「今年こそ自分磨きを頑張りたい」「スキルアップして転職したい」そんな前向きな気持ちになる一方で、
「でも貯金もないのに自己投資にお金をかけていいのかな?」
と悩んでいる女性は多いのではないでしょうか。
今回は、お金に十分な余裕がない女性に向けて、自己投資と貯金の理想的なバランスについて、データと実体験を交えながら詳しく解説していきます。
SNSでは月5万円、10万円と自己投資に使っている女性の投稿を見かけることも多々ありますが、果たして現実的なのでしょうか?実際の数字を見ていきましょう。
まずは現実を知ろう!20代・30代女性の年収事情。年収ピークは?

自己投資を考える前に、まずは同世代の年収事情を把握しておきましょう。2024年の最新データによると、女性の平均年収は以下のようになっています。
20代女性の年収
- 20代前半:平均305万円
- 20代後半:平均349万円
30代女性の年収
- 30代前半:平均383万円
- 30代後半:平均408万円
女性の収入の厳しい実態
注意すべきは、女性の年収が30代をピークにほぼ横ばいになることです。
そもそも、日本は男女の賃金格差が激しい国であり、正社員であっても男女の賃金に差があります。厚生労働省令和5年賃金構造基本統計調査によると男性を100とした場合、女性は74.8しか収入が得られません。
男性は年齢とともに年収が上がり続ける一方で、女性は結婚や出産といったライフステージの変化により、年収の伸びが限定的になる傾向があります。また、総務省労働力調査によると女性の67.8%以上は非正規雇用で働いています。
ちなみに、正社員を100とした場合、非正規社員は67.4しか収入が得られておらず、「同一労働同一賃金」からは程遠い実態があります。
貯金額の実態。20代の約4割、30代でも約3割が貯金ゼロ

次に、貯金事情について見ていきましょう。2023年の最新調査によると、同世代の貯金額は以下のような状況です。
20代の貯金事情
- 平均金融資産:185万円
- 預貯金平均:95万円
- 金融資産なしの割合:40.6%
- 金融資産100万円未満:21.9%
30代単身女性の貯金事情
- 平均金融資産:594万円
- 中央値:100万円
- 金融資産なしの割合:34.0%
30代夫婦世帯の貯金事情
- 平均金融資産:601万円
- 中央値:150万円
- 金融資産なしの割合:28.4%
上記のことから、20代の約4割、30代でも約3割が貯金ゼロという現実が浮かび上がります。

月5万円の自己投資は現実的?
これらの数字をもとに計算してみると、月5万円(年間60万円)の自己投資は、20代後半女性の年収の約17%、30代女性でも約15%に相当します。手取り額で考えると、さらに割合は高くなります。
具体的に考えてみましょう。
20代後半女性(年収349万円、手取り約280万円)のAさんがいたとします。
Aさんが月5万円の自己投資を行う場合、手取りの約21%に相当します。「あれ、思っていたより高い割合かも」と感じた方も多いのではないでしょうか。
月5万円は、平均的な収入を得ている女性にとっては、捻出するのが少し難しい金額のようです。
月5万円程度の自己投資は「みんなやってる」は本当?

SNSでよく見る「月5万円自己投資」投稿の多くは、実は以下のような人たちです。
- 実家暮らしで生活費が抑えられている
- パートナーや同居人がいて生活費を分担している
- 副業や投資で収入が多い
- 一時的な出費を「月5万円」と表現している
- 見せかけの投資であり、実際は投資していない
一人暮らしで年収350万円程度の女性が毎月5万円を継続的に自己投資に使うのは、かなりハードルが高いのが事実です。
月5万円の投資を継続的に行っている人は、収入が平均より多いか、実家がサポートしてくれているなど、何かしら理由がある可能性が高いでしょう。

