この関係に疲れた…リセットしてやり直したい
わたしって人間関係リセット症候群なのかな
人間関係のリセットは一度やったら終わりではなく、何度も繰り返してしまう癖があります。気づけば周囲に親しい人が誰もいなくなり、後悔することも。
人間関係リセット症候群は、ストレスを一時的に軽減する手段になる一方で、孤立感を深め、自分自身を傷つけるリスクも伴います。大切な人間関係を次々にリセットしてしまうことは、本人にとっても大きなデメリットとなる可能性もあります。
今回は、人間関係リセット症候群とは何か、その原因や特徴、セルフチェックリスト、対処法・改善方法などを解説していきます。
人間関係リセット症候群とは?
人間関係リセット症候群とは、「これまで築いてきた人間関係を突然断ち切りたいと感じ、その衝動に従って実際に行動に移してしまう心理状態や行動パターン」を指します。
この症候群に陥る人は、職場や友人関係、家族関係など、さまざまな人間関係において、予告や説明もないまま一方的に関係をリセットしてしまうことが特徴です。
こうした行動は、一時的にストレスや負担から解放される感覚をもたらす一方で、周囲との信頼関係を損ねたり、孤独感を深めたりする可能性もあります。
そのため、単なる気分の問題ではなく、注意深く原因や背景を理解し、対処していくことが重要です。
人間関係リセット症候群の原因。なりやすい人に心理的な特徴はある?
続いては、人間関係リセット症候群の原因、陥りやすい心理的な背景について見ていきましょう。
気を使いすぎたことによるストレス
普段から周囲に気を使いすぎて、空気を読んだ発言をしているため、その人たちといるとストレスがたまり、限界に達して人間関係をリセットしてしまう人もいます。
とくに、HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる生まれつき感受性が強く敏感な気質を持つ人は、他人との関わりにおける微妙な変化に影響を受けやすく、その結果、人間関係のリセットに至る傾向があるとされています。
相手の気持ちをネガティブに推察する
××ちゃんは私のことを見下している
あのコミュニティに自分は必要とされていない
など、相手の気持ちをネガティブに推察し、衝動的にリセットしてしまうケースもあります。
この場合、実際に相手がそのような気持ちを抱いているかどうかは分からず、妄想が膨らんだ結果、極端な行動に出てしまうことが特徴です。
こうした思い込みが、人間関係リセット症候群の大きな原因の一つと言えるでしょう。
かまってちゃんは人間関係リセット症候群になりがち
いわゆる“かまってちゃん”は人間関係リセット症候群に陥りがちです。
グループラインを抜けたり、連絡をブロックしたりすることで、相手に「何かあったのかな」と気にかけて欲しい、という願望が引き金になって人間関係をリセットしてしまうのです。
一度その期待通りの反応を得ると、注目される快感から同じ行動を繰り返すことがある点も、このタイプの特徴です。
トラウマ。人間関係で傷つくことを恐れる
幼少期にいじめられていた、友達から陰で悪口を言われていた、などの人間関係で傷ついた経験があり、人に傷つけられることを極度に恐れている人も人間関係リセット症候群に陥りがちです。
相手に期待して裏切られること、拒絶されることを恐れるあまり、
どうせ拒絶されるなら、自分の方から拒絶してやる
と相手の連絡先を削除する癖を持つケースもあるのです。
衝突を避け、逃げる癖がついている
恋人や友達と揉めそうになった時、相手の連絡を無視して自然消滅を狙う、など面倒なことから逃げたい心理から無責任な行動をとってしまう人もいます。
人間関係上で発生する責任からうまく逃れられた経験が積み重なると、人と向き合うより、リセットして新しい関係を築く方がいい、と思い始めます。
複雑な人間関係から逃げ続けた結果、人間関係リセット症候群に陥っている人もいるのです。
心の病気・メンタル疾患が影響しているケースも
人間関係リセット症候群は、心の病気・メンタル疾患が背景にある場合も少なくありません。
うつ病や双極性障害による影響
うつ病や双極性障害を抱える人は、日常的な人間関係が心理的な負担となり、結果的に人間関係を断つ選択をしてしまうことがあります。とくに、エネルギーの低下や感情の波が影響し、人との関わりが難しくなる傾向が見られます。
