ハラスメント種類多すぎ!「○○ハラ」まとめ一覧【2025】

社会人も数年目を迎えると、上司の気持ちを汲み取りつつ、下の世代の気持ちもよくわかる仲裁的立場になってきます。

そんな立場になると、上司と自分より下の世代の感覚の違いによるあつれきや問題が目に入ることも多いでしょう。最悪の場合、ハラスメントに発展してしまうなんてことも。

ただ、あなた自身も内心では過剰なハラスメント指摘や、何でもハラスメントにする風潮に、

過剰すぎる

「ハラスメントの種類が多すぎる」「多すぎてキリがない」

と辟易していませんか?

そもそも最新のハラスメントはどんな種類のものがあるのか、多すぎて把握するのも難しいはず。

この記事では、多すぎる最新ハラスメントを種類ごとに一覧でご紹介、解説します。どんな種類のものがあるのか、チェックし、なんのためにあるのかも考えてみてください。

目次

どこからがハラスメント?その定義は?

ハラスメントとは

ハラスメント(harassment)とは、相手に対して不快感精神的な苦痛を与える迷惑行為全般を意味します。

相手に対して不快感や精神的な苦痛を与え、働きづらい状況を作り出す言動を指すハラスメント。

会社で上司が部下、先輩が後輩など、優越的な立場にある者が立場を利用して行うことが多く、一度きりではなく、繰り返し行われることで、被害者の精神的な負担が大きくなります。

ハラスメントを受けた者は、仕事に集中できなくなり、精神的な病気を患う可能性も。悪意を持って行ったかどうかに関わらず、被害者が不快に感じればハラスメントに該当します。

多すぎる!?最新版ハラスメントまとめ一覧|解説付き

セクハラ、パワハラ、モラハラなど、代表的なハラスメントはメディアや厚生労働省の呼びかけで知っている人も多いでしょう。でも、

レリジャスハラスメントテクスチュアルハラスメントは、どんなハラスメントか、わかりますか?

まずは、なんとなーく聞いたことがある気はするけれど、具体的にはよくわからない種類のハラスメントから、まったく想像もできない種類のハラスメントまで最新版のハラスメントを種類ごとに一覧でご紹介、解説します。

属性に関した種類のハラスメント

性別や年齢、血液型、人種など本人の意思に関係なく生まれ持った属性というものがあります。自分ではどうしようもない属性を理由にハラスメントをされることがあります。

ジェンダーハラスメント

性別役割分担や性差に関する固定観念に基づいて行われる、嫌がらせや差別のこと。

性別によって社会的な役割が異なる固定概念に基づき、「男性だから」「女性だから」との理由で、不当な扱いをする、差別的な言動をすることなどが該当します。

女性に家事や育児の負担が集中したり、男性が家事や育児に参加することを妨げたりするなど、組織内に長年根付いてきた男性中心の文化が根強く残り、女性に対する意識が低いとジェンダーハラスメントが起こりやすくなります。

マリッジハラスメント

  • 「結婚は女性にとっての幸せ」「男なら結婚して家庭を持つべき」など、旧来の価値観を押し付け、相手の価値観を否定する。
  • 「結婚しないなんて考えられない」「結婚しないと損をする」など、未婚であることを否定し、不安をあおる。
  • 「結婚していないから子どもを産めない」「結婚していないから人生経験が浅い」など、結婚していないことを理由に差別的な発言をする。

これらすべてはマリッジハラスメントに該当します。

結婚が一つのライフコースとして強く意識され、結婚していないことを「普通ではない」と捉える風潮がある日本社会。

そういう社会であるゆえ、既婚者と未婚者の間で昇進や評価に差が出るなど、結婚していないことを理由に不当な扱いを受けることがあります。

結婚は個人の自由な選択であり、他人が干渉することではありません。結婚以外にも様々な生き方があることを否定することは、多様な社会の実現を妨げることになります。

エイジハラスメント

「若造」「老害」など、年齢を理由に侮辱的な言葉を浴びせる、仕事を与えない、昇進させない、重要なプロジェクトから外すなど、年齢や世代を理由に相手を差別したり、嫌がらせをしたりすること。

