セクハラとは、性的な言動によって、相手を不快にさせたり、不利益を与えたりする行為全般を指します。セクハラする人は、無意識のうちに加害行為をしている場合もあれば、意図的な場合もあります。
セクハラは職場、学校、家庭、あらゆる場面で発生し、被害者の心身に大なり小なり影響を及ぼします。しかし、明確な線引きが難しいため、セクハラする人の言動に「これってセクハラなのかな?」「グレーゾーンかもしれない」と悩むことも少なくありません。
本記事では、セクハラする人の特徴や事例を紹介するとともに、どこからがセクハラに該当するのかについても解説していきます。セクハラする人にはどのような特徴があるのか、心理的な背景や環境要因も含めて考察しますので、ぜひ参考にしてみてください。
セクハラという言葉の歴史

セクハラ(セクシャル・ハラスメント)という言葉は、1970年代後半にアメリカで生まれた概念です。アメリカ人の学者リン・ファーレイが職場での性的嫌がらせについて論じた際、セクハラという言葉を使ったことが発端だと言われています。
その後、1980年代にアメリカの平等雇用機会委員会(EEOC)がセクハラを職場における差別だと正式に認定し、法律で禁じられるようになったのです。日本では、1990年代に入ってからセクハラという言葉が広まり、1997年に男女雇用機会均等法が改定された際に、セクハラ防止義務が企業に課されるようになりました。
セクハラの4つの種類
セクハラにはさまざまな種類があります。ここでは、4つの種類のセクハラをご紹介します。
環境型セクハラ

例えば、職場の執務室に、女性のビキニ姿のポスターを貼ることなどが環境型セクハラに当たります。今では信じられないことですが、昭和初期には、女性の水着姿のポスターなどが会社に貼られていることは、珍しくありませんでした。
また、コンビニには男性向けのエロ本が設置されており、女子校の近くでさえも「女子高生陵辱」など、性的な言葉をタイトルにした本が平然と売られていました。
こういった、女性を性的なコンテンツにしたポスター、イラスト、本などを公の場所に置くことも環境型セクハラの一種です。
対価型セクハラ
例えば、映画監督が俳優に「役を下されたくないならキスをしろ」と迫るのは対価型セクハラであり、性加害です。アイドルに仕事を対価に性的なサービスを強要することも同じです。
日本では、こういった状況で俳優が仕事を失うことを恐れて応じた場合、「枕営業」と称され、俳優やアイドルなど被害者側が利益を得ようとして能動的に性的行為をした、と捉えられることがよくあります。
しかし、力関係が強い方がその関係を持ちかけたのであれば、弱い方は断れなかった可能性が高いのですから、それは営業などではありません。明らかに、相手からの性的なオファーを断ると、損する構造になっています。立派なセクハラ、あるいは性加害です。
心理的セクハラ

例えば、「XXちゃんって処女?」など性体験の有無を聞いたり、「風俗行ってきたんだけど、とんでもないデブが出てきた」など聞きたくもない風俗や性行為の話を聞かされたりすることもセクハラに当たります。
心理的セクハラを受けた際、何かを要求されているわけでも、体に直接触れられたりしているわけでもないため、「これくらいのことでセクハラだと思ったらダメなのかな」と悩む人は少なくありません。しかし、心理的に負担を感じている時点で、間違いなくセクハラです。
オンラインセクハラ
近年増加しているのはオンラインのセクハラです。
オンラインセクハラの場合は、セクハラをしたというデータが残りやすい=証拠を確保しやすい、という特徴があります。
オンラインセクハラを受けた人は、気持ち悪いと感じて履歴を削除してしまいがちですが、いざという時のために証拠を残しておいた方がいいでしょう。

セクハラする人に共通している特徴は?
権力を持っている人なら、誰でもセクハラをする可能性があります。セクハラする人の多くは男性ですが、女性が加害者になるケースもあります。現状、加害者の大半が男性なのは、男性に権力が偏っているからに過ぎません。
ここでは、セクハラをする人によく見られる特徴をご紹介します。
セクハラする人の特徴 (権力に無自覚な)権力者

セクハラは、上司や先輩、年上の人物など、相対的に権力が高い人が、低い人に行います。権力を利用し、相手が抵抗しにくい立場にあることを利用するのです。
ただし、権力者は自分の権力に無自覚な場合も少なくありません。性的な会話をしてくれるのは、自分が上司だからではなく、好かれているからだ、と勘違いしてしまう人も多いのです。
セクハラする人の特徴 他者に対する想像力が欠けている・自己中
一方的に性的な話をする人は、

きっとこの話は楽しいはず。なぜなら俺は楽しいから
と思い込みがちです。
しかし、実際には相手が不快感や恐怖を覚えている可能性を考えようとしません。これは、他者への想像力が欠けている証拠です。
では、なぜ想像力が不足しているのでしょうか。その背景には、他者を思いやらなくても生きてこられた環境があるかもしれません。
セクハラする人の特徴 セクハラを軽視している
セクハラをする人はセクハラを軽視しているため、セクハラだと指摘されても、



