はそんな女性特有のお悩みを少しでも軽くするおすすめツボをご紹介します。
なぜ様々な症状がでるの?
鍼灸で治療を行う前に一番大切なことは、「何が原因となって、その症状が起きているのか」を知ることになります。
月経による不調の症状は人によって様々のため、治療に使用するツボがたくさんあります。
そのため、まず最初に不調の原因が何なのかをご紹介していきたいと思います。
月経に際して頭痛、腰痛、腹痛(特に下腹部痛)、胸のむかつき、嘔吐などの症状が発生するものを、「月経前緊張症」や「月経困難症」と言います。
このほかに、無月経や月経周期の異常、月経の持続日数や経血量の異常なども合わせて「月経異常」と言います。
月経前緊張症
「月経前緊張症」は、月経開始の数日前から始まる精神的、身体的症状のことを言い、月経が始まるとともに、症状が楽になったり、なくなったりするものを言います。
症状としては、乳房が張っている感じがしたり、悪心、嘔吐、下腹部の膨満、頭痛、めまい、耳鳴り、全身の倦怠感、不安にイライラなど、現れる症状は様々です。
この「月経前緊張症」は、内分泌(ホルモン)機能の異常が関係していると考えられています。
月経困難症
「月経困難症」は、月経中の下腹部の不快感や下腹部痛、腰痛、それらの痛みが原因となる悪心、嘔吐などです。
「月経困難症」の痛みは、子宮収縮により生じると考えられています。
月経は、身体の中で分泌されるホルモンと子宮内膜の周期的変化によって起こります。
上記で述べたように、それぞれの症状は月経を誘発する過程に何らかの問題が起き、様々な症状となって出ていると考えられています。
東洋学でみる月経異常
東洋医学では、「月経異常」の中で主に「月経周期の異常」をメインとして、経血量や色・質などを把握しながら、その他の異常を関連して病態を把握します。
先ほどご説明したように、月経は身体の中で分泌されるホルモンと子宮内膜の周期的変化によって起こります。これらの働きに異常が起きた場合、月経(周期・量・質)自体に変化が起き、頭痛や腹痛など様々な症状を誘発すると考えるからです。
月経中の下腹部痛は子宮収縮が原因で生じるとお伝えしました。
痛みは、収縮する際に伴って起きるものですが、もし経血量が少なかったらどうなるでしょう。少ない経血を押し出そうとして、収縮が強くなり、そのため下腹部痛が起きると考えられるのです。
東洋医学では、「気」・「血」・「津液」の3つは人体を構成、生命活動を維持するのに重要な物質だと考えます。
「気」とは、全身を巡る気のことで、血を運びます。
「血」は、全身を巡り、臓腑、組織、器官に栄養を運びます。
「津液」は、体内における正常な水液の総称で、汗や涙などをあらわします。
「気」が少なくなるまたは滞ることで「血」のめぐりが悪くなり血行不良が起きる。
「血」が少なくなるまたは滞ることで全身に栄養が行かなくなり、身体全体の不調につながる。などといった、悪循環に繋がります。
つまり、この悪循環が、西洋医学で言う内分泌機能の異常(ホルモンバランスの乱れ)や、子宮内膜の周期的変化を引き起こすと考えられています。
ですから、月経異常の治療を行うことで大切なことは、この乱れたバランスを整えることが大切だと考え、治療を行います。
おすすめのツボ
合谷(ごうこく)
場所_親指と人指し指の骨が交差した部分から、人差し指へ向かって順に押していき、痛みを感じる場所
多くの症状に使われ「万能なツボ」である合谷。鎮痛作用があり。イライラしたり憂うつになったりと心が乱れたときに、自律神経の乱れを整える効果が期待できます。
血海(けっかい)
場所_膝の内側、膝のお皿から2.5cm(指3本分)上がった辺り
血流を良くするツボです。「婦人科系に良いツボ」といわれ、特に下腹部の血流が良くなるので、生理痛や冷えなどの改善につながるほか、血の巡りが良くなることで全身の倦怠感の緩和が期待できます。
三陰交(さんいんこう)
場所_内くるぶしの1番高い位置から指4本分上の骨の際
月経異常、冷え症、精神疲労、体のだるさ、むくみ、嘔吐、胃の痛み、消化不良、食欲不振、お腹が張る、不妊症などなど、こちらも万能と言われるツボ。月経のお悩み改善に必ず使用するツボの一つです。
関元(かんげん)
場所_おへそから指幅4本下がった所
月経異常、のぼせ、元気が出ない、やる気が起こらない、体力が消耗している月経不順など。
参照
・東洋医学概論(医道の日本社)、
・東洋医学臨床論(医道の日本社)、
・ツボ単~経血取穴法・経血由来解説・兪穴単語帳
・日本東洋医学雑誌『月経 困難症 に対する漢方別_年齢 的解析』
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1982/50/5/50_5_869/_pdf/-char/ja)