年齢を重ねるにつれて能力が低下する、若者は経験が少ないなど、年齢に対する固定観念が根強く残っているがゆえに起こりがちなハラスメントです。

エイジシルバハラスメント

年齢に関するハラスメントはもう1つ。

エイジシルバハラスメントは高齢者に対して、年齢を理由とした嫌がらせや差別的な言動が行われます。

年齢を理由に「老いぼれ」「役に立たない」などの言葉で侮辱する、仕事や学習能力が低いと決めつける、健康状態に関わらず、すべての高齢者が介護を必要だと決めつけるなどが該当します。

若い世代と高齢者世代がお互いを理解し合えない、高齢化社会の進展に伴い、高齢者に対する社会的な役割や期待が変化していることを背景に起こるハラスメントです。

ブラッドタイプハラスメント

特定の血液型の人を差別したり、侮辱したりするブラッドタイプハラスメントもあります。

血液型で性格が決まる科学的根拠はないにも関わらず、A型は几帳面、B型はマイペースなど、日本では血液型と性格を結びつける俗説が広く信じられており、この俗説に基づいて行われるハラスメントです。

偏見に基づいた差別行為であり、人権侵害に当たり、血液型で性格が決まるという考えは多様性を否定するものです。

レイシャルハラスメント

人種や民族、国籍など、その人の生まれ持った特徴を理由に、侮辱したり、嫌がらせをしたりするハラスメント。

特定の人種や民族に対するステレオタイプに基づいた侮辱的な発言や不当に差別的な扱いをすること、集団から排除したり、孤立させたりすることなどを指します。

レイシャルハラスメントは必ずしも悪意を持って行われるわけではなく、無意識のうちにしてしまうことも多い点で厄介です。

レリジャスハラスメント

宗教を理由に特定の個人に対して嫌がらせや差別的な行為を指すレリジャスハラスメント。

宗教を理由に雇用や昇進で差別的な扱いをする、特定の宗教への入信を強要する、脱会を妨害するなどが当てはまります。

人は皆、信仰の自由を持ち、その自由は憲法で保障されています。レリジャスハラスメントは基本的な人権を侵害する行為です。

男女間で起こることが多い種類のハラスメント

先述のジェンダーハラスメントをはじめ、セクシュアルハラスメントなど、性差があるとハラスメントが起こりがちな構造があります。男女間で起こることが多い種類のハラスメントをご紹介、解説します。

モラルハラスメント

話を無視する、暴言をはく、威圧的な態度、過度な要求、プライバシーの侵害など道徳や倫理に反する言動や態度によって、相手に精神的な苦痛を与えるモラルハラスメント。

物理的な暴力ではなく、言葉や態度で相手を傷つけ、繰り返し行われることで、被害者の精神に大きなダメージを与えます。

当事者以外には気づかれにくく、被害者が孤立しやすい状況を作り出すことがあり、加害者自身は自分の行為がモラハラであると自覚していない場合も多いです。

告白ハラスメント

告白ハラスメントは好意を一方的に伝え、相手に不快感や精神的な苦痛を与えること。

特に職場や学校など日常的に顔を合わせる環境で、相手が全く興味を示していないにも関わらず、執拗にアプローチするなど告白を繰り返す行為で、問題視されているハラスメントです。

セクシュアルハラスメントの一種として捉えられる場合もありますが、両者には明確な違いがあります。

性的な言動や行為で相手を不快にさせたり、職場環境を害したりするのがセクシュアルハラスメントで、結婚を迫ったり、一方的に好意を伝えたりするなど、恋愛感情に基づいているのが告白ハラスメントです。

ゼクシャルハラスメント

一般的に知られているセクシュアルハラスメントとは1文字違いの「ゼ」クシャルハラスメントは、主に結婚を迫る行為に対する言葉です。

結婚情報誌を部屋に置いてアピールしたり、結婚に関する質問を頻繁にしたりするなどして、相手に大きなプレッシャーを与えることを指します。

結婚は個人の自由な選択に基づいて行われるべきであり、相手に結婚を強要することは、その自由を侵害します。結婚を迫る側が相手よりも優位な立場にある場合、相手は断りにくい状況に追い込まれるリスクがある点が問題です。