冗談のつもりだった



昔はこれくらい普通だった
と誤魔化しがち、という特徴があります。
また、「これがダメだったら、何もできなくなっちゃうじゃない」「怖くて何も話せないよ」などと言うことも多く、反省しません。
セクハラが問題のある行為だと理解していないので、いくら被害者や周りから糾弾されても「それくらいのことで大袈裟な」と思ってしまうのでしょう。
セクハラする人の特徴 セクハラが常態化した環境にいた


環境の影響によってセクハラの加害者になってしまうケースもあります。
例えば、セクハラがコミュニケーションだと考えられている職場や、周囲が黙認していたりする環境に長く身を置いていると、セクハラに対する感覚が麻痺し、誤った認識を持つようになることがあります。
セクハラする人の心理的な背景
セクハラをする人の特徴について解説しましたが、心理にはどのような特徴があるのでしょうか。次に、代表的な心理背景について解説します。
セクハラする人の心理 支配欲が強い
セクハラや性加害は、単なる性欲の問題ではなく、むしろ「相手より自分が優位であることを示したい」という支配欲によって行われるケースが多くあります。相手より自分が上であることを示したいという心理から、性的な言動をとることがあります。
例えば、モテモテでいくらでも性の相手を確保できるお笑い芸人や俳優、アイドル、著名人などがセクハラや性加害を行うことがありますが、彼らは決して性の相手に困っているわけではありません。
それでも加害行為に及ぶのは、
実際に、最近も有名人によるセクハラや性加害のニュースが話題になりました。
セクハラする人の心理 自分より弱い相手をストレスのはけ口にしたい


仕事のプレッシャーや家庭の不満を、セクハラという形で発散しようとするケースもあります。こういうケースが特に卑劣なのは、加害者が立場の弱い相手を選んで行為に及ぶ点です。
「魔が差した」「衝動的にしてしまった」と言いながらも、取引先の社長や社長の娘にセクハラしようとする人はいません。
セクハラする人の心理 価値観のアップデートをする気がない
昭和から平成初期にかけて、テレビでは今では大問題になるようなセクハラが公然と行われていました。お笑い芸人が嫌がるタレントや俳優にキスをしたり、胸を揉んだりする場面が公共の電波で「面白いこと」として流れていたのです。
現在はそういった行為がセクハラとして糾弾されるようになりました。
彼らは、単に価値観のアップデートができないのではなく、するつもりがないのです。
セクハラする人の心理 病気の可能性もある
セクハラを繰り返す人の中には、性依存症や衝動抑制障害などの精神的な問題を抱えている場合もあります。
自分でも「やめられない」と感じる場合は、精神科や心療内科を受診することが重要です。


どこからセクハラ?判断基準やグレーゾーン


例えば、以下の言葉を見てみましょう。セクハラでしょうか?セクハラではないでしょうか?
「スタイルがいいね」「胸が大きいね」「もっと女らしくしたら?」「女捨ててる」「結婚しないの?」
「彼氏いるの?」「ゲイなの?レズビアンなの?」「男に興味ないの?」
もしこれらの言葉を言われて、あなたが不快になるのなら、それはセクハラです。
ただ、どういった相手に言われるのかによって、あなたの気持ちは変わってくるでしょう。
例えば、職場の男性上司に「結婚しないの?」と聞かれるのは不快でセクハラだと感じたとしても、友達から同じことを聞かれたら不快には感じないかもしれません。
また、「胸が大きいね」は明らかなセクハラ発言のように見えますが、関係性によっては不快に感じない場合もあるでしょう。
どの発言がセクハラになるのかは、関係性によって変わってくるのです。
これって「セクハラ?グレーゾーン?」と迷ったら、自分の心に問いかけましょう。気持ち悪かった、不快だったという場合、それはセクハラです。
【事例】セクハラ発言・言動一覧
セクハラ発言は、相手のプライバシーを侵害し、不快な思いをさせるものが多く、「悪気がない」「冗談のつもり」でも許されません。
続いては、セクハラする人が発するセリフ例をカテゴリ別に紹介します。
容姿や年齢に関するもの


- 「もう少し痩せたら可愛いのに」
- 「スタイルいいね」
- 「胸が大きいね」
- 「お尻、すごいね」
- 「なんか最近老けた?」
- 「可愛いのに、なんで彼氏(or 彼女)いないの?」
- 「そんな格好してたら男が放っておかないよ」
- 「もっと女らしい服を着た方がいいんじゃない?」
- 「女の価値は若いうちだけだよ」
- 「もう〇歳なの?もうババアじゃん」
性的な話題・プライベートに関するもの
- 「〇〇ちゃんって、経験人数どれくらい?」
- 「どんな下着つけてるの?」
- 「夜の方は積極的なの?」
- 「彼氏とどこまでいってるの?」
- 「〇〇さん、彼氏(or 彼女)とどんなプレイしてるの?」
- 「童貞(or 処女)なの?信じられない!」
恋愛・結婚・妊娠・出産に関するもの


