どれだけ外見が整った美男美女でも、表現力が乏しかったり、話の内容に深みがなかったりすると、「ルックスはいいのに残念」と思われがちです。
逆に言うと、語る内容が魅力的で語彙や表現が豊かであれば、その人の印象は大きく変わります。
「話してみたら、すごく素敵な人だった」と思わせる力こそ、語彙力を鍛えることで手に入れられる魅力といえるでしょう。
語彙力を鍛えることで、コミュニケーションを円滑にするだけでなく、あなたの人間的魅力を引き出すことができます。仕事の場面でも、自分の考えを的確に伝えたり、会話をリードしたりするスキルとして大いに役立ちます。
今回は、「話してみたら、すごく魅力的な人だった」と思わせるための、「語彙力を鍛える方法」をご紹介します。
語彙力を鍛えるにはどうすればいい?
表現が平凡で会話が盛り上がらない
と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
語彙力とは?ボキャブラリーとどう違う?
「語彙力」とは、「言葉(つまり語彙)を理解し、適切に使いこなす能力のこと」です。
似たような意味の言葉としてはボキャブラリーがありますが、ボキャブラリーは、「個人が知っている単語の集合体」のことを指します。
語彙力は言葉を使いこなす能力のことで、ボキャブラリーは言葉そのもののことなのです。また、語彙力は日本語に対して使われることが多い一方、ボキャブラリーは英語学習などの場面で用いられることが多い、という違いがあります。
しかし、日常生活のシーンではそのように厳密に分けられず、同じ意味で使われることも多いため、「語彙=ボキャブラリー」と考えていても問題はないでしょう。
語彙力がない人にはどんな特徴がある?
「語彙力がない」とは、必要な場面で適切な言葉を使ったり、表現したりする能力が十分ではない状態を指します。語彙力がない人にはいくつかの特徴が見られます。
同じ表現ばかり使う・表現力が低い
語彙力がない人は使用する言葉数が少なく、同じ単語やフレーズを頻繁に繰り返す傾向があります。 「すごい」「やばい」など、曖昧な表現しか使うことができず、適切に気持ちを表現できない状態に陥りがちです。
抽象的なことを伝える力が弱い
語彙力がない人は、抽象的なことを伝える能力が低い傾向にあります。そのため、自分がどう感じたか、といった心情を相手に上手に伝えられない人も少なくありません。感動する作品を見ても、「なんかすごかった」としか言えないのも、語彙力不足が関係しています。
コミュニケーションが苦手
語彙力がない人は、言葉という表現の武器を使いこなせていないため、相手に自分の考えや感情を正確に伝えることが苦手な傾向があります。その結果、言葉でのコミュニケーション全般が苦手に感じられることが多いです。
文章力が低い
語彙力がない人は、文章力も低い傾向があります。適切な言葉を選ぶことができず、文章がわかりにくかったり、子供っぽい文章になったりすることがあります。伝えたい内容を効果的に書く力も弱くなりがちです。
読解力が低い
語彙が少ないと、複雑な文章や難しい言葉を理解するのが難しくなります。そのため、文章の真意を正確に読み取れず、誤解や読み飛ばしが生じることも少なくありません。
批判的思考や議論・批評が苦手
語彙力がない人は、与えられたものをそのまま受け入れることはできても、批判的に検討することが苦手です。そのため、共感や賞賛はできても、対立する意見に対して明確に意見を述べることが難しくなりがちです。できたとしても「なんか苦手」といった曖昧な表現になりがちであり、「批判的に論ずる」レベルには達することができません。
「語彙力がない」状態に陥ってしまう理由
語彙力が不足してしまう原因には、いくつかの要因があります。ここからは、語彙力がない状態に陥ってしまう理由についてみていきましょう。
読書など文章に触れ合う機会が不足している
読書が趣味でたくさんの語彙に触れてきた、という人で語彙力がない人はあまりいません。語彙力不足は、単純に触れてきた文字が少なすぎることが起因しているケースが多いのです。
読書などを通じて多くの語彙に触れることは、語彙力を鍛える方法として欠かせません。日常的に多様な言葉に触れる習慣がないと、語彙は増えにくいものです。
語彙力が乏しい人のアウトプットばかり見ている
SNSやYouTube、テレビなどを通じて日常的に文字を読んでいるはずなのに語彙力が乏しい人もいます。そういう人は、インプットの質やバランスが偏っている可能性が高いでしょう。
語彙力が低い人たちのアウトプットに触れ続けている場合、受け手の語彙力がアップするはずもありません。インプットの内容を意識し、質の高い言葉に触れることが大事です。
コミュニケーションの機会が少ない
語彙力は、さまざまなジャンルの人々と交流することで磨かれます。コミュニケーションの機会が少なく、異なる語彙を使う人と触れ合う機会がない場合、語彙力を鍛えるのは難しいでしょう。新しい言葉や表現に触れるためには、意識的にさまざまな人と対話することが大切です。
「語彙力を鍛える」ことで得られるメリットとは?
