生きづらさの種類と原因。生きづらいと感じる人には特徴がある?

様々な要因によって「生きづらさ」を感じている人は少なくありません。今回は、「生きづらさ」にどのような種類があるのか、生きづらいと感じてしまう原因はあるのか、また、生きづらい人の特徴について解説していきます。「生きづらさ」の原因を知れば、「生きづらさ」が和らぐかもしれません。

目次

「生きづらさ」にはどのような種類がある?

「生きづらさ」とは、日常生活において困難やストレスを感じる状態を指します。「生きづらさ」には様々な種類があります。以下は、「生きづらさ」の一例です。

「生きづらさ」の種類1 心理的な生きづらさ

たとえば、発達障害や不安障害など、なんらかの障害によって社会生活を送るのが困難だったり、人とのコミュニケーションに様々な配慮が必要だったりした場合、つねに緊張状態にさらされる可能性があります。

また、うつ病やパニック障害などの精神的な病気を患った場合、病気が原因で、外出が難しくなったり、希死念慮を抱いてしまったり、という困難も考えられます。

「生きづらさ」の種類2 社会的な生きづらさ

人間は社会的な生き物ですから、たとえ家で引きこもっていたとしても、社会からの様々な圧力を感じて、生きづらくなる可能性があります。また、学校や職場に通っている場合、仲間外れにされたり、イジメを受けたりする場合もあります。パワハラやセクハラの被害にあっても、訴えられず、耐えるしかないケースもあるでしょう。

人種が原因で差別の対象になるケースもあります。とくに、日本のような移民が比較的少ない国の場合、外国がルーツの人が目立つ構造になっており、それゆえ、表向きは差別がなくとも、無意識にマイクロアグレッションをされてしまうケースも少なくないのです。

マイクロアグレッションとは、無意識の偏見や思い込みによっておこなわれる差別のことです。たとえば、日本人にとって珍しいからといって、黒人の髪を勝手に触るのは、マイクロアグレッションの一種です。触っている当人は、冗談のつもりだったり、コミュニケーションをとりたいだけだったりして、悪気がない場合がほとんどです。マイクロアグレッションは、している人に悪気がないために、被害者は告発しにくく、それゆえストレスが溜まりやすい、という現状があります。

こういった、イジメ、(無意識の)差別、職場のハラスメントや社会的プレッシャーなど、社会的な要因によって「生きづらさ」を感じる人は少なくありません。

「生きづらさ」の種類3 経済的な生きづらさ

日本のGDPランキングは下がり続け、貧困は加速し、貧富の格差は大きくなっています。派遣に関する法律が成立されたことで、非正規雇用が増え、安定した経済的基盤を持たない人も増加しています。

また、日本は男女の賃金格差が大きい国であり、シングルマザーの貧困率が高い国として知られています。性差別によって女性が男性と同じ賃金を得られていないため、女性は離婚したら、または、未婚で子どもを産んだら、二分の一の確率で貧困ライン以下の生活を与儀なくされているのです。

経済的な困窮は、人々の心をギスギスさせ、不安にさせます。「来年は、どうなっているだろう」「契約が更新されないかもしれない」「給与が上がる気配がない」「物価が高くて、食べたいものが買えない」「一所懸命働いているのに、生活が楽にならない」……こういった苦境により、せっぱつまった「生きづらさ」を感じている人は、年々増えているようです。

「生きづらさ」の種類4 肉体的な生きづらさ

日本は平均寿命が高い国です。国民皆保険という制度があるため、病気になった際、医者に行くことを躊躇する人もあまりいません。長く生きられるようになったことは素晴らしいことですが、長く生きているからといって健康であるとは限りません。老化によって、様々な肉体的不調が生じ、それによって「生きづらさ」を感じる人もいます。

また、生まれつきの病気や障害によって「生きづらさ」を感じている人もいます。社会は、障害がない、いわゆる健常者を標準に形作られています。そのため、障害がある人はちょっとした段差などによって、行動範囲が限定されています。

また、アクセスできる情報にも差が出てきます。2023年に芥川賞を受賞した市川沙央さんは、著書「ハンチバック」のなかで、重度の障害を持つ人にとって、「紙の本」は読むことが困難な場合が多いことを指摘していました。電子書籍やオーディブルなどが普及すれば、「読書のバリアフリー」が広がるとも発言しています。

肉体的に「生きづらい」と感じる場面でも、社会側がテクノロジーなどを駆使してバリアフリーを目指すことで、生きづらさがなくせる可能性がある、と言えるでしょう。

「生きづらさ」の原因とは?