不安障害が引き起こす行動
不安障害の人は、日常生活での不安が強まり、人間関係においても「嫌われたらどうしよう」「迷惑をかけていないだろうか」といった過剰な心配を抱えることがあります。その結果、不安を回避しようと人間関係を断つ行動に出ることがあります。
発達障害によるストレスの影響
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害の特性を持つ人は、人間関係の中で特有のストレスを感じやすい傾向があります。コミュニケーションの行き違いや、相手の意図を正確に読み取れないことで負担やストレスが蓄積し、極端な形で人間関係をリセットしてしまう場合もあります。
境界性パーソナリティ障害の場合
境界性パーソナリティ障害の特徴として、「見捨てられる恐怖」が挙げられます。恐怖心や不安が高まると、相手に見捨てられる前に自分から関係を断つという行動に繋がることがあります。このような行動は、自己防衛の一環として無意識に行われる場合もあります。
メンタル疾患や発達特性が影響している場合、人間関係リセット症候群を改善するには、理解あるサポートと適切な医療機関(メンタルクリニックや心療内科、精神科など)での相談や治療が大切です。
人間関係リセット症候群の特徴。ありがちなデメリット
次に、人間関係リセット症候群の特徴について見ていきましょう。
突然連絡を絶ったり、SNSを削除・ブロックしたりする
人間関係リセット症候群の人たちは、相手に何の説明もなしに、突如連絡を絶ったり、SNSのアカウントを削除したり、ブロックする行動を取りがちです。突然の行動に周囲が戸惑うことも少なくありません。
人間関係リセット症候群の人は同じパターンを繰り返す特徴がある
新しい環境や人間関係を求めて行動するものの、その一方で、いざ関係が安定すると再びリセットを繰り返してしまう特徴があります。このため、どの環境でも長期的な人間関係を築くのが難しい傾向にあります。
リセットしてしまうため人間関係が長続きしない
その場では親しい関係を築けても、リセット癖のために長期的な信頼関係を築くことが難しい傾向があります。その結果、深い絆を育むチャンスを逃してしまうことも多いです。
人間関係リセット症候群の人は他人に対する期待が強い傾向がある
人間関係リセット症候群の人は、他人に対して高い期待を抱きがちです。しかし、その期待が裏切られたと感じた瞬間に、関係を断ち切ろうとする傾向ががあるようです。このような一方的な期待と失望が、リセット行動の引き金となることがあります。
人間関係リセット症候群の人は孤立してしまうことが多い
人間関係リセット症候群に陥っている人は、頻繁にリセットを繰り返すことで新しい人間関係を築く機会が減り、孤独感を抱えるケースが多いようです。リセット癖が原因で、周囲から「付き合いにくい人」という印象を持たれることもあります。
人間関係リセット症候群のセルフチェック
次に、人間関係リセット症候群のセルフチェックリストをご紹介します。
まずは、以下の質問に「はい」「いいえ」で答えてください。
- 人間関係に疲れると、突然連絡を絶ちたくなることがある。
- SNSを定期的に削除したり、アカウントを作り直したりする癖がある。
- 他人が自分の期待に応えてくれないと感じることが頻繁にある。
- 人間関係が短期間で変わることが多い。
- 過去に人間関係で傷ついた経験がある。
- 他人の些細な行動や言葉に過剰に反応してしまう。
- 自分の気持ちを素直に伝えることが苦手だ。
- 喧嘩になりそうになったら、そっと距離を置く。
「はい」が4つ以上ある人は、人間関係リセット症候群の傾向がある、と言えるでしょう。
治し方はある?人間関係リセット症候群の対処法・改善方法
人間関係リセット症候群に陥っていると感じている方へ、自分を守りつつ改善するための方法をご紹介します。以下の方法を、無理なく試せる範囲で実践してみてください。
なぜ人間関係リセット症候群になったのか、自分の心理や原因を振り返る
まずは、人間関係をリセットしたくなる状況や心理的背景を冷静に振り返ってみましょう。
「どんな時にその衝動に駆られるのか?」
誰との関係が特に負担だったのか?
