皆さんは、『フェムテック』という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
2020年は「フェムテック元年」と呼ばれ、フェムテック関連の商品やサービスが数多く登場したことから、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
近年、女性特有の健康をサポートするグッズやサービスが多くの企業、大学などの研究所から提供されています。
今回はそんな『フェムテック』についてご紹介していきます。
監修者:佐賀 絵美 (二子玉川女性のクリニック)
保有資格・所属学会
日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本産科婦人科遺伝診療学会認定医(周産期)
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本抗加齢医学会専門医
婦人科 産科 心臓血管外科
二子玉川女性のクリニック
https://www.futakotamagawa-josei.com
フェムテックとは、簡単に言うとこういうこと
フェムテック(Femtech)とは「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語。女性が抱えている健康課題や体の悩みなどをテクノロジーを使って解決に導く製品やサービスを指します。
この言葉が登場したのは、2012年頃、ドイツの月経管理アプリ「Clue」を開発したデンマークの女性起業家が「フェムテック」という言葉を使用したことがきっかけとされています。
フェムテックとフェムケアとの違い
フェムテックと同様に注目されるようになった言葉に『フェムケア』があります。
フェムテック・フェムケアどちらも、女性の健康やウェルビーイングに焦点を当てた分野ですが、それぞれの意味と範囲には若干の違いがあります。
フェムケアとは
フェムケアは「女性のケア(Female Care)」を意味し、特定のテクノロジーに依存せずに、女性の身体的・精神的なケアに関連する製品やサービスを指します。
また、女性の健康とウェルビーイングをサポートするための製品やサービスを提供することを目的としています。
フェムケアの具体的な例としては、以下のようなものがあります。
・生理用品(ナプキン、タンポン、月経カップなど)
・女性専用の衛生製品(フェミニンウォッシュ、クリームなど)
・妊娠・出産ケア製品(母乳パッド、妊婦帯など)
・リラクゼーションやメンタルケアのためのサービス(ヨガ、マッサージなど)
フェムテックとフェムケアの主な違い
・フォーカス:
フェムテックは技術革新とデバイスに焦点を当て、フェムケアは身体的・精神的なケア製品やサービスに焦点を当てています。
・対象:
フェムテックはアプリやデバイスなどのテクノロジーを利用した製品が中心で、フェムケアは日常的なケア製品やサービスが中心です。
どちらも女性の健康をサポートする重要な分野であり、相互補完的な関係にあります。
ツライ症状を解決するフェムテックの技術
フェムテックが解決のサポートをしてくれうる主な分野には、月経・妊娠・産後ケア・更年期・セクシャルウェルネス(性の健康)があります。
そのため、フェムテックは以下のような悩みがある女性におすすめです。
■月経(生理)管理
<お悩み>
・生理中も快適に過ごしたい
・PMSがつらい
・生理周期や排卵日を簡易的に予測したい
<フェムテックでできること>
・生理周期トラッキングアプリ:
生理の開始日、終了日、症状を記録し、次の生理日や排卵日の予測を行います。
・月経カップやスマートタンポン:
使用状況をモニタリングし、スマートフォンと連携して管理できます。
■排卵・妊娠管理
<お悩み>
・将来の妊娠に備えたい
<フェムテックでできること>
・排卵検査キット:
尿や唾液のホルモンレベルを検査し、排卵日を予測します。
・スマート基礎体温計:
基礎体温を自動で記録し、排卵日や妊娠可能期間を予測します。
・妊娠トラッキングアプリ:
妊娠中の体調管理や胎児の成長をモニタリングし、妊婦に必要な情報を提供します。
■産後・体調ケア
<お悩み>
・授乳時間を手軽に把握したい
・産後、体型が戻らない
・尿漏れに悩んでいる
<フェムテックでできること>
・母乳追跡アプリ:
授乳時間や量を記録し、母乳育児のサポートを行います。
・産後リカバリーデバイス:
骨盤底筋のトレーニングを支援するデバイスなどがあります。
■更年期サポート
<お悩み>
・更年期を快適に過ごしたい
<フェムテックでできること>
・ホルモンバランスモニタリング:
ホルモンレベルをチェックし、更年期症状の管理や改善に役立つアドバイスを提供します。
・更年期症状管理アプリ:
症状を記録し、適切な対策や治療法を提案します。