上記で、「生きづらさ」には様々な種類があることを解説しました。ここでは、様々な「生きづらさ」が生じてしまう原因について簡単にまとめておきます。

「生きづらさ」の原因1 精神的な要因

過度のストレスや、将来への不安、孤独などが「生きづらさ」の原因になっている場合は多いでしょう。また、同じ状況においても、「生きづらさ」を感じる人と感じない人がいることを考えると、ネガティブになりやす性質や、自己評価の低さも関わってきている可能性があります。

「生きづらさ」の原因2 社会的な要因

家庭環境や自然の環境、社会的なプレッシャーによって「生きづらさ」を感じる場合があります。また、性差別、人種差別、障碍者差別、など、あらゆる形の差別も「生きづらさ」の原因になりえます。またルッキズム(外見に基づく差別)や、エイジズム(年齢差別)なども、近年問題になっています。

「生きづらさ」の原因3 経済的な要因

非正規雇用ゆえの安定しない収入や、低い収入などが原因で、将来に対して不安を抱え、生きづらいと感じている人は少なくありません。

「生きづらさ」の原因4 身体的な要因

慢性的な病や障害、加齢による健康問題などが原因の場合もあります。

また、ほとんどの「生きづらさ」はリンクしています。たとえば、身体的な病気を抱えていて、フルタイムで働けないために収入が低く、経済的不安を抱えるという人もいるでしょう。多くの人は複数の「生きづらさの原因」を同時に抱えているのです。

生きづらいと感じるのは甘え?

「生きづらい」と感じている人は、「同じ状況でも楽しそうに生きている人はいるから、自分は甘えているだけ」と考えがちです。

ですが「生きづらさ」を感じることは、甘えではありません。現代社会で生きるほとんどの人は、多様なストレスや困難に直面しています。そのため、誰もが一度は「生きづらさ」を感じたことがあるはずです。

また、「生きづらさ」は個人の問題ではなく、社会の問題である場合もおうおうにしてあります。社会のシステムが変われば、個人の「生きづらさ」がましになる、あるいは無くなるケースも多々あるのです。

重要なのは、「生きづらさ」を個人の甘えだと短絡的に考えず、その内実を精査し、個人と社会が、適切に対処することだと言えるでしょう。

「生きづらさ」を自分の努力不足だと決めつけてしまう、心の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。心の健康を守るためにも、自己責任論に終始せず、周囲に助けを求めたり、専門家に相談してみたりする必要があるでしょう。

生きづらい人の特徴とは?

「生きづらさ」は社会が原因になっている場合がほとんどですが、同じ状況でも「生きづらさ」を感じる人とあまり感じない人がいます。以下では、「生きづらさ」を感じやすい人の特徴を上げておきます。

生きづらい人の特徴1 自己評価が低い

自分に自信が持てず、常に他者と比較してしまう人は「生きづらさ」を感じやすいでしょう。

生きづらい人の特徴2 完璧主義

ちょっとした失敗も許せない人は、「生きづらさ」を感じやすい人だといえます。

生きづらい人の特徴3 コミュニケーションが苦手

他人との関係を築くのが難しく、孤立しやすい人は、学校や会社での生活が難しいケースが多々あります。

生きづらい人の特徴4 頑張り屋さん

頑張りすぎると疲れてしまい、「生きづらさ」を感じやすい傾向にあります。

生きづらさを克服するためにできることは?

生きづらさを克服するためには、以下の方法が効果的です。

・「生きづらさ」は社会問題であることを理解し、自分を責めない。
・自分の長所や短所、ストレスの原因を理解する。
・定期的な運動や趣味など、ストレスを軽減する方法を見つける。
・友人や家族、同僚に話を聞いてもらう。同じ境遇の人を探してみるのも◎。
・達成可能な目標を決め、少しずつ前進することで自己肯定感を高める。

さいごに。他者の「生きづらさ」を想像してみよう

「生きづらさ」は、多くのひとが一度は感じたことのある、普遍的な感情です。

自分自身や他者の生きづらさを理解し、サポートしあうことで、「より生きやすい社会」を実現することができるでしょう。

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