テクスチュアルハラスメント

メールやチャット、SNSのコメントといったテキストベースのコミュニケーションを通じて行われるハラスメント行為を指すテクスチュアルハラスメント。

  • リアルタイムでのやり取りではないため、感情の伝わり方が曖昧になりやすく、誤解が生じやすい。
  • 一度送信されたメッセージは削除されても復元される可能性があり、証拠として残る。
  • 匿名でアカウントを作成できるため、身元を隠して攻撃的な言動を行うことができる。
  • 一度拡散された情報は短時間で多くの人に広まり、被害が拡大する可能性がある。

以上のような特徴を持っています。

特に女性に対して行われることが多いハラスメントで、性的な侮辱や外見に関する攻撃など、性役割の固定観念に基づいたものが目立ちます。

これは過去からの男性優位の意識が根強く残っており、男性が女性に対して優位に立って言葉で攻撃することが許容されがちであるという社会的な背景も影響しているハラスメントです。

日常に紛れた気がつきにくい種類のハラスメント

日常生活の一部になっているため、自分では気づかなくても他者からすればハラスメントに映る行為があります。無自覚にハラスメントの加害者にならないためにも注意しましょう。

エアコンハラスメント

職場や家庭など共同ですごす空間でエアコンの設定温度や使用時間などを巡って、一方的に自分の都合を押し付けたり、相手の体調や意見を無視したりすること。

自分の好みの設定温度が極端な場合、周囲の人が体調不良や熱中症を引き起こす可能性があり、相手の心身に悪影響を与えます。

スメルハラスメント

体臭、口臭、香水など、何らかの匂いを原因として、周囲の人に不快感を与え、仕事や生活に支障を及ぼすこと。

スメルハラスメントを発する人は、職場の人間関係を悪化させ、仕事に集中できない状況を作り出します。

スモークハラスメント

喫煙者が非喫煙者に対してタバコの煙を浴びせたり喫煙を強要したりするなど、喫煙に関連した嫌がらせのこと。

健康被害、職場環境の悪化などのリスクが高まります。

エンジョイハラスメント

  • 仕事や人間関係において、常に楽しんでいるように振る舞うことを求める。
  • 楽しそうではない人に対し、否定的な評価や言葉で追い込む。
  • 個人の価値観や状況を考慮せず、一律に楽しさを要求する。
  • 社内の雰囲気作りやイベントに積極的に参加することを強要する。
  • 仕事や人間関係などにおいて、楽しさやポジティブな感情を強制的に求め、それができない人を否定したり、追い詰めたりする。

これらはすべてエンジョイハラスメントです。

仕事は楽しいものだ、もっと積極的に参加しなさいなど、ポジティブな言葉で働きかけますが、個人の価値観や状況を無視し、楽しさを押しつけて精神的な負担を与える点が問題です。

うつ病などの精神疾患を引き起こす可能性があるほか、職場全体の雰囲気が悪くなり、仕事に集中できない状況を作り出すリスクがあります。

一律な価値観の押し付けは、多様な働き方を阻害します。

カラオケハラスメント

カラオケの場で、歌いたくない人に無理やり歌わせたり、歌った内容を馬鹿にしたりするなど、歌に関する嫌がらせのカラオケハラスメント。

歌うことを強要する、歌唱力を馬鹿にする、嫌な思いが甦る特定の曲を歌うよう強要する、 歌わないことを理由に仲間外れにするなどにより、歌うのが苦手な人に精神的な苦痛を与え、人間関係や職場環境の悪化を招きます。

フォトハラスメント

フォトハラスメントは、写真に関する嫌がらせ行為の総称。

他人の写真を勝手に撮影する、悪意のある加工をする、写真にわいせつな画像などを合成する、許可なくSNSなどに公開することで、相手のプライバシーを侵害したり、精神的な苦痛を与えたりする行為です。