■セクシャルウェルネス
<お悩み>
・セルフプレジャーを楽しみたい
・セックスの頻度や日時を管理したい
<フェムテックでできること>
・セクシャルヘルスアプリ:
セックスの頻度やパターンを記録し、性健康に関するアドバイスを提供します。
・スマートバイブレーター:
使用データを収集し、個々のニーズに合わせたフィードバックを提供します。
■女性の健康全般
<お悩み>
・デリケートゾーンのニオイが気になる
<フェムテックでできること>
・パーソナライズド健康アドバイス:
ライフスタイルや健康データに基づいて、個別の健康アドバイスを提供します。
・遠隔医療サービス:
オンラインで医師と相談し、女性特有の健康問題に関するアドバイスや治療を受けることができます。
それぞれの分野において、さまざまな商品やサービスが揃っているため、自分の悩みに合わせて活用してみてくださいね。
フェムテックに力を入れている企業と商品一覧
経済産業省は、令和3年度より「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を立ち上げ、女性の就業継続を支援し人材の多様性を高めることで、中長期的な企業価値の向上を図る活動をしています。
「フェムテック等サポートサービス実証事業」にて取り組みを行っている企業のサービスを、お悩みごとに紹介します。
■月経・PMS
・TOPPANエッジ株式会社
『ヘルスケアIoTサービス「わたしの温度」』
自身の温度リズムを把握し、婦人科医師による「行動変容研修」や「オンライン医療相談サービス」の複合プログラムを通し、労働パフォーマンスの分析・効果測定を行います。
参照:https://www.femtech-projects.jp/project/45.html
■妊娠・不妊
・株式会社Famileaf
『『hug+u』(はぐゆー)』
妊婦とパートナーの生活を支援する体調管理アプリ
妊婦およびそのパートナーに対し、妊娠期の体調管理や自身のケア等に関する情報、および体調管理ツール(『hug+u』(はぐゆー))を継続的に提供し、妊娠期のヘルスリテラシーの向上を目指します。
参照:https://www.femtech-projects.jp/project/47.html
■産後ケア
・株式会社TENGAヘルスケア
『K-Gel CHECKER』
骨盤底筋の筋力可視化とトレーニング支援アプリで骨盤底筋トレーニングの継続を支援。
骨盤底筋のダメージが主な原因となる尿失禁や骨盤臓器脱の改善と予防し、尿失禁や骨盤臓器脱等の予防・改善やその他の骨盤底筋トレーニングの効果によって、女性のQOL向上に貢献していきたいと考えます。
参照:https://www.femtech-projects.jp/project/44.html
■更年期
・株式会社YStory
『HerLife』
AI・メディカルサイエンスを活用した、35歳以上女性向けの更年期パーソナルケア。
更年期症状がある方のヘルスケアに特化したサービスです。症状の記録および、個別化されたヘルスケアのアドバイスを受ける機能が含まれています。またヘルスケアのアドバイスの詳細の例としては、医学的エビデンスに基づく症状管理アドバイスやセルフケア提案、医師とのデータ共有を通じた効果的な診療支援等を行います。
参照:https://www.femtech-projects.jp/project/51.html
■婦人科疾患
・株式会社Kids Public
『女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム』
健康的に働くために知っておきたい健康情報を、スマホで気軽にどこでも学べる世の中に。
「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」(下記2点により構成)を若年層の男性、および女性従業員に対して提供します。女性本人だけでなく男性を含めた働く環境において、女性の健康に対する理解を深め、女性個人のウェルビーイングと生産性向上を目指します。
参照: https://www.femtech-projects.jp/project/27.html
※参照:
・経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室『フェムテック等サポートサービス実証事業』
https://www.femtech-projects.jp/#about
フェムテックを取り入れて快適に過ごす
これまでなかなか周りの理解を得られず、一人で悩み我慢をして過ごすことが多かった女性特有のヘルスケア管理や健康に関する悩み。
フェムテックを活用し、思春期・性成熟期・更年期・老年期といったライフステージごとに訪れる女性特有の健康課題改善のヒントを見つけ、快適な日々を過ごしてくださいね。