- 「やりたいことは?」と聞かれて、心の中で「さあ」と呟いてしまう。
- SNSで輝いている同世代を見ると焦る。
でも、何をしたいのかわからない。そんな自分がダメな気がして、さらにモヤモヤする。
もし、あなたがそんな「やりたいことがわからない」状態なら、まず知っておいてほしいことがあります。
「やりたいことがわからない」のは、欠陥でも怠慢でもないということです。
やりたいことがわからないのは「考えすぎて動けなくなっている」か、「選択肢が多すぎて見えなくなっている」か、あるいは「疲れていて感じる力が一時的に低下している」だけのことかもしれません。
つまり、あなたの中に答えがないのではなく、見つける回路がちょっと渋滞しているだけ、という可能性があるのです。
「やりたいことがわからない」それでも人生は進んでいい
アドラー心理学では、人は「何かを達成するため」ではなく、「今、ここ」を生きることが大切だと考えます。
「やりたいこと」という大きな目標がなくても、日々の小さな選択の積み重ねが、気づけば「これがやりたかったのかも」という発見につながるものです。 大切なのは、焦って無理やり「情熱」を見つけようとしないこと。
探偵が足跡を追うように、自分の「好き」「嫌い」「心地いい」「なんか違う」という感覚を、丁寧に拾っていけばいいのです。


やりたいことがわからないあなたへ。「自分発見」ステップ


次に、焦らずにやりたいことを見つけるための5ステップを解説していきます。
「やりたくないこと」をリストアップする
意外に思うかもしれませんが、まず「これは嫌だ」を明確にすることから始めましょう。認知行動療法でも、否定的な感情を否定せず認めることが変化の第一歩とされています。
精神的に、
「満員電車が本当に辛い」
「数字を見るだけで頭痛がする」
「夜遅くまで働きたくない」
そんな「NO」を10個書き出してみてください。
「何もしない」時間に、何を考えているか観察する
休日や、お風呂に入っている時、ぼーっと歩いている時、あなたの頭の中に浮かんでくるのは何ですか?
「あの本の続きが気になる」
「もっとインテリアを変えたい」
「あの人の話し方、素敵だったな」
このような勝手に湧いてくる興味こそ、あなたの本心であり本音です。
1週間、何もしない5分間の「観察タイム」を設けてみてください。気づいたことを記録し続けていると、あなたの思考パターンが見え、わかるようになります。
「小さな好奇心」に1000円投資してみる


「やりたいこと」というと、転職や起業のような大きな決断を想像しがちですが、まずはコンビニのお菓子を選ぶくらいの気軽さで、興味を試してみましょう。
気になっていた雑誌を買う、YouTubeで陶芸の動画を見る、いつもと違う道で帰ってみる。認知行動療法では、こうした「行動の実験」を通じて新しい認知が生まれると考えます。
「他人の期待」と「自分の期待」を分ける
- 安定した仕事に就くべき
- 結婚すべき
- キャリアを築くべき
――こうした「べき」の中に、本当にあなたが望んでいるものはどれくらいありますか?
アドラー心理学の「課題の分離」という考え方では、「誰の課題か」を明確にすることが自由への第一歩とされています。
紙に「親が望むこと」「社会が期待すること」「私が本当に望むこと」と3つに分けて書いてみると、意外なほど「私の欄」がスカスカだったりします。それでいいのです。そこから埋めていけばいいのですから。
「ワクワク」を探さず、「まあいいか」を集める
「情熱を見つけなきゃ」というプレッシャーが、かえって視界を狭めていることがあります。最初から雷に打たれたような運命の出会いを期待する必要はありません。
- 別に嫌いじゃない
- まあ、続けられそう
- なんとなく心地いい
こんな沸点の低い好感度を集めていくと、ある日「あれ、私これ結構好きかも」という瞬間が訪れます。


「やりたいことがわからない」は、可能性の宝庫
最後に、ちょっと違う角度から考えてみましょう。「やりたいことが分からない」というのは、言い換えれば「まだ決めつけていない」ということ。可能性が開いている状態です。
すでに「これしかない」と思い込んでいる人より、ずっと柔軟で、これからの将来出会うものに本当に心を開ける状態とも言えます。
今日のあなたは、明日のあなたとは違う何かに興味を持つかもしれない。それでいいのです。方法はいろいろあるのです。人生は直線ではなく、螺旋階段のようなもの。同じ場所をぐるぐる回っているように見えても、少しずつ高いところに登っているものです。 焦らず、自分のペースで進んでください。
「今日は何を感じたか」を大切に拾っていくこと。それだけで、あなたは確実に「自分」という地図を描き始めています。
やりたいことは、見つけるものじゃなくて、経験を積んで育てるもの。
そして、その種はもう、あなたの中にあります。











