パワーカップルとは、妻と夫、ともにキャリアや経済力を持ち、経済的に豊かなカップルのことです。年収いくら以上がパワーカップルか、という定義は曖昧ですが、一般的には「それぞれが700万以上」つまり、「世帯年収が1400万以上」のカップルをパワーカップルと呼ぶことが多いようです。
夫婦それぞれが年収700万以上稼いでいるパワーカップルは日本では全世帯の中で1%しかいません。そのため、「勝ち組カップル」「羨ましいカップル」だとして羨望の眼差しを向けられがちです。
しかし、本当にパワーカップルは勝ち組で、幸せなのでしょうか?
今回は、パワーカップルをめぐる人々の心理や、パワーカップルが直面する現実、末路について考えていきます。
★パワーカップルの定義や年収、職種については、以下の記事で詳しく解説しています。
パワーカップルはなぜ羨まれたり、ずるいと思われたりする?
パワーカップルがなぜ他人から、羨望の対象になったり、ずるいと思われたりしがちです。なぜパワーカップルは注目されるのでしょうか?
パワーカップルが注目される背景
日本では、1980年代には共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、今や共働きが当たり前の時代になっています。男女ともにキャリアを追求する時代になったのです。女性の社会進出は進んだ、とも言われています。
しかし、女性の社会的地位は、男性と比べると低いままであり、女性の平均年収は300万円台にとどまり、正社員でも男性の7割しか稼げていません。
また、ここ30年、平均賃金は低下しているのに、税金や物価は上がっている影響で、苦しい生活を余儀なくされている人が増えてきています。
そのため、男女ともに年収700万円を稼げるカップルや超レアであり、全体の1%しかおらず、彼らは経済的な「勝ち組」だとみなされるのです。
毎日働いているのにギリギリの生活をしている人や、給料が上がらない人が増えているからこそ、パワーカップルが羨ましがられているのです。
パワーカップルに憧れる心理。キラキラ輝く理想のロールモデルに見える
パワーカップルを羨む人のなかには、「彼らのような生活がしたい」と憧れている人もいます。
高収入で、おしゃれな家に住んでいて、かっこいいキャリアを積んでおり、海外旅行を楽しむ姿は、キラキラ輝いて見えるのでしょう。
パワーカップルを身近な存在だと思っている人の中には、「彼らのようになりたい」という気持ちを原動力に仕事やパートナー探しを頑張る人もいます。
パワーカップルを「ずるい」と感じる心理。簡単に富を手に入れているように見える
一方、パワーカップルに憎しみにも似た気持ちを抱く人もいます。「ずるい」「気に食わない」という人も少なくありません。
自分の現場に不満がある人ほど、簡単に成功を手に入れているように見える人に対し、否定的な気持ちを抱きやすくなるのです。
実際、彼らは努力せずに、経営者の親から会社を引き継いだだけなのかもしれません。あるいは、寝ずに働いて現在の地位を得たのかもしれません。外から実態はわかりませんが、パワーカップルが実際にどんな生活をして、どんな困難を乗り越えているのかが外からは見えにくいため、「簡単に稼いでずるい」と思われがちなのです。
パワーカップルが抱えがちな問題
パワーカップルは表面上、華やかに見えますが、現実にはさまざまな困難を抱えているケースが多々あります。ここでは、パワーカップルが抱えがちな問題を紹介していきます。
パワーカップルは両方とも忙しく、プライベートの時間がない
パワーカップルは仕事で忙しい生活を送っているため、プライベートの時間が限られがちです。
一方が忙しいだけなら、相手の生活リズムに合わせて二人の時間を作ることができますが、両方が忙しい、となるとなかなか夫婦の時間を作ることもできません。
家事・育児で喧嘩になりがち
日本は現在、統計上、専業主婦でも共働きでも、女性が家事をメインで行なっています。フルタイム勤務でも、女性が平均して7割以上の家事を担っているのが現状です。
定時で帰ることができる仕事ならいざ知らず、年収700万円の仕事の場合、そうはいかないことが多いため、女性は寝る時間を削って家事と仕事をしなければならないケースも多いのです。
パワーカップルの場合、家事労働を外注することも珍しくありませんが、外注を望まないカップルの場合、家事・育児の分担の偏りが原因で喧嘩になりがちです。
離婚率が高くなりがち
正確な統計はありませんが、女性の医者の離婚率が高いことはよく知られている事実です。これは、医師がハードワークかつ高収入の仕事のため、上記のような家事や育児の不平等が発生した場合、比較的迷いなく離婚できるというのが一因でしょう。
パワーカップルは、お互いに経済的に自立しているため、どちらかが経済的にもう一方に依存しているカップルと比べたら、離婚に対するハードルが低くなりがちなのです。
とにかくストレスやプレッシャーが多い
パワーカップルは仕事で責任ある地位についているケースが多く、それゆえにストレスを抱えがちです。パワーカップルの多くは経済的に成功しているため、周囲からの期待や注目を浴びやすくなります。家賃も高い家に住んでいることが多く、生活レベルを下げるのが難しいと感じがちです。
このため、「仕事で失敗できない」「稼ぎ続けなければならない」というプレッシャーを抱えることもあります。
パワーカップルは本当に「勝ち組」なのか?
ところで多くの人が「勝ち組」と見なすパワーカップルですが、果たしてそれは正しい評価なのでしょうか?
経済的な豊かさと精神的な豊かさは別物
確かに、経済的に豊かなであることは、安心して生活できるという点で、幸せの基盤になりえます。しかし、経済的に豊かだからといって必ずしも幸せとは限りません。
勝ち組って誰のこと? 勝ち負けを意識する人は、疲弊する
「勝ち組」がいるということは、「負け組」がいるということです。
パワーカップルが自身のことを「勝ち組」だと思っている場合、「負け組」にならないために、常に仕事で成果を出し続け、いまいる地位にとどまるか上を目指す必要があります。
「勝ち組・負け組」は、「比較」が好きな人の言葉
また、パワーカップルのこと「勝ち組」だとみなすパワーカップルではない人は、自身のことを「勝ってない組」「負け組」に分類しているということです。ですが、お金を多く稼げていたら、「勝ち」というのは、あまりにも単純な尺度だと言えるでしょう。
勝ち負けを気にする生き方は、周囲と自分を比べる生き方でもあります。
さいごに。勝ち負けより、他人と比べられない自分独自の幸せを追求しよう
パワーカップルは、外から見ると華やかで理想的な存在に見えますが、その実態にはさまざまな問題やストレスが潜んでいます。
パワーカップルはお金に余裕があるため、離婚に対するハードルが低く、離婚率が上がるという現状もあります。パワーカップルの末路は、離婚、かもしれないのです。しかし、離婚したとしても、お金原因で別れたいのに別れられないカップルと比べたら、自由だと言えるでしょう。
でも、だからといって「やっぱりパワーカップルはそれ以外のカップルよりも勝ち組」というわけではありません。
なぜなら、経済的な豊かさは、心の豊かさと関係がないからです。経済的に貧しくてもハッピーなカップルがたくさん存在するのと同時に、リッチでも心が貧しく、不安を抱えて生きているカップルもいるでしょう。
大切なのは、周囲の人と比べず、自分自身の幸せを追求していくことです。