肩こりが「顔のむくみ」の原因に!?自分でできる肩こり解消ツボ

鍼灸院に来院される患者さんで1,2位を争うお悩みの症状のひとつである『肩こり』

ひどくなると、頭痛や不眠、耳鳴りなどの症状も出てくるため、たかが肩こりとほうっておけないもの。

さらに、肩こりが顔の浮腫みの原因にもなるということをご存じでしょうか? 今回は、そんな肩こりによる浮腫みを解消するおすすめツボをご紹介します。

目次

肩こりと顔の浮腫みの関係

肩こりは、首や首と頭の付け根、肩や背中にかけて張る、凝っている、痛みがあるなどの症状が出ている状態をいいます。

筋肉が緊張した状態が続くと、これらの症状がでます。

筋肉が緊張すると、血流やリンパ液の流れが阻害されるようになります。血液は、体内に栄養や酸素、水分などを運ぶ働きを持ちます。

緊張により血流やリンパ液の流れが阻害されると、必要な栄養などが顔の組織にいきわたらなくなったり、余分な水分や老廃物が滞留し、顔の浮腫みに繋がることがあります。

肩こりの原因と状態

筋緊張は、体を安定・動かすために必要な筋肉の張りのことを言い、ある程度必要なものです。しかし、この状態が長時間・過度に続いたりすることで、筋肉が疲れ、凝りや痛みなどの症状に繋がります。

筋肉は、緊張した状態が続くと疲れて疲労物質がたまり硬くなり、筋肉が凝っているという表現になります。

筋が硬くなると、血管が圧迫され血行不良を引き起こします。さらに、硬くなった筋が末梢神経を傷つけ、痛みが出てしびれといった症状に繋がります。

筋肉の過度な緊張は以下のようなことが原因で起こります。

・長時間同じ姿勢でいる

・荷物などを常に同じ肩や腕で持つ

・長時間冷房の効いた部屋ですごす

・ストレス

・運動不足

・寝不足

東洋医学的『肩こり』の考え方

西洋医学的な鍼治療の場合、凝りの症状が出ている箇所に鍼をしたり、凝りを引き起こしている関連の筋に鍼や灸治療を行い、血行促進を促します。

一方で東洋医学的には、西洋医学的治療に加え、患者の全体の状態を把握し、症状を改善する箇所へ鍼・灸治療を行います。

東洋医学的に肩こりの原因を以下のように分けます。

①風寒の邪によるもの…

寒い時にひく風邪を「風寒の邪(ふうかんのじゃ)」と言います。この邪は、首や背中から体内に入ると言われています。邪により、体を守る機能が低下し、首や背中周りの筋が拘急(筋肉がひきつれること)し、肩こりとなる。

→悪寒などの症状がある。

②肝陽の亢進によるもの…

体内の水分が不足した状態になり、顔や体が突然カーッと熱くなったり、顔色が赤くなったり、目が回るなどの症状が起きる状態では、頭や首に気が上昇し、肩こりとなる。

→ホルモンバランスの乱れによるめまいや、口が苦く感じる、目の充血、顔のほてりなどの症状がある。

③肝血不足によるもの…

眼精疲労や病気の後、産後により体内の血が不足した状態となり、首・肩部に栄養がいきわたらず拘急し、肩こりとなる。

→眼精疲労や目の乾き、めまい、動悸などの症状がある。

④寒飲によるもの…

水分代謝機能が低下していることが原因で、胸郭部に水分が溜まっている状態が続く。それにより胸背部が動きにくくなり、重圧感や拘急が起こり、肩こりとなる。

→胸が苦しくなる、喘息、めまい、軽度の浮腫みなどの症状がある。

⑤気滞血瘀によるもの…

ストレスや怒りなどが原因で体内の血流が滞った状態になったり、長時間の同じ姿勢や外傷により局所で血流が滞った状態となり、肩こりとなる。

→脇腹からみぞおち辺りにかけて苦しかったり、痛みがある、食欲不振、よくため息をつく、月経不順などの症状がある。

③は虚証と言われ、体内の血が不足していることが原因で起こる肩こりとされています。

それ以外はすべて実証で様々なことが原因となり、⑤の気滞血瘀の状態となることが原因で起こる肩こりとして考え治療を行います。

おすすめのツボ

・虚証

■三陰交(さんいんこう)

場所_内くるぶしの1番高い位置から指4本分上の骨の際。

女性に特有の疾患に効果が高いツボです。 生理痛や生理不順など子宮関係の疾患や更年期障害などに広く使います。

■血海(けっかい)

場所_膝の内側、膝のお皿から2.5cm(指3本分)上がった辺り。

血の巡りを良くしてくれるツボです。

・実証

■太衝(たいしょう)

場所_親指と人差し指の骨の間を、指で軽くなぞり自然と指が止まる位置。

肝臓、筋肉、眼といった私達が日頃酷使しているからだの部分と深い関係のある「肝経」という気の流れに属し、肉体疲労、精神的ストレス、眼精疲労、肝臓の疲れのときに使うツボです。

■陽陵泉(ようりょうせん)

場所_膝下の外側にある腓骨頭(ひこつとう)の斜め下のくぼみ。

身体の左右のバランスを整え、肩にかかる負担を和らげてくれるツボです。

参照

・東洋医学概論(医道の日本社)、

・東洋医学臨床論(医道の日本社)、

・ツボ単~経血取穴法・経血由来解説・兪穴単語帳

・日本鍼灸治療学会誌 国内の美容鍼灸に関する研究論文レビュー

https://www.jstage.jst.go.jp/article/imj/15/1/15_26/_pdf

・日本鍼灸治療学会誌 肩こり

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ryodoraku1971/21/3/21_3_4/_article/-char/ja

・日本鍼灸治療学会誌 肩こりと肩上部の硬さとの関係

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/59/1/59_1_30/_article/-char/ja

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

鍼灸接骨院に鍼灸師として勤務。整形外科疾患から、不眠、頭痛、高血圧他、未病分野の治療を行う。院では外来の他、訪問や大学病院で鍼灸師として派遣勤務を行う。

目次