(アイキャッチ画像:©2024Maki,NAGAI)※1
お目当てのアーティストのライブの注意書きに「撮影OK」と書かれている場合と「撮影NG」と書かれている場合、どちらがテンションが上がりますか?「そりゃ、撮影OKに決まっているでしょ!」という方も多いと思いますが、「え!?目の前スマホでふさがれて見えなくなるんだけれど」という意見もあります。
今回、賛否両論が共存している現在のライブでのスマホ撮影について最近の動向などをまとめました。
スマホでライブ撮影は当たり前の海外公演とほぼ絶対NGの日本公演
海外アーティストはもちろん、海外でライブを観た経験のある人が一様に口をそろえる「海外ではスマホのライブ撮影は当たり前」。ボブ・ディランやビョークなどNGにしているアーティストもいますし、ブルーノ・マーズやアデルが撮影している観客に激怒した話を聞いたことがある人も多いでしょう。
しかしながら、日本国内では動画も静止画も原則禁止(※2)というのが現状です。
最近は、海外からの観客も増え、日本でのコンサートやライブ開催時のスマホ撮影でトラブルになることも少なくありません。
先日も、撮影NGが明記されていたライブで観客が撮影した動画をアーティスト公式が引用投稿していることが問題になり、スマホでのライブ撮影の可否について、SNSが騒ぎになる中、ロックバンドSiM(『進撃の巨人 The Final Season Part 2』のオープニングテーマ「The Rumbling」など)のボーカルMAHの8月1日にXに投稿した意見が話題になりました。
撮影ウェルカムな流れに一石を投じたSiMのボーカルMAHの投稿
MAHさんの問題提起のエッセンス部分だけですが、引用します。
てかそんなにライブって撮影したいもの?
スマホ出さずに楽しめてるならそれが一番では?
(中略)
アーティストのライブは「動画のBGM」に成り下がる
絶対そうなる。海外はなってる。
先にあるのは「自由」
さらにその先に「無法地帯」
(中略)
アーティスト側は喜んじゃいないよ
海外じゃあもう規制のしようがないから諦めてるだけ
日本は国民性のおかげで
まだ「撮影禁止🚫」が通用する
それでいい
変える必要なんてない
(中略)
この特殊な文化を誇るべきだと思う。
全文はこちらのリンクから読むことができます。https://x.com/MAHfromSiM/status/1818834283026653560
賛否両論が巻き起こったこちらの投稿ですが、あなたはどう感じますか?
撮影NGライブで「俺は撮影OK」と言った泉谷しげる
8月17日にライジングサンロックフェスティバル’24(「ライブ・アーティストの撮影は一切禁止です」と公式に明記)に出演した泉谷しげる(俳優/シンガーソングライター)は「かっこいい俺を撮ってくれ!拡散してくれ!」と言ったそうで、ステージ上の泉谷しげるを撮った投稿が当日や翌日のSNSをにぎわせていました。「#RSR2024」や「#泉谷しげる」でSNSを検索してみてください。
このようにスマホでのライブの撮影は、SNSでの拡散でプロモーションにつながると歓迎しているアーティストも多数います。自身の撮った写真や動画はライブの思い出にもなりますし、SNS投稿でライブの雰囲気やアーティストの魅力を発信することで友人や知人に宣伝することができます。めぐりめぐって新たなファンの獲得につながる可能性も秘めています。
実際、撮影OKのライブはどんな感じなのでしょうか?筆者の撮影した写真を交えてご紹介します。
撮影可のライブで撮影してみると……
(画像出典:LuckyFes 公式サイト https://luckyfes.com)
筆者が参加したLuckyFesでは、アーティストによって撮影の可否が分かれていて事前にアナウンスされていました。
(画像:©2024Maki,NAGAI)
LuckySpacesと呼ばれる小さなステージでのつじりおは(シンガソングライターとアイドルグループFragrant Driveの二刀流)は、かっこいい演奏を堪能しながら素敵な写真が撮れましたが、メインの4ステージではそうもいかず……。
(画像:©2024Maki,NAGAI)
こちらはメインのステージのひとつRAINBOWステージでのJAEJOONG(韓国出身シンガー)が歌う様子。前方の観客の皆さんはスマホを高く掲げる人は少なかったですが、顔と顔の間にスマホが挟まれる形になり見えにくかったです。
(画像:©2024Maki,NAGAI)
もうひとつの大きなステージ、WINGステージでの7ORDER(ダンス&バンドの2形態の
ボーイズグループ)は全体を収めるのがかなり大変でした。かろうじてメンバー全員が収まっている1枚です。しかも「CLAP!」と手拍子を促されたり、タオルを回したりとその場でライブを思いっきり楽しむことをしながらのスマホ撮影はなかなかの難関でした。
また、撮影OKと撮影NGのアーティストが混在していると、撮影に対しての線引きが難しいとも感じました。
(画像:©2024Maki,NAGAI)
これは撮影OKだった水曜日のカンパネラ(2021年から2代目ボーカルを迎えた音楽ユニット)ですが、こういった後方では撮影NGとなっているアーティストの撮影をしている方も結構見かけました。スタッフが近くにいなかったこともあり、フリーダムな印象を受けました。
今後スマホ撮影の是非はどこへ向かう?