自己投資と自分磨きの違い
次に、混同されがちな自己投資と自分磨きの差について見ていきましょう。
自己投資とは
自己投資とは、将来的に明確なリターンを期待して、自分にお金や時間を使うことです。
具体的には以下のようなものが当てはまります。
- 仕事に直結する資格の取得
- 副業スキルの習得
- 語学学習
- ジムなど、健康管理への投資
自分磨きとは
自分磨きとは、今の自分をアップデートして理想の自分に変身することで、必ずしも経済的リターンを求めないものです。
具体的には以下のようなものが当てはまります。
- エステやネイルサロン、ホワイトニングなどの美容
- 服やアクセサリーなどの購入
- 趣味や習い事
- 旅行や体験を通して経験を積む
例えばジムで鍛えることは、自己投資であり自分磨きでもあると言えるため、自己投資と自分磨きが完全に分けられるわけではありません。
明確に分けられない時もありますが、基本的には、自己投資は経済的利益を求めるが、自分磨きは必ずしも経済的利益に結びつかないものを指すことが多いでしょう。

理想的なバランスはコレ!お金のプロが教える黄金比率

次に、貯金と自己投資の理想的なバランスについて確認しましょう。
ファイナンシャルプランナーが推奨する、お金が貯まる人の支出バランスがあります。
それが「消費:浪費:投資 = 70:5:25」の黄金比率です。
手取り20万円の場合
- 消費(生活費):14万円
- 浪費(娯楽費):1万円
- 投資(貯金+自己投資):5万円
手取り25万円の場合
- 消費(生活費):17.5万円
- 浪費(娯楽費):1.3万円
- 投資(貯金+自己投資):6.2万円
いくら貯金していくら自己投資に回すべきかは、「どれくらいあれば生活できるか」によって変わってきます。
基本的には、3ヶ月分の生活費は貯金として持っておくと安心です。
会社員の場合、退職しても3ヶ月後には失業保険が出ます。それまで余裕を持って生活できる分は貯めておきましょう。
リアルおすすめ!女性たちの「やってよかった自己投資」ランキング
次に、実際にやってみてよかったという声の多い自己投資を紹介していきます。
1位:健康・運動への投資
体は資本ですから、健康や運動に投資することは大切です。
体験談(20代営業職)
「社会人になると、意識しないと運動する機会が0になります。月1万円のジム代を最初は高く感じましたが、体調が良くなって仕事のパフォーマンスも上がりました。筋トレにハマって、今はパーソナルジムに通おうか迷っています」
2位:読書への投資
コストパフォーマンスが高い自己投資として人気なのは、読書です。
体験談(20代デザイナー)
「生活に必要なお金の知識を20代から得ておくと、資産形成が一気に進むと思います。月2,000円程度の本代で、将来数百万円の差が生まれるなら安い投資だと思って不動産投資や株の本を読んでいます。イデコやNISAなどを早いうちから始めることができたのは本のおかげです」
3位:資格取得やスキルアップのための投資
確実なリターンを期待できるのが、仕事に直結する資格取得です。
体験談(30代飲食店勤務)
「簿記とFPの資格を取得し、副業を始めました。今では副業+資産運用で、お給料以外に月15万円以上の収入を得られるようになりました」
自己投資で人生が変わった女性たちのサクセスストーリー