時短ハラスメント

働き方改革で残業時間の削減やワークライフバランスの推進が求められる中、企業が労働時間の短縮に取り組む一方で、業務量の見直しが行われないまま、従業員に無理な働き方を強いてしまうこと。

  • 短時間で多くの仕事をこなさなければならず、従業員は常に時間との戦いとなり、精神的な負担が大きくなる。
  • 定時退社を優先するため、残業してでも質の高い仕事を目指していた従業員が、評価を下げられる。

現状としてこのような弊害が生じており、従業員の精神的な負担を強いる結果となっています。

精神疾患につながり、生産性が低下する可能性があります。

コミュニケーション・対人関係に関する種類のハラスメント

人と人がコミュニケーションを取る限り、摩擦が起こることも。

最近では対面のほかオンラインでの交流も増え、コミュニケーションの種類も多岐に渡っています。だからこそコミュニケーションにおけるハラスメントも増えている傾向にあります。

コミュニケーションハラスメント

相手とのコミュニケーションにおいて一方的に口撃を加えたり、精神的な苦痛を与えたりするハラスメント。

威圧的な言動や人格否定、無視のほか、過度な要求、悪口・陰口、プライベートな質問の繰り返しもコミュニケーションハラスメントに含まれます。

上司から部下、先輩から後輩など、パワーバランスに差がある関係で起こりやすい傾向があり、繰り返し行われることで被害者は精神的に追い詰められます。

ソーシャルハラスメント

SNS上の嫌がらせであるソーシャルハラスメント。X(旧Twitter)、Facebook、LINEなどのプラットフォームを通じて、職場や学校などの人間関係を持ち込み、相手に精神的な苦痛を与えたり、嫌がらせをしたりする行為を指します。

誹謗中傷、なりすまし、ストーカー行為、仲間はずれ、本人の許可なく個人情報やプライベートな情報を拡散するなどが当てはまります。

名誉毀損、プライバシー侵害、一度拡散された情報は完全に削除することが難しいといった精神的な苦痛に加え、二次被害につながる可能性があります。

ロジカルハラスメントについて

論理的な言葉や理屈を盾に、相手を攻撃したり、追い詰めたりすること。

客観的で冷静な意見のように聞こえても、その裏には相手の否定、精神的に追い込む意図が隠されていることが多く、ハラスメントの一種として捉えられています。

  • 「それは非論理的だ」「そんなこと誰でもわかるだろう」など、相手の意見を否定し、バカにする。
  • 「もっと効率的な方法があるはずだ」など、相手が選んだ方法を否定し、別の方法を強制する。
  • 「責任はすべてあなたにある」など、責任をすべて相手に転嫁する。
  • 「なぜもっと早く気づかなかったんだ」など、過去の失敗を責め続ける。

などが当てはまります。

ロジカルハラスメントと意見交換の違いがわからないという人もいるでしょう。

ロジカルハラスメントは相手を攻撃して屈服させることが目的で、否定的な言葉や命令口調が用いられます。一方で通常の意見交換は共通の目標達成のために、肯定的な言葉で建設的な意見を交わすのが違いです。

ため息ハラスメント

ため息によって相手に不快感やストレスを与え、精神的な苦痛を与えること。

相手へ不快感を示すためにわざとため息をつくことも、ストレスや疲労を感じている際に無意識に出てしまったため息が周囲に不快感を与えてしまうことも、どちらもため息ハラスメントに該当します。

不機嫌ハラスメント

不機嫌な感情を周囲にぶつけ、相手を不快にさせたり、精神的な苦痛を与えたりすること。

無視、そっけない態度、怒鳴る、悪態をつく、八つ当たりなど様々な形で現れます。

ストレスを感じた時は、深呼吸をするなどして気持ちを落ち着かせ、自分の感情をコントロールするようにしましょう。

知識に関する種類のハラスメント

ITに関する知識が象徴的ですが、同じ職場で働いていても同程度の知識を有しているとは限りません。それを盾にとって優位に立とうとすれば、それはハラスメントに発展します。