- 「結婚しないの?ずっと独りは寂しいでしょ?」
- 「彼氏(彼女)いないの?もしかしてゲイ(or レズ)?」
- 「あの人、彼氏いないらしいよ。もしかしてそっち系?」
- 「まだ子ども作らないの?」
- 「子どもがいないなんて、人生寂しくない?」
職場でのセクハラ発言
- 「女は愛嬌が大事だから、ニコニコして!」
- 「女はお茶くみが得意でしょ?」
- 「飲み会で下ネタに付き合うのも女の仕事だから」
- 「〇〇さんって、夜の仕事したら人気出そう」
- 「(飲み会で)キスしてくれたら、飲まなくていいよ」
- 「酔った勢いでホテル行っちゃう?」
- 「(性風俗への誘いを断ったら)付き合い悪いな」
SNS・メッセージアプリなどオンラインセクハラ発言


- 「今日の写真、めちゃくちゃエロいね!」
- 「お風呂上がりの写真見たいな」
- 「今度二人きりで飲まない?」(しつこく誘う)
- 「(卑猥な写真を送りつけて)どう?すごいでしょう?」
- 「一緒に寝た女性からよく〇〇って言われるよ。本当か確かめてみる?」
身体接触を伴うセクハラ発言(言葉+行動)
- 「ちょっと肩揉んであげるね」→ 勝手に触る
- 「手相見てあげるよ!」→ 勝手に手を握る
- 「スカートの裾、もう少し短いほうがいいよね」→ 服を引っ張る
- 「〇〇ちゃんって抱き心地よさそう」→ 背中や腰を触る
セクハラされやすい人にも共通する特徴がある?
セクハラの被害に遭いやすい人には、ある程度の共通点が見られることがあります。例えば、以下のような特徴を持つ人は、セクハラする人に狙われやすい傾向があります。
- 優しくておとなしい
- 笑顔が多く、人当たりがよい
- 自分の意思をはっきり伝えるのが苦手
- フレンドリーで自己開示をよくする
- 空気を読んで相手を立てようとする
- 服装の露出が多い
セクハラを正当化するような発言や考え方に流されず、「悪いのは加害者」という視点を忘れずにいましょう。
セクハラする人にどう対処したら良い?被害を受けた場合の対応策
セクハラを受けた場合、適切な対処をすることで被害を最小限に抑え、加害者に責任を取らせることが可能です。
続いては、具体的な対応方法を紹介します。
証拠を残す


セクハラの事実を証明できる証拠を確保しておくことが重要です。
- 証拠となるメールやLINEのスクリーンショットを保存する。
- セクハラの音声を録音し、証拠として残す。
- いつ、どこで、誰が、どのような発言や行動をしたのかメモする、日記やノートに書く。
態度で示す・拒絶する
加害者に対して明確な拒否の意思を示すことも効果的です。
- 笑顔を向けず、真顔で対応する。
- 「やめてください」「不快です」とはっきり伝える。
- 直接拒絶するのが難しい場合は、信頼できる上司や同僚に相談する。
報告・相談する


セクハラを放置せず、適切な機関に相談することで、解決への一歩を踏み出せます。もし会社が対応してくれなかったり、セクハラする人に注意や処分が行われなかったりする場合は、社外の相談窓口や専門機関を活用しましょう。
- 社内のコンプライアンス窓口や人事部に報告する。
- 労働局に相談し、適切な指導を求める。
- 弁護士に相談し、法的措置を検討する。
- 法テラスを活用し、無料で法律相談を受ける。
心のケアを大切にする
セクハラは精神的なダメージを引き起こすことがあります。自分を守るためにも、心のケアを優先しましょう。
- 信頼できる友人や家族に話を聞いてもらう。
- 必要であれば、カウンセラーや精神科医に相談する。
- 環境を変えるために、配置換えや休職を検討する。
セクハラを放置するとエスカレートし、被害が拡大する可能性があります。実際に、セクハラが原因で仕事を辞めざるを得なくなる女性も少なくありません。
その後の生活のためにも、証拠はしっかり残しておき、できるならば法的手段に訴えることも検討してください。望むならば、損害賠償請求、懲戒解雇、などの形で加害者に責任を取らせましょう。
ただし、何もできなかったからといって自分を責めないでください。悪いのは加害者です。
悪いのはセクハラする人。一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談しよう
近年、セクハラ防止のための社会的な取り組みは進んでおり、多くの企業や団体がコンプライアンス研修を導入しています。
また、政府や地方自治体もセクハラ対策を強化し、相談窓口の設置や被害者支援のための法整備を進めています。職場でのセクハラに対しては、労働基準監督署やハラスメント相談センターが対応し、加害者に対する厳格な処分が行われることも増えつつあります。
社会は変わりつつあります。しかしそうは言っても、セクハラは上司や知人や親しい人から行われることが多いため、なかなか訴えにくく、それゆえ、被害者が一人で悩むケースもいまだに少なくありません。
自分が被害に遭ったと感じたら、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談しましょう。
また、周囲の人もセクハラを見て見ぬふりせず、被害者をサポートする姿勢が求められます。セクハラを目撃したら、被害者に寄り添い、第三者として声を上げましょう。
セクハラが許されない社会を作るためには、私たち一人ひとりが声を上げていく必要があるのです。





