鍼灸のキホン第3回 西洋医学と東洋医学の考えかたの違い

現在の日本医学には、西洋と東洋の医学が存在します。

一般的に医療といえば「西洋医学」の方がメジャーで、風邪をひいたり、ケガや何か病気になったときにかかる病院は、基本的には「西洋医学」の病院がほとんどだと思います。

一方で東洋医学という言葉は、もしかしたらあまり聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。

東洋医学にかかるときというのは、病院に行っても原因がはっきりせず治療が受けられなかったり、急な筋肉の痛みや、日々の疲れの蓄積を改善するために、東洋医学をメインに治療方針としているところへ行かれることが多いかと思います。

なんとなくしか違いが分からない…。

東洋医学ってなんか胡散臭くない?

そんな風に思っている方が多いかもしれません。

東洋医学を治療手段としている鍼灸師の私からしたら、西洋と東洋の両方のいいとこどりをして、より治療効果を高めてもらう。または自分に合った治療を受ける。といった判断を、患者さんにしていただくのが一番ベストだと考えています。

そこで今回は、みなさんにより東洋医学について知っていただくために、

西洋医学と東洋医学の違いをご紹介しながら、東洋医学の魅力についてご紹介できればと考えています。

目次

東洋医学って何?

他の回でも少しお話ししましたが、今回もさらっとだけご紹介したいと思います。

日本における東洋医学とは、中国発生した中国伝統医学を指しますが、広い意味では、アジア圏(東洋)における伝統的医学全般のことを指します。

例えば、インドのアーユルヴェーダや、イスラム圏のユナニー医学、チベット医学、モンゴル医学韓国の韓(東)医学、中国伝統医学、日本の漢方などを含みます。

そのため今回は、日本に中国医学が入ってきて、日本独自の医学と融合、発展して築かれた「あんま」「鍼灸」「薬膳」などを「東洋医学」として定義してご紹介していきます。

西洋医学と東洋医学の違い

ざっくり簡単に言ってしまうと、

西洋医学は病気の原因を絶つ医学です。

例えば、細菌やウイルスを殺したり、痛みなどの症状が出ているものを抑えます。

東洋医学は、人間のもつ力、本来もっている治癒力を高めることによって回復させます。

こんな言い方をしてしまうと、「じゃあ、東洋医学は病気の原因を治すものじゃないから、西洋医学の方がいいんじゃないの?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。

私が行う「鍼灸治療」では、病気の原因となっているものの治療、本治(ほんち)と、それが原因となって症状として表れているものの治療、標治(ひょうち)の両方を行います。

■西洋医学

人体を細かく、臓器や器官などに細分化し、腫瘍などの異常がある部位や原因となるウイルスを特定し、それに対する治療を行います。

伝染病や手術などが必要な病には効果的ですが、「なんだかめまいがする」「頭が痛い」などの自覚症状があったとしても、原因なる異常が発見できない場合は、治療が難しくなります。

■東洋医学

人体をひとつの統一されたものと考え、症状が出ている患部のみを診るのではなく、全身のバランスの崩れを見つけ出します。局所的にはもちろん、全身の不調を調える治療を行います。そのため、原因のわからない自覚症状にも対応しやすいです。

西洋と東洋のいいとこどりをしよう

東洋医学を生業としている私個人としては、西洋も東洋もいいとこどりをしてほしいということ。

治療法を選ぶ権利があるのは医師ではなく、治療を受ける患者さん側です。

ご紹介したように、西洋も東洋もそれぞれの特徴があり、良いところがあります。

どちらがいいか…ではなく、どちらも上手に活用して、お悩みの症状や病の治療に役立てていただければと思います。

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この記事を書いた人

鍼灸接骨院に鍼灸師として勤務。整形外科疾患から、不眠、頭痛、高血圧他、未病分野の治療を行う。院では外来の他、訪問や大学病院で鍼灸師として派遣勤務を行う。

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