テクノロジーハラスメント

IT機器やソフトウェアの操作が苦手な人に対して、それを理由にいじめや嫌がらせをすること。

  • 「なんでそんなこともできないの?」「ITリテラシーが低いから仕事にならない」など、ITスキルが低いことを理由に侮辱する。
  • パソコンやスマートフォンなどの操作が苦手な人に、高度な操作を強要する。
  • IT機器が故障した場合、操作ミスを理由に当人を責める。
  • ITスキルが低い人にあえてIT関連の業務を多く割り当て、精神的な負担をかける。
  • IT用語を連発し、相手を混乱させたり、威圧したりする。

などが該当します。

テクノロジーハラスメントを防ぐために企業は、従業員のITリテラシー向上のための研修などを実施し、ITスキルに差がないよう努め、ハラスメントへ対策する必要があります。

食べ物に関する種類のハラスメント

人間の営みに欠かせない食事や食べ物もハラスメントになることが。嫌がらせと受け取られないよう、どのようなハラスメントがあるのか、知っておくことが大切です。

お菓子ハラスメント

職場や学校などでお菓子を介する嫌がらせやいじめのこと。

特定の人にだけお菓子を配らない、好みでないお菓子をわざと渡す、ダイエット中の人にお菓子を強要する、出張や旅行のお土産としてお菓子の購入を強制する、お土産の種類や量を細かく指定するなどの行為はお菓子ハラスメントに当てはまります。

ヌードルハラスメント

麺類をすする際に発する「ズルズル」という音が、周囲の人、特に猫舌の人や麺をすする習慣のない外国人に対して不快感を与えるとして、それをハラスメントと捉える考え方です。

日本では麺をすするのが一般的である一方、海外では食事中に音を立てることはマナー違反とされる文化圏も多く、文化の違いから摩擦が生じることがあります。

同じ日本人でも猫舌や音が気になる人にとっては、麺をすする音が不快に感じる場合があります。

アルコールハラスメント

ハラスメントの中では、アルハラという略称で広く知られていますね。

飲酒を伴う場面で、飲酒を強要したり、飲酒できない人をからかったり、酔った勢いで暴言を吐いたりするなど、アルコールに関連した嫌がらせや迷惑行為のことを指します。

急性アルコール中毒などのリスクだけでなく、人間関係の悪化、場合によっては暴行罪や傷害罪などの刑事事件に発展する可能性もあり、リスクの高いハラスメントです。

学校に関する種類のハラスメント

ハラスメントは会社内だけでなく学校にも広がっています。どのようなものがあるのでしょうか。

スクールハラスメント

学校内で行われるいじめや嫌がらせの総称。

身体的な暴力行為、言葉によるいじめ、無視や仲間はずれ、嘘やデマを広めるといった古典的なものから、最近らしいサイバーいじめまでスクールハラスメントに含まれます。

アカデミックハラスメント

大学や研究機関など、教育・研究の場で行われます。教員や指導者が学生や研究者に対して、権力関係を利用して行う嫌がらせや不当な扱いなどを指します。

意図的に指導を拒否する、研究データや資料へのアクセスを制限する、不当に低い評価をつける、評価基準を曖昧にする、卒業や学位取得を妨害するといった学問に関するものから、侮辱的な言葉をかける、プライバシーを侵害する、性的嫌がらせなどもアカデミックハラスメントに含まれます。

アカデミックハラスメントに遭ったら、ハラスメントの証拠となるメールや録音データなどを残し、信頼できる人に相談したり、相談窓口を利用したりしましょう。

その他のハラスメント

これまでご紹介した中には含まれないものの、ハラスメントに該当する行為はあります。

セカンドハラスメント

セクハラやパワハラ、モラハラなど、何らかのハラスメントを受けた人が、その被害を相談した際に周囲から二次的に受けるハラスメントのこと。

被害を訴えても、

そんなことするはずがない

気のせいだ

など、被害者が軽視されたり、逆に被害者が責められたりします。

また相談内容が周囲に広まり、被害者がさらに傷つき、ゴシップの対象にされたり、周囲から孤立させられたり、仕事をしにくくなったりすることもあります。

場合によっては加害者側が有利な状況になることもあり恐ろしいハラスメントです。

ハラスメントハラスメント

正当な指導や注意を「ハラスメントだ」と過剰に反応し、相手を困らせるのがハラスメントハラスメントという行為。

  • 上司からの業務に関する指導や注意を、人格否定や攻撃と捉え、ハラスメントと主張する。
  • 同僚との軽い雑談や冗談を、セクハラやパワハラと捉え、会社に訴える。
  • 一度解決した問題を何度も蒸し返し、相手を追い詰める。

