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2024年の初頭、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)で結婚相談所が取り上げられ、大きな話題となりました。この放送では、結婚相談所を舞台に婚活に奮闘する男女が数名フューチャーされていたのですが、女性も男性も、結婚相手を見つけるために家事スキルを磨いたり、ときには整形をしたり、たゆまぬ努力を行っていました。しかし、全力で婚活に打ち込み、時間とお金をつぎ込んでも、結婚相手に恵まれないケースも見られました。

かつては皆婚時代と言われ、ほぼ全員が結婚する時代でしたが、現代の生涯未婚率は、2~3割程度だと言われています。生涯未婚率は右肩上がりですから、今後はこの割合はさらに増加していくでしょう。もちろん、結婚に興味がなくて結婚しない人もいますが、結婚したくてもできない男女も増加傾向にあるのです。

今回は、なぜ現代はこんなにも婚活が難しくなってしまったのか、婚活疲れの原因と婚活を成功させるためのヒントを解説していきます。

婚活疲れの理由

まずは、婚活疲れの理由について確認しておきましょう。

婚活疲れの理由1 出会いが多すぎる

現代は、簡単に新しい人と会うことができる時代です。婚活アプリを使えば、一日に複数人とやりとりをし、休日には朝、昼、夜、三人とデートをすることも可能なのです。選択肢が広がったことはいっけん良いことのように思われますが、出会いが多いということは、初対面の人と会話する緊張感や、期待が失望に変わる場面も増えていくということでもあります。出会いの数を増やせば増やすほど、「またダメだった」という失望を繰り返し、疲弊することにもなりかねないのです。

婚活疲れの理由2 他人から評価にさらされる

就活でお祈りメールがくるたびに、傷ついて落ち込んだという経験をした人は少なくないでしょう。就活の場合、学力や職務経歴で判断されているわけですが、婚活はもっとシビアで、人間全体を見られています。そのため、お断りされたり、マイナスな評価をされたりした場合、自分のすべてを否定されたように感じ、傷ついてしまうケースも少なくないのです。

婚活疲れの理由3 微妙な相手からのアプローチばかりで病む

あまりにも年齢が離れた相手からのアプローチや、既婚者、ヤリモク(体目当て)など、信頼できない相手からのアプローチが増えた結果、新しい出会いに対してプラスの考えが抱けなくなってしまい、自分の意志で始めた婚活が、「やりたくないのに、やらなければならないもの」に変化してしまうケースもあります。

婚活疲れの原因は、理想と現実とのギャップ

婚活を始めたばかりの人は、素敵な相手と出会えるかも、といった期待を抱いているはずです。しかし、上記のような出来事が積み重なり、次第に疲弊していくケースも多いのです。他人からの評価にさらされたり、何度も失望を繰り返したり、望んでいない相手からのアプローチに疲れたり……つまりは、理想と現実とのギャップを何度も突きつけられるために、婚活疲れは発生すると言えるでしょう。

婚活疲れは、この「理想と現実とのギャップ」が大きければ大きいほど、発生しやすいものです。つまり、高望みしている人ほど、婚活疲れを感じやすい、と言えるでしょう。

婚活で高望みしてしまう理由

高望みとは、パートナーに対して非常に高い条件を設定し、それが現実的でない場合を指します。ここでは、なぜ人々が婚活で高望みをしてしまうのか、その理由について探ります。

婚活で高望みしてしまう理由1 メディアやSNSの影響

映画やドラマ、アニメなどのメディアは、理想的なパートナー像を繰り返し描き、視聴者に見せつけます。容姿端麗な若者、高収入のエリート、やさしくて献身的で笑顔を絶やさない家庭的なパートナー……そういった相手と恋に落ちて暖かい結婚生活を送ることが幸せというものである、と繰り返し訴えてきました。

好きな相手と恋愛し、結婚し、子どもを育てることが望ましい、といった考え方は、ロマンチック・ラブ・イデオロギーと言われるものであり、明治以降に普及したイデオロギーです。それ以前は恋愛と結婚は別物だと考えられていました。メディアはこのロマンチック・ラブ・イデオロギーの普及を熱心に行ったため、「素敵な人と恋愛結婚しなければ」というプレッシャーを人々は感じるようになっていったのです。

SNSの普及も婚活疲れを加速させています。SNSは、自分で切り取った日常をインターネット上にアップすることができます。当然、汚いところやみじめなところを切り取って投稿することは稀であり、SNS上にはキラキラした日常が溢れることになります。

そういったキラキラした日常を日々目にすることで、「友人はあんな素敵な人と結婚して幸せになっているんだから、私も同じくらいの幸せが手に入るはず」と思ってしまいがちなのです。SNS上の投稿は、キラキラに装飾された架空のものかもしれないのに、そういった非現実的なものに憧れてしまうことが、高望みの一因だと言えそうです。

婚活で高望みしてしまう理由2 婚活市場に対し、誤った認識を持っている

婚活市場に対し、誤った認識を持っているために、高望みしてしまうケースもあります。たとえば、近年、芸能界では10歳、20歳といった歳の差結婚は珍しくありません。そのため、年齢が離れた相手も結婚相手になりうるだろう、と考える人がいます。