公式に禁止行為として「出演アーティストの撮影・録音・録画行為」を明記しているフジロックフェスティバル’24の運営のトップ、同様に「出演アーティストの撮影及び録音、配信はご遠慮ください」を明記しているサマーソニック運営のトップの二人の対談(※3)を読むのをおすすめします。スマホ撮影NGをアナウンスしながらも、アーティストがOKならばOKでいいんじゃないかという私見は、統一見解やルールの徹底の難しさがうかがえます。
さらに詳しく現状を知りたい方は、JASRACのサイトで「スマホによるライブ撮影の現状を整理する」(※4)を読んでみてください。後編では、気になる肖像権の問題について弁護士からの見解が掲載されています。
皆がスマホを高く掲げて見にくいと感じたり、ライブに参加しているときは純粋にライブ空間を楽しみたいと思った筆者は、1曲のみ撮影OKというのが撮影可否の両方のいいところどりなのではないかという結論にいたりました。今後、どうなっていくか要注目です。
(敬称略)
※1 ALI(『呪術廻戦』のエンディングテーマ「LOST IN PARADISE feat. AKLO」など)のライブ風景
※2 ライブ・エンタテインメント約款(一社)コンサートプロモーターズ協会 https://www.acpc.or.jp/activity/concert/ 第9条の禁止事項に「録音機器、録画機器、撮影機器及びこれらの類似機器の公演会場への持ち込み」「公演会場での使用及び客席内での携帯電話、ノートパソコン及びこれらの類似機器の使用」が記載
※3 『Rolling Stone』(CCCミュージックラボ)フジロック×サマソニ社長対談 運営トップが赤裸々に語る2大フェスの「今」
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/41101
※4 スマホによるライブ撮影の現状を整理する(前編)(一社)日本音楽著作権協会JASRAC)
〜クリエイティブマン代表・清水直樹さんに聞く https://kendrixmedia.jp/article/2599/
スマホによるライブ撮影の現状を整理する(後編)(一社)日本音楽著作権協会(JASRAC)
〜モノリス法律事務所代表・河瀬季弁護士に聞く https://kendrixmedia.jp/article/2605/
参考
『smart FLASH』(光文社) 「『自由』の先は『無法地帯』」人気バンドも苦言呈したライブ「スマホ撮影」の是非…海外とのギャップに悩む運営
https://smart-flash.jp/entame/299323/
SiM 公式サイト https://sxixm.com/
MAH 公式X https://x.com/MAHfromSiM
泉谷しげる 公式サイト https://studio-izu.com/
つじりお 公式サイト https://lit.link/ri0tsuG
Fragrant Drive 公式サイト https://columbia.jp/artist-info/fragrantdrive/
JAEJOONG 公式サイト https://jaefans.com/
7ORDER 公式サイト https://7order-official.com/
水曜日のカンパネラ 公式サイト http://www.wed-camp.com/
ALI 公式サイト https://alienlibertyinternational.com/