止まらない咳急増中!?薬に頼らない咳止めツボ

乾燥する今の時期、風邪やインフルエンザにかかり、咳がなかなか止まらないとお悩み声をよく耳にします。

さらに、コロナにかかってから咳だけがなかなか治らず、強い薬の影響で体調を崩されたり、冷たい風に当たったり、雨の日やじめじめとした日に咳がでるようになった…。というご相談も。

風邪やウイルスが原因ではないのに、どうして咳がでるの?

自分の意志では止めることができない『咳』

外出中にひどい咳が出るのではないかと不安に思われている方も多いのだとか。

薬に頼らず、咳が出やすい体質を改善するおすすめのツボをご紹介します。

目次

咳=ウイルスや細菌だけが原因ではない!?

『咳が出る=風邪』と、多くの方はウイルスや細菌が原因で咳が出ると考えられるかと思います。

咳は、ウイルスや細菌の他に、ほこりや異物が体内に入ってこないように働く、体の防御機能のひとつです。

咳をするようにと命令を出す場所は、脳にあります。

体は、上気道(鼻から喉)・下気道(気管から肺)に分けられますが、この上気道内に異物が侵入すると、気道内にある咳受容体を刺激します。

すると、「異物が入ってきたよ!」と信号が脳にある『咳中枢』に伝えられ、咳が出ます。

異物の他にも、気道に炎症が起きていたり、痰が溜まっていたりしても咳がでます。

つまり、『咳を出す』という命令を出しているのは『脳』なわけですが、ここが異物や炎症などの信号を受け取っていないにも関わらず、咳を出す命令を出すことがあります。

それが心因性のストレスによる咳です。

『咳中枢』は『大脳皮質』と呼ばれる、見る・聞く・さわる・味わう・においをかぐといった感覚の五感や、運動、言葉や記憶、思考などの高度な機能を果たす場所によってコントロールされています。

ストレスが原因で大脳皮質によるコントロールに不備が起きて、咳が出ることもあるのです。

風邪などの症状がないのに咳がでるのはなぜ?

というご相談の場合、日々のストレスが原因となっている方も多くみられます。

長引く咳の原因

咳の原因に、ストレスも原因となるとご紹介しました。

ですが、それ以外にも、咳が出る原因となる疾患があります。

我が国における慢性咳嗽(3週間以上の長引く咳)の原因疾患は以下の通りです。

・喘息

・COPD(慢性閉鎖性肺疾患)

・咳喘息

・副鼻腔気管支症候群

・アトピー性咳嗽

・感染後咳嗽

・胃食道逆流症

慢性的な咳でお悩みの方に一番多い疾患が、『咳喘息』です。

続いて、『喘息』『アトピー性咳嗽』です。

■咳喘息

咳喘息は、喘息の前段階と言われています。

喘息と同じくハウスダストやダニ、ホコリなどを原因物質とするアレルギー反応により発症すると考えられています。

詳しいメカニズムはまだ明らかになっておらず、風邪をひいた後に発症する傾向にあります。

風邪が完治したあとも、気道が敏感になっており、会話時や冷たい空気や雨天、じめじめした天候、花粉や黄砂、が原因となり気道が再び炎症して咳がでます。

■アトピー性咳嗽

咳喘息とともに近年増えていると言われているのがアトピー性咳嗽です。

最初に、咳の命令は脳が出しているとお話しました。この咳受容体の感受性が亢進していることが原因と考えられています。

アトピー性咳嗽では、この感度が上がっているため、通常では反応しないようなわずかな刺激(タバコの煙や会話など)によって、必要以上に反応してしまい、咳が誘発されます。

咳が出る原因は、咳喘息とほとんど変わらず、アトピー性素因がある人に多いということが、咳喘息との大きな違いになります。

おすすめのツボ

■天突(てんとつ)

場所_ 鎖骨と鎖骨を結んだ中間。

気管支ぜんそくのような激しく止まらない咳が出ているときなどに使うツボです。

■尺沢(しゃくたく)

場所_肘を軽く曲げた時に浮き出る上腕二頭筋腱という太い腱の親指側、肘のシワの上でへこんでいるところ。

のどの痛みや腫れ、咳やぜんそくなど呼吸器系の不調に効果的です。アレルギー症状などが出ているときにもおすすめです。

■定喘(ていぜん)

場所_ 首を前に倒します。頭を左右に振ったときに動く背骨と動かない背骨を見つけます。その二つの背骨の間の窪みから、外側に親指1本分のところ。

咳や喘息にとても効果的と言われているツボです。肩甲骨の間には、肺や呼吸器系にかかわるツボがたくさんあります。

■豊隆(ほうりゅう)

場所_ 脛(すね)の少し外側で、膝と足首のちょうど中間あたりの高さに位置します。外くるぶしの一番高いところから指11本分上に上がったところ。
豊隆は胃と密接にかかわるツボです。ウイルスなどが原因で体調を崩し、消化不良や免疫が低下し、体内の老廃物や水分の排出が滞ることで、体内痰湿ができると考えられています。胃の働きを整え、余分な水分を排出し痰ができないようにします。

参照

・東洋医学概論(医道の日本社)、
・東洋医学臨床論(医道の日本社)、
・ツボ単~経血取穴法・経血由来解説・兪穴単語帳
・日本鍼灸治療学会誌 気管支喘息の鍼灸治療https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1955/25/1/25_1_32/_article/-char/ja
・日本鍼灸良導絡医学会誌 鍼による喘息発作時の鎮静法について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ryodoraku1971/17/4/17_4_7/_article/-char/ja
・日本鍼灸治療学会誌 喘息の鍼灸診療
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1955/7/1/7_1_30/_article/-char/ja

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この記事を書いた人

鍼灸接骨院に鍼灸師として勤務。整形外科疾患から、不眠、頭痛、高血圧他、未病分野の治療を行う。院では外来の他、訪問や大学病院で鍼灸師として派遣勤務を行う。

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