と自分に問いかけることで、原因やパターンが見えてくるはずです。
人間関係リセット症候群に陥ったら自分に優しくする
ストレスが原因で人間関係リセット症候群に陥っているケースは多々あります。
無理をせず、まずは自分を癒す時間を作りましょう。好きな趣味に没頭したり、心地よい空間でリラックスしたりして、心身の負担を軽くすることが大切です。
ネガティブな思い込みに気がつく
人間関係リセット症候群に陥る多くの人は、
相手から尊重されていない
とネガティブな感情を抱きがちです。
ですが、そういった感情は、単なる妄想である可能性も否定できません。
自分の気持ちを言語化してみる
湧き上がる感情や期待を言葉にしてみるのも人間関係リセット症候群の対策として効果的です。自分の気持ちや、期待を、言語化して心の整理をしましょう。
相手に伝えるのはハードルが高いという場合は、ノートに書き出してみるのもありです。ノートに書き出すことで、自分の感情を客観的に見つめ直すことができます。
極端な行動の代わりにソフトな行動をとってみる
ソフトな選択肢を試して見守るのもおすすめです。
たとえば、SNSで繋がっている友達を即ブロックするのではなく、まずは相手を一時的にミュートをして様子を見るなど、少し距離を置くことで、極端な行動を取らないように調整して見ましょう。
困難を抱えているなら専門家に相談してみるのも一案
どうしても、人間関係リセット症候群から抜け出せられず、人間関係を築くことに困難を抱えている場合は、心理カウンセラーなどの手を借りて原因を究明してみるのも一案です。
もしかしたら自分では気が付かない幼少期の出来事など、過去の体験や思考パターンの影響で人間関係を築きにくくなっているかもしれません。専門家と一緒に思考・行動パターンの原因を掘り下げることで、気がつくこともあるでしょう。
人間関係をリセットする具体的な方法・注意点
ここまで人間関係リセット症候群や、どのように対処するか、に関して解説をしてきました。
確かに、何でもかんでも人間関係をリセットすることは望ましくありません。ですが、リセットすべき有害な人間関係もあるでしょう。
たとえば、
長期間にわたりストレスを感じる関係が続いている
モラハラやDVなど相手が明らかに有害な影響を受けている
共依存に陥っている
自分や相手の成長や目標の妨げになっていると感じる
などの場合は、人間関係をリセットするべきかもしれません。
ここでは、人間関係をリセットする方法や注意点について解説していきます。
縁を切る、と宣言する必要はない
友人や知人との関係を切りたい場合、わざわざ「縁を切る」と宣言する必要はありません。連絡頻度を徐々に減らし、自然な形でフェードアウトするのも一案です。
明確に伝えたほうがいい時もある
関係性によっては、明確に言わないと伝わらない場合もあります。
恋人や長年親しい相手との関係を終わらせる際には、フェードアウトではなく、はっきりと関係を断つ意志を伝える誠実さが必要です。明確に伝えることで誤解を防ぎ、すっきりとした終わり方ができます。
新しい環境に移る
同棲や職場、趣味のコミュニティなどで相手と接点が多い場合は、引っ越しや転職、新しいコミュニティに参加するなど、思い切った方法で人間関係をリセットすることも選択肢の一つです。
環境を変えることで、これまでの関係を断ち、心機一転新しい人間関係を築くことができるでしょう。
感情的・衝動的にならない
一時的な感情で相手をブロックしたり関係を切ってしまったりしたら後悔することになるかもしれません。
日記を書いたり、カウンセリングを受けたりして、冷静になり、自分の本心を見極めましょう。本当に関係を切るべきだ、と感じたら行動に移しましょう。
相手の気持ちに配慮する
人間関係のリセットは自分のための決断ですが、相手を傷つける可能性も十分あります。できる限り誠実に対応しましょう。
ただし、モラハラやDVなどで話が通じない場合はこの限りではありません。無理に配慮する必要はありません。
信頼できる相手との関係を維持する
人間関係をリセットした後は孤独を感じがちです。精神的な健康のために、信頼できる人との関係は維持するように努めましょう。
新しい人間関係を築くには時間がかかることもあるため、既存の良好な関係を失わないよう心がけてくださいね。
さいごに。まずは人間関係リセット症候群に陥ってしまう原因を見つけよう
人間関係をリセットすることは、ストレスを軽減し自分を守るために必要な場合もあります。ただし、リセットの判断は慎重に行い、相手の気持ちに配慮することが大切でしょう。
また、人間関係リセット症候群に陥ってしまい、人間関係が築きにくくなっている場合は、原因をチェックする必要があります。
原因を理解し、適切なサポートを活用することで、より安定した人間関係を築くことができるはずです。