などが該当します。

ハラスメントへの社会的な関心が高まる一方で、その定義や境界線が曖昧になり、何でもかんでもハラスメントと捉える傾向があることがハラスメントハラスメントの起こる一因です。

パタニティハラスメント

男性社員が育児休暇を取得したり、育児と仕事を両立させようとしたりする時に、職場の上司や同僚から受ける嫌がらせや不当な扱い、差別的な言動のこと。

・育休取得を申請すると、上司から「会社に迷惑をかける」などと反対され、取得を認められない。

  • 育休から復帰すると、重要な仕事から外されたり、評価が低くなったりする。
  • 「男が育児なんて」「仕事ができない」など、男性の育児参画を否定する発言をされる。
  • 育児を理由に、同僚から仲間外れにされたり、悪口を言われたりする。

などがパタニティハラスメントに該当します。

男性は仕事一筋で家庭を顧みないという旧来の価値観が残っている、育児休業制度や時短勤務制度が十分に整備されていない、あるいは利用しにくいなど、旧来の意識を引きずっていると起こることが多いハラスメントです。

厚生労働省が防止を呼びかけ|職場・会社でのハラスメント

厚生労働省では特にパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、就活ハラスメント、カスタマーハラスメントを職場におけるハラスメントとして防止策の強化を事業主に義務付けています。

改めてそれぞれがどのようなハラスメントなのか、ご紹介します。

パワーハラスメント

職務上の地位や職場内での人間関係の優位性を背景に、上司や先輩などが業務の適正な範囲を超え、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすること。

殴る、蹴る、物を投げつけるなどの身体的な攻撃、暴言、侮辱、人格否定、無視、仲間外れなど精神的な攻撃、私生活への過度な干渉、噂の拡散などといったプライバシーの侵害、不可能なノルマを課す、長時間労働を強いる過度な要求、仕事を与えない、能力を活かせない仕事しか与えない過小な要求と様々なものがあります。

パワハラを受けた人は、不安やうつ病、PTSDなどの精神的なダメージ、頭痛や腹痛、不眠症などの身体的な症状が出る可能性があるほか、仕事の意欲が低下してミスが増える、退職するといった仕事への影響も考えられます。

パワーハラスメントに遭ったら、会社内の相談窓口や労働組合、法律相談窓口、弁護士、労働相談ができるハローワークに問い合わせましょう。

セクシュアルハラスメント

身体への接触、相手の身体を執拗に眺める、性的な冗談やからかい、性的な噂や悪口、性的な内容のメールやSNSのメッセージ、性的な絵画や雑誌を見せる、性的な道具や玩具を見せる、デートに誘い続ける、性的な関係を迫る。
相手が望まない性的な言動によって、心理的・物理的な苦痛を与え、働きづらい状況を作り出すのがセクシュアルハラスメントです。

上司が部下、先輩が後輩など、優越的な立場にある者が、その立場を利用して行うことが多く、加害者の意図に関わらず、相手が不快に感じればセクハラに該当します。

セクハラは個人の尊厳や人格を侵害します。精神的なストレスから、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症する可能性があります。発生した場合には会社の相談窓口や外部機関などに相談しましょう。

マタニティハラスメント

妊娠中や出産後、育児中の女性が職場で不当な扱いを受けたり、嫌がらせを受けたりすること。

妊娠や出産、育児を理由に、解雇や雇い止め、降格、減給などの不利益な取り扱いを受けるだけでなく、精神的な苦痛を与えるような言動や、業務上の負担を増やすなどの行為も含まれます。

