最近よく耳にするようになった『終活』というキーワード。
20代や30代~40代の方は
「私は20代だし自分には関係ないでしょ?」
「まだまだ30代でも早くない?」
と思っている方が多いかと思います。
しかし、終活を始めるタイミングや年齢には決まりはありません。
終活は人生の終わりだけを意識した活動ではなく、自分自身を見つめ直し、これからの人生に計画性を持って生きていくためのきっかけにもなります。
つまり、まだ老後や死というものがぼんやり遠く感じる、体力や気力が充実している若い世代から終活に取り組むことは様々なメリットと意義があるのです。
この記事では、終活の意味やメリット、始めるべきタイミング、若い年代が終活を始める意義などをご紹介していきます。
監修者:増井康高(株式会社 M システムズ)
代表取締役社長
葬儀業界25年で2000件以上のお葬式のお手伝いをしてきました。このたび終活で葬儀の準備のしやすい「あんしん火葬」というサービスをスタート。ご葬儀はもちろん、生前の火葬予約やセレモニーを必要としないお別れを提供しています。
終活とは?何の略語?
終活とは、「人生の終わりを迎えるための準備活動」の略語。2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされた比較的新しい言葉で、人生の終わりのための活動の略語です。
文字通り、生涯の最期に向けて自分自身の死を意識し、予め準備をしておく活動のことを指します。
例えば、以下のような行動が挙げられます。
・遺言作成
・エンディングノート作成
・葬儀の準備
・遺品整理
・終末医療の選択
終活のメリットとは?
終活の目的は、自分の人生の最後を自分らしく迎え、その後の遺族や周りの人の手間を省くことです。
1.安心と準備
自分の最期に関する準備を整えることで、自分自身が安心感(精神的な安定)を得ることができます。
2.遺族や周りの人の負担軽減
自分の死後に関する事柄を事前に決めておくことで、遺族や友人が悩んだり、負担を感じたりすることを避けることができます。
遺言書やエンディングノートなどを通じて、財産の分配や葬儀の希望を明確にしておくことが大切です。
3.遺品整理の簡便化
生前に自分の持ち物を整理することで、遺族が遺品整理に時間や労力をかける必要が少なくなります。これにより、遺族が精神的に負担を感じることを減らすことができます。
4. 医療とケアの希望を明確化
終末医療に関する希望(例:延命治療を希望するかどうか)を事前に明確にすることで、医療従事者や家族が適切な判断を下しやすくなります。
これらの行動を行うことで、自分の最期を安心して迎えることができ、遺族や友人にも負担をかけずに済むようになります。
5. 自己表現
エンディングノートを通じて、自分の人生の記録や思いを伝えることができます。これにより、家族や友人に自分の考えや価値観を共有することができます。
終活という言葉を聞くと、さみしく切ない気持ちになりがちです。
しかし上記のメリットからもわかるように、終活は自分自身が安心して人生の終わりを迎えるためだけでなく、家族や友人がスムーズに対応できるようにするための重要な活動だと言えます。
さらに終活は、自分の死を直視することで、今を生きることの大切さを再認識するきっかけにもなります。
自分自身の人生を振り返り、今何を大切にしたいのか、どのように生きたいのかを考える機会を提供してくれます。
終活で気を付けるポイント
終活を進めるうえで気をつけるべきポイントはいくつかあります。
1. 計画的に進める
2. 家族とのコミュニケーションをきちんととる
3. 法的手続きの確認
4. 定期的な見直し
5. 健康管理
終活は自分だけで行うものではありません。
家族や信頼できる友人、専門家などと一緒に進めていくことで、より具体的で効率的な終活が可能になります。
終活の一環として、健康管理も重要です。定期的な健康診断や生活習慣の見直しを行い、できる限り健康で充実した日々を送ることが、終活の一部ともいえます。
終活は自分の人生を自分らしく終えるための大切なステップです。
終活は何歳から始める?タイミングと年代別の具体例
終活を始めるべきタイミング
終活を意識し始めるタイミングは個人差がありますが、「大きな人生の節目を迎えた時」や「健康状態が気になり始めた時」がポイントになります。
人生の節目は、結婚や離婚、子供の独立、転職や退職など、生活環境が大きく変わるタイミングです。
健康診断や病気の発見などは、自分の健康について考えるきっかけがあった場合、そのタイミングで終活を始めることが勧められます。
重要なのは、終活は早すぎるということはないという点です。
若いうちから少しずつ準備を進めることで、急な出来事に対しても冷静に対処できるようになります。終活を始める年齢にかかわらず、自分の人生や価値観を見つめ直す良い機会にもなります。
年代別に終活ですることは、それぞれのライフステージに応じて異なります。続いては、年代別の具体例を解説します。
20代
まだまだ終活という言葉が似合わない若い年代ですが、老後や人生について考え、できることをしておくことは良いことです。
20代は、一人暮らしを始めたり社会人になったり家庭を持ったりする人が多く、ライフプランの分岐が始まる年代です。そのため将来を見据えて、生活の棚卸的な整理をするタイミングとも言えます。
準備する内容は比較的少ないですが、若くして急逝してしまうケースも考慮に入れる必要があります。
30代~40代
30~40代は人生の円熟期に入る年代であり、なかには親の介護問題などで老後や終活が現実味を帯びてきます。
定期的に健康診断を受け、健康維持に努めましょう。
ライフプランの見直しをして、老後の生活設計や資金計画を立てます。生命保険や医療保険などの保険内容を確認し、必要に応じて見直しましょう。
また、エンディングノートの準備をし始めましょう。エンディングノートに自分の希望や連絡先などを記載します。
50代
50代になると、健康管理がより重要になります。
自分の財産や負債を整理し、リストを作成しましょう。また、遺言書を作成し、財産の分配方法を明確にします。
エンディングノートを充実させていきましょう。具体的な希望や葬儀の形式、埋葬の場所などを詳細に記載します。
また、終活の内容や自分の希望を家族と共有し、理解を得ましょう。
60代
退職後の生活費や住まいについて具体的な計画を立て始めます。
介護が必要になった場合の施設選びや、医療に関する希望を明確にします。
遺品の整理をし始めます。自分の持ち物を整理し、必要なものと不要なものを分ける。また、パソコンやスマートフォンのデータ、オンラインアカウントの管理方法を家族に伝えましょう。
70代~80代
より一層健康維持に気をつけます。定期的な検診を受けましょう。そのうえで、介護や医療が必要な場合の具体的な対応方法を決めておきます。
自分の希望する葬儀の形式や内容を具体的に決め、葬儀社との契約を検討していきます。
さらに、生活環境を簡素化し、無理のない生活を心がけます。
これらのステップを年代ごとに実践することで、終活を無理なく進め、安心して人生の最期を迎える準備が整います。
また、どの年代でも「エンディングノートの更新」は忘れてはいけません。その時の状態・状況によって、自分の希望や必要事項は変化していくものです。都度、見直して更新していきましょう。
終活は自分自身を見つめ直すきっかけ
終活は単なる準備活動ではなく、自己理解と自己成長のプロセスでもあります。
死という難しいテーマに向き合うことを必要としますが、自分自身の生涯をより良く、より充実したものにするための重要なステップと言えるでしょう。
終活を通じて、自分が本当に大切にしているものや価値観を再確認することができます。
この記事が、皆さんの良い『終活』を始めるきっかけになればと思います。