しかし実際は、統計上、1~3歳差、または同い年のカップルが多数派であり、年の差結婚はレアケースです。こういった現実の婚活市場を認識していないと、自分より10歳、20歳年下の相手にアプローチし続けて、玉砕し続けることになりかねないのです。

婚活で高望みしてしまう理由3 過去の成功体験を引きずる

過去の恋愛体験や成功体験があると、それが最低基準になってしまうことがあります。「前のパートナーが、高収入で、優しく、家事も完ぺきな人だったから、次も同じか、それ以上を見つけなければならない」というわけです。

過去の栄光は過去の栄光であり、奇跡だったかもしれません。また、恋愛や不倫だからその人のパートナーになれたのであって、結婚となれば話は違ったのかもしません。それにも関わらず、過去の恋愛相手を基準に結婚相手を見極めようとすると、高望みになってしまうでしょう。

婚活で高望みしてしまう理由4 周囲からのプレッシャーや見栄

家族や友人からの影響が原因で高望みになってしまう場合もあります。両親が、娘や息子をかわいがるあまり、「あなたにはもっと良い人がいるはず」と焚きつけるケースもあるのです。両親の期待に応えたいと考え、無理めの人にアプローチして失敗する、という負のループに陥ってしまう場合もあるでしょう。

また、友人からうらやましいと思われたいという気持ちから、自慢できるような容姿、収入、社会的地位の相手を狙っているうちに、非現実的な相手を追いかけるケースもあるようです。

婚活で高望みしてしまう理由5 将来に対する不安の解消

婚活で高望みしてしまう人は、結婚という制度自体に非現実的な望みを抱いている場合がほとんどです。結婚したら、いまの不安定な生活から抜け出せるとか、結婚相手が現れたら孤独は消えるとか、一生安泰だとか、過度な期待を抱いているために、一発逆転できるような相手を狙ってしまうのです。

結婚することでこれまでの人生の孤独や不安を消し去りたい、という気持ちは、非現実的な女神や王子様を求めることと似ており、婚活の難航を招くことになります。

高望みをやめ、婚活を成功させるためのヒント

高望みは婚活疲れを招きます。ではどうやって高望みするのをやめ、婚活を成功させることができるのでしょうか? ここでは、高望みをやめるためのヒントをご紹介します。

高望みせず、婚活を成功させる方法1 自己分析と市場分析を徹底する

非現実的な目標を設定しないためには、まずは現在の自分の立ち位置を知っておく必要があります。自分の強みはどこか、弱みはどこかを分析しましょう。そして、その強みと弱みが、婚活市場で武器になるのか、重荷となるのか、も認識しておきましょう。

たとえば、婚活市場で喫煙者は、非喫煙者よりも不利になります。より多くの人とマッチングするためには、禁煙するのがよいでしょう。ただし、タバコが自分の人生にとって欠かせないと考えるのであれば、喫煙者(および喫煙を許容してくれる相手)にターゲットをしぼる必要があります。「ありのままを受け入れてくれる相手を探そう」と手あたり次第にアタックしていては、高望みを繰り返し、疲弊します。婚活市場における自分の立ち位置を見極めましょう。

高望みせず、婚活を成功させる方法2 譲れない自分ならではのポイント決める

高望みしないでおこう、と本来好みではない人とデートする必要はありません。妥協しているつもりで相手を見くびるのは、相手に対してとても失礼です。手あたり次第にデートするのではなく、譲れないポイントを設定し、そのバーをクリアしている人と会うようにしましょう。

譲れないポイントを決める際は、周囲の人の声に惑わされないようにすることが大切です。友だちにマウントできる条件を選ぶのではなく、自分が心から求めていることを明確にしましょう。自分独自の基準を持つことで、世間一般の高望みを回避することができます。

高望みせず、婚活を成功させる方法3 信頼できる第三者の意見を聞く

人間はいくら客観的であろうとしても、自分を完全に客観視することはできません。ですから「これって高望みかも?」と疑問が湧いたら、信頼できる第三者に意見を聞いてみることが有効です。ときには、婚活カウンセラーの助言に従ってみるのもよいでしょう。

高望みせず、婚活を成功させる方法4 過去を捨て、オープンマインドを持つ

「過去の恋人がこういう人だったから」と過去を基準にすることをやめ、新しい出会いに対してオープンな心を持つことが大切です。特定の条件に固執せず、様々なタイプの人と出会うことで、自分に合ったパートナーを見つけるチャンスが広がります。

さいごに。婚活中は小さなステップを大切にし、自分を甘やかそう

「理想的な人と出会って三カ月で結婚し、人生一発逆転!」を目標にすると、理想と現実とのギャップに苦しむことになります。大きな目標を一度に達成しようとせず、小さなステップから始めることが、婚活を成功させる鍵です。

例えば、月に一度は新しい人と会う、週に一回は婚活イベントに参加するなど、短期的な目標を設定しましょう。婚活は、他者からの評価にさらされる活動であり、期待と失望を繰り返すことになりがちです。真摯に取り組んでいる人ほど、疲れるのは当たり前だと言えるでしょう。ただでさえストレスが多い活動ですから、うまくいかないからといって自分を責めるのは望ましくありません。

婚活をしているということは、自分の理想に向かって、少しずつでも歩みを進められているということでもあります。頑張っている自分を褒めて、ときには甘やかしてあげてください。