妊娠中の女性へ、重い物を持ち上げるなどの無理な仕事を強いる差別的な扱い、休暇を取りづらい雰囲気を作る、育児中の女性へ、早期の出産後の職場復帰を迫る、育児休業中の連絡を頻繁に求めるなどがマタニティハラスメントの具体例です。

妊娠や出産、育児は個人の問題ではなく、社会全体で支えるべき課題。個人の意識改革が求められるでしょう。

就活ハラスメント

就職活動中の学生に対して、企業やその社員が行うハラスメント行為の総称。セクハラやパワハラだけでなく、内定を条件に不当な要求をしたり、他の企業への就職活動をやめさせるように圧力をかけたりする行為も含まれます。

企業に対し弱い立場に置かれがちな、社会経験が浅い就職活動中の学生に対するハラスメントは相手の人権を侵害する行為です。このようなことをされたらハラスメント行為があった日時や場所、内容などを記録しておき、メールやLINEなどのやり取りを保存しておいて証拠を残しましょう。

また企業側からすると就活ハラスメントが発覚すると企業のイメージが大きく損なわれ、優秀な人材の採用が難しくなる可能性があります。

カスタマーハラスメント

近年社会問題化しているカスタマーハラスメントは、顧客が企業やその従業員に対して理不尽な要求や暴言、脅迫などを行い、精神的な苦痛を与えたり、業務を妨害したりすること。

従業員への暴言・脅迫、過度な要求、名誉毀損だけでなく、従業員の個人情報を聞き出そうとするプライバシー侵害も当てはまります。

従業員もできるだけ毅然とした態度で対応したいものですが、なかなか難しいでしょうから一人で悩まずに、上司や人事担当者に相談してみましょう。企業はカスハラ防止に関する規程を整備し、従業員の相談窓口を設置することが求められるでしょう。

カスハラは犯罪です。従業員を危険な状態にさらしたり、精神的な苦痛を与えたりする行為は、労働基準法違反に、暴行や脅迫、名誉毀損などの行為は、民法上の不法行為に該当し、損害賠償責任が発生する場合があります。

加害者を許さない社会を作るため、社会全体の意識改革が必要です。

時代のせい?どうしてハラスメント化する必要があるの?

「種類が多すぎる」と感じるハラスメント。なぜこんなにも「◯◯ハラスメント」という言葉が増えたのでしょうか。

  • 特定の行為が単なるトラブルや意見の相違ではなく、相手に精神的な苦痛を与え、職場環境を悪化させる行動であることを明確にするため。
  • 特定の言葉で問題を定義することで、その問題の社会的な認知度を高め、問題解決に向けて動き出す気運を作るため。
  • その問題に特化した対策を検討し、実施するため。
  • その問題に対する法的な整備を促進し、被害者を保護するための仕組み作りにつなげるため。

「ハラスメント」という言葉には、相手に不快感を与え、精神的な苦痛を与える行為であるという強い否定的な意味合いが含まれています。

「ハラスメント」という言葉を使うことで、問題の深刻さを認識させ、対策の必要性を訴えることができるのです。

多すぎる「○○ハラスメント」は重要な対策手段

ハラスメントの種類が多すぎる、最新のハラスメントの定義に戸惑う、または過剰だと思う方は多いでしょう。しかし、「◯◯ハラスメント」という名称をつけることは単なる言葉遊びではなく、意味のある行いです。

問題を明確化し、社会的な意識を高め、具体的な対策を推進する重要な手段なのです。

現代社会はますます複雑化し、多様化しています。それに伴い、ハラスメントの種類も増加しています。それぞれのハラスメントは異なる特徴を持ち、被害者の状況も異なります。

それぞれのハラスメントに固有の名称を付けることで、問題の特性をより深く理解し、適切な対策を講じハラスメントの発生を防ぐことができるのです。

まとめると、ハラスメントの種類が多すぎること自体は、現状の社会課題を反映した結果であり、問題解決への第一歩と言えるでしょう。

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この記事を書いた人

わたしらしい幸せのヒントが見つかるメディアwellfyのアカウントです。

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