次に、語彙力を鍛えることで得られるメリットについてみていきましょう。
語彙力が高いと、より深い思考ができる
人間は言葉を使って思考します。つまり、鍛えることで語彙力が高まれば高まるほど、よりハイレベルの思考ができるということです。
言葉を知らない人は、「なんだかモヤモヤするけど、なぜだかわからない」と思考停止してしまいがちですが、自分の思考や感情を適切に表現できる言葉に出会えた人は、感情をクリアに表現したり、思考を深めていったりすることができるのです。
コミュニケーション上手になる・他人とわかり合いやすくなる
語彙が豊富だということは、自分の感情をより的確に表現できるということです。当然、他人とのコミュニケーションが上手になります。
人間は孤独な生き物です。自分の考えていること、感じていることを完全に理解し合える人に出会えることは、ほとんど奇跡といっても過言ではありません。
しかし、自分の感情を適切に表現することができ、相手の気持ちも汲み取ることができれば、他人と分かり合える可能性ははるかにアップします。
語彙力は人間的魅力に繋がる!自然と「また会いたい」と思われる
人の魅力は、「その人が何を、どう語るか」によって大きく左右されます。語彙力のある人は、「話していて面白い人、新しいことを教えてくれる人、興味深い人、もっと知りたい人、知識欲を刺激される人、ユニークな人」と思われる可能性が高くなり、自然と「また会いたい」と思われる可能性もアップするのです。
つまり、語彙力が優れた人とは、「深い思考ができ、自分の感情や思考をクリアに表現することができる会話・コニュニケーションの達人であり、また会いたいと思われる魅力的な人である可能性が高い」というわけです。
今日からできる!語彙力を鍛える・上げるトレーニング方法
いよいよ、語彙力を鍛えるための方法をご紹介していきます。
本や新聞、漫画などで文章をたくさん読んで鍛える
もっとも効果的な語彙力を鍛える方法といえば、やはり、本や新聞を読むことでしょう。楽しくなければ何事も続きませんから、自分の興味のある分野の本を読みましょう。活字が苦手、という方は、漫画でもOKです。活字に触れることで語彙は自然とアップします。
スルーしない!知らない言葉に出会ったらすぐ調べて鍛える
本や新聞、ニュースなどで、知らない言葉に出会ったら、すぐに調べる癖をつけましょう。そのまま放置していたらせっかく出会った新しい言葉を自分のものにする、つまり語彙力を鍛えることができません。スマホで簡単に調べられる時代になったので、その場でちゃちゃっと調べてしまいましょう。
違う分野の人と出会い、話すことで鍛える
人との会話は、新しい言葉を学ぶ絶好の機会です。
できれば、自分とは違う業種や分野の人と話すことで、普段の生活では使わない専門的な語彙や表現に出会えるでしょう。インタビューアーになったつもりで、相手の仕事や趣味について詳しく質問してみてください。知らなかった世界では当然のように使われている言葉にたくさん出会える可能性があります。「この仕事をしている人なら当たり前に使っている言葉だけど、そのほかの業界の人にはほとんど知られていない言葉」は意外と多いものです。
こうした体験を通じて、語彙力が自然に鍛えられるほか、自分の知識も広がります。
文章を書く習慣をつけて、語彙力と文章力を鍛える
インプットだけではなくアウトプットする習慣をつけましょう。大人でも、語彙力を鍛えるために、文章を書く習慣を日常生活に取り入れてみましょう。
おすすめは、朝起きたときに昨日あったことや今日することなどを自由に書き綴る方法です。もし朝が忙しい場合は、夜に日記のように書くのもOK。
文章を書き続けていると、自然と表現を工夫したくなります。「もっとわかりやすく書けないか?」「別の表現はないだろうか?」と考えるようになります。
また、文章を書くことは、自分の感情や考えを言葉にする練習にもなるので、表現力も向上し、ビジネスシーンでも役立つでしょう。
「なぜそう思ったのか」を掘り下げて考えることで鍛える
「なぜそう思ったのか」を考える習慣をつけましょう。
たとえば、映画を観て感動したときに、「なんかすごかった」「やばかった」「もう一回観たい」だけに留めず、なにがどうやばかったのか、すごかったのか、考えてみましょう。「どのシーンが特によかったのか」「それが自分にどんな感情を引き起こしたのか」を掘り下げてみるのです。
「違う表現はないか」一度考える習慣をつけて鍛える
普段から使い慣れた表現ばかりを繰り返していると、語彙力が伸び悩む原因になります。同じ表現を繰り替えしてしまっていることに気が付いたら、「違う表現はないか」「ほかの言い方はないか?」を一度考えてみましょう。
たとえば、誰かの容姿を褒めるときに、毎回「かわいい」とだけ言っていませんか?でも、かわいい以外の選択肢もあるはずです。「きれい、美人、キュート、麗しい、可憐、魅力的…」などなど、さまざまな言葉があるはずです。
ほかの表現方法を探るなかで、より相手の魅力を表現するのにふさわしい言葉を思いつくかもしれません。それらを使い分けてみることで、より的確に、そして新鮮に相手の魅力を伝えることができます。すると、語彙力を自然と鍛えることができるでしょう。
同義語・類語を調べてみることで鍛える
「かわいい」のほかの表現を使いたくて考えてみたけど、思いつかない、という場合には、同義語・類語を調べてみましょう。
たとえば、「愛らしい」「魅力的」「キュート」「愛くるしい」「チャーミング」「美しい」「華やか」など、幅広い言い換え選択肢があります。
よく使う単語の同義語・類語を調べる習慣をつけることで、表現がより豊かになり、単調さを避けられるようになります。
語彙力を鍛える方法は意外に簡単。だけど、日々の積み重ねが大切!
これまで見てきたように、語彙力を鍛える方法の一つひとつは、決して難易度が高いものではありません。ですが、これらの方法を試したからといって、すぐに言葉を巧みに操る達人の仲間入りができるわけではありません。
豊かな語彙力は、一朝一夕には身につかず、日々のコツコツとした積み重ねが大事です。
また、語彙力を鍛えることは、単に新しい言葉を知るということにとどまらず、「思考やコミュニケーションのツールを手に入れること、さらに自分の世界を広げること」にもつながります。楽しみながら語彙力を鍛えることで、昨日より今日、今日より明日と、ますます魅力的な大人になっていくことができるでしょう。