自己投資によって人生を大きく前進させられた女性もいます。
ケース1:美容×読書で自信とお金を手に入れたAさん(25歳・会社員)
投資内容: 美容(月2万円)+ マーケティングの本を読む(月5千円)
期間: 1年間
効果: 「副収入ができた」「より自信が持てるようになった」
Aさんは、趣味の美容にお金を使うかたわら、本を読んでマーケティングの勉強をしました。結果、一年後にはSNSの美容アカウントで月2万円の副収入を得られるようになったと言います。
月2万円というと些細な金額に感じるかもしれませんが、会社員のAさんは、自分でお金が稼げるという経験に大きな勇気を得ました。現在は、さらにマーケティングの勉強をして、事業を大きくする夢を抱いています。
ケース2:スキル習得で収入アップを実現したBさん(31歳・Webデザイナー)
投資内容: プログラミングスクール(6ヶ月で30万円)
効果: 「転職成功で年収100万円アップ」
事務職だったBさんは一念発起してプログラミングスクールに通い、スキルアップをしてWebデザイナーとして転職を成功させました。投資分は半年で回収できたとのことです。
長期的な目線で見れば、30万の投資が大きなリターンを産んだと言えるでしょう。
自己投資を始めたいアラサー女子への現実的アドバイス
次に、自己投資を始めたいアラサー女子に、実施する前に参考にしてほしい現実的なステップをご紹介します。
家計の見える化
自己投資を始める前に、まずは現在の支出を正確に把握しましょう。家計簿アプリを使って1ヶ月間記録すると、意外な浪費が見つかるものです。
貯金を確保
データが示すとおり、多くの人が貯金不足の状態です。貯金がゼロの人は、自己投資と同時に貯金も行う必要があります。
低コストでできる自己投資から始めてみよう
貯金があまりない状態でもできる自己投資はあります。
投資先を選ぶ
必要な投資ができたら、自己投資先を選びましょう。
自己投資を失敗しないための5つのチェックポイント

張り切って始めても、続かなければ意味がありません。ここでは、自己投資を失敗しないためのポイントを確認しましょう。
目的を明確にする
「なぜその自己投資をするのか」「どんなリターンを期待するのか」を具体的に設定しましょう。
長期的視点を持つ
自己投資の効果は年単位で現れます。焦って結果を求めすぎないことが大切です。
生活を圧迫しない範囲で無理せず行う
「投資のために生活費を削る」のは本末転倒です。無理のない範囲で継続することが成功のカギです。
効果測定を行う
定期的に「この投資は効果があったか」を振り返り、必要に応じて軌道修正しましょう。一度やり始めたからといって、必ずしも続けた方がいいとは限りません。
他人と比較しない
SNSの華やかな投稿に惑わされず、自分のペースで進むことが重要です。SNSは基本的にいいことしか書きませんから、見ていて落ち込むようなら、ミュートするのもいいでしょう。


自己投資に関するよくある質問

最後に、自己投資に関するよくある質問に回答していきます。
- 貯金ゼロでも絶対に始めた方がいい自己投資はありますか?
-
健康管理(食事・運動・睡眠の改善)と読書です。これらは低コストで始められ、すべての活動の基盤となります。図書館に行けば本は無料で借りられます。
- 自己投資の効果が感じられません。続けるべきでしょうか?
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全く変化がない場合は方法を見直しましょう。ただし、スキル系の投資は効果が出るのに数年かかる場合もあるので、気長に待ちましょう。
- 周りの友達が高額な自己投資をしていて焦ります。
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人それぞれ収入も状況も違います。自分のペースで、自分に必要な投資を見極めることが大切でしょう。
- 貯金がゼロですが自己投資にお金を使うってありですか?
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貯金はないけれど自己投資を行いたい、という場合、リスクはありますが踏み出すのもアリでしょう。20代、30代はまだ若いですから、貯金という「守り」よりも、自己投資という「攻め」を選択した方がいい時期です。誰に何を言われても、今は貯金より自己投資をしたい、という強い意志がある場合は、突き進みましょう。貯金がない状態で自己投資を行い、いざという時にお金がなくなって借金をしたとしても、おいおい働いて返済すればいいだけです。
自己投資はいつから始めてもOK。やりたいことにトライしよう!
自己投資はいつからでも始められます。現実的に月5万円の投資を毎月行うのは厳しいかもしれませんが、無料でできる自己投資はたくさんあります。やってみたいと思うことがあるなら、臆さずトライしてみましょう。
20代、30代のうちからしっかり自己投資をしておけば、年を重ねた暁には、自分の生活を守るためのしっかりした基盤が確立できているはずです。

参考
MUFJ 日本の平均年収は?
https://www.bk.mufg.jp/column/others/b0077.html
DODA 平均年収ランキング
https://doda.jp/guide/heikin/age
DODA女性の平均年収ランキング
https://doda.jp/woman/guide/heikin/age/